2023年12月31日日曜日

Homecoming / Vince Mendoza & The WDR Big Band Cologne (2017)

いいです!すばらしいです。

今まで Vince Mendoza は全く知りませんでしたし、もちろん聴いたことはありませんでした。
NHK FM の挟間美帆の番組で特集してて初めて知りました。
そういう意味では、この番組は僕の知らない世界の扉を開けてくれる貴重な存在です。

Vince Mendoza は僕より5歳年上なので、けっこうなおっさんです。
その分経歴は長く、90年代初頭から音楽業界で職を得ています。
最初はテレビの仕事だったみたいです。
程なくビッグバンドと仕事をするようになり、グラミーにもノミネートされるようになります。
Gary Burton, Pat Metheny, Michael Brecker らに曲を提供したり、Björk, Chaka Khan, Elvis Costello, Robert Glasper, Sting, Herbie Hancock, Joni Mitchell らのレコーディングで編曲してるみたいですから、僕も何かには触れたことがあるかもしれません。

このアルバムは、全曲彼の作・編曲で、The WDR Big Band が演奏しています。
WDR というのは Westdeutscher Rundfunk の略で、英語にすると "West German Broadcasting"。Cologne はケルンですので、「西ドイツケルンのラジオ放送曲ビッグバンド」ということになります。
ヨーロッパではこんな風にラジオ放送局がジャズのビッグバンドを持つという文化があるんですね。
これも最近知りました。
Bob Mintzer が主席指揮者ですが、Vince Mendoza が作曲と指揮に関わっています。

各曲の完成度は高く、見事なアレンジですが、なんとライブ録音です。
曲の最後にお客さんの拍手が入り、あ、これライブなんや、と気付かされます。
2014年11月のドイツケルンとエッセンでのコンサートから。

1曲目の "Keep It Up" か何といってもカッコいい!
ギターとミュートトランペットがモダンです。

どの曲もそうですが、展開が複雑で、よく作り込まれています。
かといってダイナミズムが失われているわけではなく、ソロでのインプロビゼイションも生きています。

現代のビッグバンドジャズ、ラージアンサンブルジャズはこういう形で発展してるんですね。

年の最後にこういうすばらしい音楽を紹介できて幸せです。

  1. Keep It Up
    • Guitar Solo : Paul Shigihara
    • Tenor Saxophone Solo : Paul Heller
  2. Little Voice
    • Alto Saxophone Solo : Karolina Strassmayer
    • Piano Solo : Frank Chastenier
  3. Choros #3
    • Clarinet Solo : Johan Hörlén
    • Percussion Solo : MarcioDoctor
    • Trombone Solo : Andy Hunter
  4. Homecoming
    • Alto Saxophone Solo : Karolina Strassmayer
    • Trumpet Solo : JohnMarshall
  5. Amazonas
    • Percussion Solo : Marcio Doctor
    • Soprano Saxophone Solo : Johan Hörlén
    • Trombone Solo : Ludwig Nuss
  6. One Times One
    • Tenor Saxophone Solo : Paul Heller
    • Trombone Solo : Shannon Barnett
    • Trumpet Solo : John Marshall
  7. Daybreak
    • Electric Piano Solo : Frank Chastenier
    • Trumpet Solo : John Marshall
    • Bass : Mark Bedford

  • Composed By, Arranged By, Conductor – Vince Mendoza
  • Drums – Hans Dekker
  • Percussion – Marcio Doctor(Guest)
  • Electric Bass, Acoustic Bass – John Goldsby
  • Piano, Electric Piano, Organ – Frank Chastenier
  • Electric Guitar, Acoustic Guitar – Paul Shigihara
  • Trumpet – Andy Haderer, John Marshall, Rob Bruynen, Ruud Breuls, Wim Both
  • Alto Saxophone, Flute, Piccolo Flute – Karolina Strassmayer
  • Alto Saxophone, Soprano Saxophone, Flute, Clarinet – Johan Hörlén
  • Tenor Saxophone, Bass Clarinet – Paul Heller
  • Tenor Saxophone, Clarinet, Flute – Olivier Peters
  • Baritone Saxophone, Bass Clarinet, Contra-Alto Clarinet – Jens Neufang
  • Trombone – Andy Hunter, Ludwig Nuss, Shannon Barnett
  • Bass Trombone, Tuba – Mattis Cederberg
  • Producer – Lucas Schmid, Vince Mendoza
  • Executive-Producer – Joachim Becker

Recorded live in concert November 21st, 2014 at the Philharmonie, Köln, Germany; except track 7 recorded live in concert November 22nd, 2014 at the Philharmonie, Essen, Germany

2023年12月25日月曜日

Keep Moving / Madness (1984)

この頃の Madness はノッてましたよね。
3rd. アルバム "7" ~ "Rise & Fall" ~このアルバムあたりは完璧でしょう。
"It Must Be Love"、"Tomorrow's (Just Another Day)"、"Our House"、このアルバムの "The Sun and the Rain"、"Prospects"、"One Better Day"、"Michael Caine" と名曲ぞろいです。

オリジナル。アルバムは12曲入りですが、イギリスのバンドらしく、シングルは別になっています。前後のシングル "Wings Of A Dove" や "The Sun And The Rain" やその12" Mix などがボーナスとして入ったこのアルバムは最強でしょう。

2トーン・ムーブメントの一員としてデビューしましたが、"7" 以降はスカ色はほとんどなくなり、ロンドン・パブ・ミュージックとなっています。
このあたり、本家 Specials と同じような動きですね。
原初はパンクと同じ、複雑化と産業化を重ねたロックへの反動で、スカを選んだわけですが、その形にこだわる必要がなかったということでしょうかね。

このアルバムとは関係ないですが、"It Must Be Love" のおもちゃのようなドラムのサウンドを、高橋幸宏がえらく誉めていたのを思い出しました。


  1. Keep Moving [Smyth, Foreman, McPherson]
    • Horns – TKO
  2. Michael Caine [Smash, Woodgate]
    • Backing Vocals – Afrodiziak
    • Voice by Michael Caine
  3. Turning Blue [Foreman, McPherson]
  4. One Better Day [McPherson, Bedford]
  5. March Of The Gherkins [Thompson, Barson]
  6. Waltz Into Mischief [Smyth, McPherson]
    • Backing Vocals – General Public
  7. Brand New Beat [Thompson, Barson]
  8. Victoria Gardens [Smyth, Barson]
    • Backing Vocals – General Public
  9. Samantha [Thompson, Barson]
  10. Time For Tea [Foreman, Thompson]
  11. Prospects [Smyth, McPherson]
  12. Give Me A Reason [Smyth, Thompson]
  13. Wings Of A Dove [Smyth, McPherson}
  14. Behind The 8 Ball [Smyth, Foreman, Woodgate, McPherson, Thompson, Bedford, Barson}
    • Producer – The Nutty Boys
  15. One Second's Thoughtlessness [Woodgate, Thompson]
    • Engineer – Mark O'Donaghue
    • Producer – A Hip Young Production
  16. Wings Of A Dove (12" Blue Train Mix)
  17. The Sun And The Rain [Barson]
  18. Fireball XL5 [Thompson, Madness]
    • Producer – Ian (Dad) Horne, Secret Seven
  19. My Girl (Live) [Barson]
  20. The Sun And The Rain (12" Extended Version)
  21. Michael Caine (12" Extended Version)
  22. If You Think There's Something [Barson]
  23. Guns [McPherson]
  24. Sarah [Thompson, Madness]
    • Producer, Mixed By Ian (Dad) Horne
  25. Victoria Gardens (Re-Mix)


  • Bass : Mark Bedford
  • Drums, Triggers : Daniel Woodgate
  • Guitar : Chris Foreman
  • Keyboards : Mike Barson
  • Percussion : Louis Jardim
  • Saxophone : Lee Thompson
  • Producer : Clive Langer & Alan Winstanley

2023年12月17日日曜日

Night Raider / Sonora Ponceña (1981)

プエルトリコのサルサ・バンド Sonora Ponceña の81年のアルバムです。
キレがいい。
N.Y. の Fania が盛り上がったのは、70年代ですが、それをうまく引き継いでいます。

Sonora Ponceña は Enrique "Quique" Lucca によって1944年に作られたと言いますから、かなり歴史あるバンドです。
"Quique" の息子 Papo Lucca は若くしてバンドに加わり、このアルバムの時、あるいはその後もずっとバンドの音楽監督であり続けています。
ピアニストである Papo Lucca は、Fania All-Stars の一員として、Larry Harlow の後釜に座ります。
実力あるんでしょうね。
このアルバムでも、音楽監督として、ピアニストとして、しっかりサウンドを作っているように思います。

ジャケットは独特の感性ですが、サウンドは最高です。


  1. Ramona
    • Coro : Quique Lucca
  2. Caballo Viejo
    • Coro : Justo Betancourt
    • Sound Effects – Quique Lucca
    • Written by Simon Diaz
  3. A Lo Mejor
  4. Borrachera
  5. Algo Facil / Something Easy
    • Piano Solo, Drum Solo : Papo Lucca
  6. Umi-Layé
    • Bata : Cristobal Colon, Jessie Colon, Johnny Rivero, Papo Lucca
    • Written by Papo Lucca
  7. Nada Para Ti
    • Piano Solo : Papo Lucca
    • Written by Roberto Angleró
  8. Cuestiones De Amor
    • Bass : Sal Cuevas


  • Coro : Edwin Rosas, Miguelito Ortiz, Toñito Ledee, Yolanda Rivera
  • Guiro, Maracas : Miguel A. Ortiz
  • Timbales : Jessie Colon
  • Vocals : Miguel Ortiz (1, 2, 3, 8), Toñito Ledee (4, 6, 7, 8), Yolanda Rivera (8)
  • Piano, Directer, Arranger, Producer : Enrique "Papo" Lucca

2023年12月9日土曜日

Jump to It / Aretha Franklin (1982)

アリスタ時代の Aretha を悪く言う人もいます。
事実、売れんがためのくだらないポップスも多くあります。
しかし、Aretha Franklin はアリスタで第2期黄金時代を築いたのも確かです。


アリスタ時代の Aretha は一通り聴きましたが、一番いいのはこのアルバムですね。
Clive Davis は売れためには何でもする男ですが、彼が今回 Aretha にぶつけたのは Luther Vandross。前年にソロ・デビューし、"Never Too Much" をヒットさせていました。
彼はプロデュースするにあたり、彼のチーム Marcus Miller と Nat Adderley Jr. を連れてきましたが、このチームがこのアルバムでは当たりました。
Miller の脅威的なベースもすごいですが、当時で言う”コンテンポラリー”なサウンドが素晴らしい。

ソウル・クイーンから、ブラック・コンテンポラリー・シンガーへの脱皮ですね。

ヒット曲 "Jump to It" が生まれ、R&B チャートではNo.1になりました。その名の通りのジャンプ・ナンバーです。
アルバムがヒットしたのも、この曲のリードのおかげでしょう。
昔のような鞠のような弾力のあるヴォーカルは聴けませんが、包容力のある広い声はさすがです。

Luther Vandross チームがいい仕事をする中、Aretha はなんとか自作の曲 "I Wanna Make It Up to You" を捩じ込むのに成功したようです。でも、これも悪くない。Four Tops の Levi Stubbs とのデュエットです。

ヒットに気を良くした Aretha と Clive は二番煎じで、自作 "Get It Right" も作ります。同じようなメンバーで、ジャケットまで同じテイストで。これも悪くないのですが、前作ほどは売れませんでした。


  1. Jump to It [Luther Vandross, Marcus Miller]
  2. Love Me Right [Vandross]
  3. If She Don't Want Your Lovin' [Sam Dees]
  4. This Is for Real [Vandross]
  5. (It's Just) Your Love [Vandross, Miller]
  6. I Wanna Make It Up to You [Aretha Franklin]
  7. It's Your Thing [O'Kelly Isley, Ronald Isley, Rudolph Isley]
  8. Just My Daydream [Smokey Robinson]


  • Luther Vandross : keyboards (2), rhythm arrangements (2, 4, 5, 7), vocal arrangements (2, 3, 5, 8)
  • Marcus Miller : synthesizers (1), synthesizer and rhythm arrangements (1), bass guitar (1, 2, 4–7)
  • Nat Adderley Jr. : keyboards (1, 3–8), rhythm arrangements (3–8)
  • keyboards (2)
  • George Duke : acoustic piano (5)
  • Reginald "Sonny" Burke : keyboards (8)
  • Doc Powell : guitar (1–8)
  • Steve Love : guitar solo (7)
  • Francisco Centeno : bass guitar (3)
  • Louis Johnson : bass guitar (8)
  • Yogi Horton : drums (1, 3–8)
  • Buddy Williams : drums (2)
  • Errol "Crusher" Bennett : congas (1), percussion (3, 4, 5, 8)
  • Paulinho da Costa : percussion (7)
  • George Young : soprano saxophone (4)
  • Four Tops : backing vocals and vocal arrangements (6)
  • Levi Stubbs : lead vocals (6)

  • Producers : Luther Vandross (1–5, 7, 8), Aretha Franklin (6)

2023年12月3日日曜日

Doing It to Death / The J.B.'s (1973)

最初の Introduction で "12 young men" と紹介してて、そんなにいるのかと思いましたが、ホーンセクションが7人、ギター2本とベース、ドラムス、James Brown で確かに12人になります。ジャケットでは10人しか写ってませんが。
これだけホーンセクションを厚くしなければならなかったのかはよく分かりませんが、トランペット3本、サックスが、アルト1本、テナー2本、そして Fred Wesley のトロンボーンです。
サックスには Maceo Parker が帰ってきました。

The J.B.'s は旧バンドメンバーが賃金ストライキを起こした結果生まれたと言われています。新たにメンバーを入れ替えたんですね。そこで加入したのが、Collins 兄弟。その後、Fred Wesley が復帰するに伴って、Collins 兄弟は抜けますが、このアルバムは Collins 脱退後のバンドメンバーによるものです。

記録映像によると、James Brown はとにかくバンドメンバーに評判が悪い。給料はケチる、絶対服従を強い、こき使う。Fred Wesley も Maceo Parker も悪口しか言ってません。
でもなぜ Wesley は復帰したんでしょうね。
酷い扱いを受けても、それでもビッグビジネスを回している Brown に引き寄せられたのか、やはり Brown の音楽性に惹かれたのか。

このアルバムは、J.B.'s 名義になってますが、全曲 Brown 作曲。(もしかしたらメンバーの作曲への貢献があってもクレジットしてもらえなかったのかも)
ヴォーカル曲は James Brown 節全開ですが、インスト曲、あるいはインスト部分は結構オリジナリティがあり、だいぶジャズフレーバーが効いてます。この辺りは Wesley のリーダーシップなんでしょうか。
帰って来た Maceo Parker もフルートを吹いています。

全8曲ですが、うち2曲は、ラストの曲 "You Can Have Watergate Just Gimme Some Bucks And I'll Be Straight" のインタールード曲で、 Introduction も最初に入っているので、実質5曲。(ちなみにウォーターゲート事件は1972年)
Collins 兄弟いなくても、全盛期に近い James Brown にとっては関係なし。同じ年には、"The Payback" を出しています。
1拍目ファンクと、カッティングギターとベースの永遠に続くリフの繰り返しは、P-Funk の原型なんでしょうね。

全体的に Good!


  1. Introduction To The J.B.'s
  2. Doing It To Death - Part 1 & 2
  3. You Can Have Watergate Just Gimme Some Bucks And I'll Be Straight
  4. More Peas
  5. La Di Da La Di Day
  6. You Can Have Watergate Just Gimme Some Bucks And I'll Be Straight
  7. Sucker
  8. You Can Have Watergate Just Gimme Some Bucks And I'll Be Straight


  • Fred Wesley : trombone
  • Darryl "Hasaan" Jamison : trumpet
  • Jerone "Jasaan" Sanford : trumpet
  • Ike Oakley : trumpet
  • Maceo Parker : alto saxophone, flute
  • St. Clair Pinckney : tenor saxophone
  • Eldee Williams : tenor saxophone
  • Jimmy Nolen : guitar
  • Hearlon "Cheese" Martin : guitar
  • Fred Thomas : bass
  • John "Jabo" Starks : drums
  • James Brown : lead vocal 

2023年11月18日土曜日

Ni Es lo Mismo Ni Es Igual / Juan Luis Guerra y 4.40 (1998)

青と黄色のコンビネーションは最高の取り合わせです。
青い壁に青いトレーナーと青いパンツに深紫のキャップ。
白いジャケットの Juan Luis Guerra が持つのはギター。この木の色と肌の色が黄系で、バックとの調和が素晴らしい。
思わずジャケ買いしそうな、綺麗なジャケットです。

ジャケットに負けず劣らず、音楽も綺麗です。
アルバム全体を覆う、明るい感じ。メレンゲやバチャタの特徴でしょうか。
アップテンポの曲もいいですが、今回のアルバムではバラッドに美しい曲が多いように思います。
#6 "Palomita Blanca"、#7 "Testimonio"、#8 "Amapola"、ボーナストラックの #11 "Amor de Conuco" なんかはホント美しい。

シングルになったのは #1 "Mi PC"、#6 "Palomita Blanca"、#5 "El Niágara en Bicicleta"、#3 "La Hormiguita" の4曲。
サルサの1曲  #4 "Quisiera" も好きです。


  1. Mi PC
  2. Vale la Pena
  3. La Hormiguita
  4. Quisiera
  5. El Niágara en Bicicleta
  6. Palomita Blanca
  7. Testimonio
  8. Amapola
  9. El Primo
  10. Sobremesa
  11. Amor de Conuco (Bonus Track)


  • Juan Luis Guerra : Guitar, producer
  • Edwin Bonilla : Percussion
  • Luis Enrique : Percussion
  • Jimmy Morales : Conga
  • Charlie Sierra : Bongos, Timbales
  • Lee Levin : Drums, Programming
  • Arturo Sandoval : Trumpet, Flugelhorn
  • Juan Valdez : Piano
  • Ed Calle : Baritone
  • Audrey Campos : Vocals, coro
  • Frank Ceara : Vocals, coro
  • Mariela Mercado : Vocals, coro
  • Juan Rizek : Vocals, coro 

2023年11月12日日曜日

New Sensations / Lou Reed (1984)

1984年は何をしてたんやろう?
僕が大学に入学した年やから、第2次ブリティッシュインベイションの真っ只中、僕はネオアコに夢中だったはず。
The Pale Fountains の "Pacific Street" が一番のお気に入りで、目覚めの音楽だったはず。
Aztec Camera、Echo & the Bunnymen、The Smiths... そんな時代でした。
The Human League と Eurythmics がヒットし、Cuture Club、Thompson Twins、Wham!、Howard Jones らが続いた、いい時代でした。
ノーザンソウルが見直され、Billy Joel が "An Innocent Man" を出したのが1983年。
Ronald Reagan の強いアメリカ幻想の中、Bruce Springsteen は1984年に "Born in the U.S.A." を出します。
巷ではディスコが流行り、佐野元春はN.Y.へ。

そんな時代にこのアルバムは出ました。アルバムジャケットは覚えていますが、あまり売れなかった、あるいは話題にならなかったんではないでしょうか。ビルボードで最高56位。

でも確かに時代を映しています。
80年代初頭のある種の明るさがダンサブルな曲調に現れています。
シングルになった冒頭の "I Love You, Suzanne" なんかは典型です。今までの Lou Reed の詞世界にあるような、厳しい現実はなく、コアなファンから厳しい批評を得ています。
ブラスと女性コーラスの多用は音楽性の広がりを作り、スチールパンを使ったカリプソ調の曲("High In The City")まであります。(ブラスはなんと Brecker Brothers!)

そんな中で、出色の出来なのが、タイトル曲 "New Sensations" です。
Delaware Water Gap、a Burger and a Coke、hunters、Juke box、hillbilly、そしてGPZ(Kawasaki)。
そういう世界で、新しい感覚を追い求める。
パンクを経て、シンセポップやファンカラティーナが流行る世界と、アメリカの郊外の世界のギャップの中で、「新しい感覚」を探し求める姿は、当時の彼の心情だったのかもしれません。
"Walk on the Wild Side" の時もそうでしたが、ベースが素晴らしいグルーヴを出しています。ベースは Fernando Saunders。カッコいい!
僕が今まで聞いた中で、"New Sensations" は一番好きかもしれません。

当時は全く知りませんでしたが、MTV時代においてRCA は販促に力を入れ、"I Love You, Suzanne" のPVを作っています。音だけで聞くのと、映像を見るのとではかなり印象が違う曲で、Lou Reed は楽しんでやっているのかどうか分かりませんが、かなりハッスルしています。ビデオは "My Red Joystick" と続きになっていて、まあこちらも賑やかな作りです。
ちなみにビデオに出てくる Red Joystick は、アルバムジャケットで Lou Reed が握っているものです。


  1. I Love You, Suzanne
  2. Endlessly Jealous
  3. My Red Joystick
  4. Turn To Me
  5. New Sensations
  6. Doin' The Things That We Want To
  7. What Becomes A Legend Most
  8. Fly Into The Sun
  9. My Friend George
  10. High In The City
  11. The Great Defender (Down At The Arcade)


  • Lou Reed : guitar, vocals
  • Fernando Saunders : bass, guitar, backing vocal
  • Fred Maher : drums
  • Peter Wood : piano, synthesizers, accordion
  • Lakshminarayana Shankar : violin
  • Michael Brecker : tenor sax
  • Randy Brecker : trumpet
  • Jon Faddis : trumpet
  • Tom Malone -:trombone, horn arrangement
  • Jocelyn Brown, Rory Dodd, Connie Harvey, Eric Troyer : backing vocals


  • Produced by John Jansen, Lou Reed

2023年11月4日土曜日

Beyond Orbits / 挾間美帆's m_unit (2023)

ジャズは演奏するものという固定観念が強く、ジャズ作曲家って職業が成り立つのか、と思ってしまいます。
事実、彼女は楽器を演奏せず、指揮をするだけです。
それでも、バンドを率い、アドリブにも対応して指揮をするんだから大したものだと思います。

m_unit の特徴は弦楽器が入っていること。
ジャズに馴染みのない楽器を取り入れることで、何か特別な感触を獲得しています。
僕はジャズに弦楽器が入ることはあまり好きではないのですが、クラシックを源流に持つ彼女としては、アイデンティティなんだろうと思います。

「軌道」がタイトルになってますが、これは Exoplanet 組曲がアルバムの芯になっているからだと思います。
"Exoplanet" は太陽系外の惑星こと。太陽を回るのではなく、太陽以外の恒星を回る惑星のこと。
"Elliptical Orbit" = 楕円軌道、"Three Sunlights" = 3つの太陽光、"Planet Nine" = 太陽系外縁にあると言われている大型惑星、の組曲で、いずれも宇宙空間の星をイメージさせるタイトルです。
モントレージャズフェスティバルの委嘱作品として作ったものを大幅に改変した曲。コロナのロックダウンを経験して、閉鎖された環境から目を大きく外に向けてみた作品とのこと。

アルバムに先駆けて発表された #1 "Abeam" は疾走感を表現した曲。

#2 "A Monk In Ascending And Descending" はエッシャーの騙し絵をモチーフにした面白い作品で、後半盛り上がります。前作でも数学をモチーフにしてたと思いますが、何か似たアプローチですね。

#6 "Can't Hide Love" は Earth Wind & Fire のカバー。Earth の数ある名曲群の中で、なぜこの曲を選んだのかは分かりませんが、原曲からかなりかけ離れたアレンジを施しています。特徴的なホーンパートも違ってますし。これも後半やたら盛り上がります。

ラストの "From Life Comes Beauty" は資生堂150年記念のための曲を拡大したもの。原曲の部分は後半に持ってきているようです。


  1. Abeam
    • Soloist – Billy Test, Jake Goldbas, Jonathan Powell
  2. A Monk In Ascending And Descending
    • Soloist – Jake Goldbas, Jason Rigby
  3. Exoplanet Suite: I. Elliptical Orbit
    • Featuring – Christian McBride
    • Soloist – Christian McBride, James Shipp, Jonathan Powell
  4. Exoplanet Suite: II. Three Sunlights
    • Soloist – Billy Test, Steve Wilson
  5. Exoplanet Suite: III. Planet Nine
    • Soloist – Andrew Gutauskas, Jeremy Powell
  6. Can't Hide Love
    • Composed By – Skip Scarborough
    • Soloist – Atsuki Yoshida, Steve Wilson
  7. Portrait Of Guess
    • Soloist – Jason Rigby, Sam Anning
  8. From Life Comes Beauty
    • Featuring – Immanuel Wilkins
    • Soloist – Immanuel Wilkins, Steve Wilson


  • Violin – Ben Russell (4), Maria Im (3), Tomoko Akaboshi
  • Cello – Meaghan Burke
  • Viola – Atsuki Yoshida, Matt Consul (3)
  • Drums – Jake Goldbas
  • Bass – Christian McBride (t3), Sam Anning (1, 2, 4 to 8)
  • Piano – Billy Test
  • Alto Saxophone – Immanuel Wilkins (8)
  • Alto Saxophone, Soprano Saxophone, Flute – Steve Wilson (2)
  • Tenor Saxophone, Clarinet – Jason Rigby (2, 6 to 8), Jeremy Powell (1, 3 to 5)
  • Baritone Saxophone, Bass Clarinet – Andrew Gutauskas
  • French Horn – Adam Unsworth (2)
  • Trumpet, Flugelhorn – Jonathan Powell
  • Vibraphone – James Shipp
  • Conductor – Miho Hazama

  • Executive-Producer – Dave Stapleton
  • Producer – Miho Hazama
  • Co-producer – Hiroaki G Muramatsu, Masu H. Masuyama

  • Recorded on February 4, 5 & 7, 2023.

2023年10月29日日曜日

SOS / SZA (2022)

最近のフィメール R&B にしては、「歌」ものです。
極端に言うとメロディがないものが多いので。
そいう意味で好感が持てます。

歌詞は全部は分かりませんが、至って痛み、孤独、怒りなどを表現した曲が多いように思います。
で、"SOS" なのかな?

一番面白いのは、ヒットした "Kill Bill" ですね。
元カレを殺しそう、いや殺しちゃった、的な歌詞ですが、メロディとサウンドがクールで素敵。
PV がタランティーノの "Kill Bill" ばり、かつ特撮映画やアニメ映画のパロディが入っていてイカしてます。

アルバム全体のサウンド的には、電子的に作り込んだ曲もあれば、オーガニックなアレンジのものもあり、結構幅が広い。
2017年のファーストアルバムから5年ぶりなので、その間紆余曲折があったんでしょうね。
曲の振れ幅に、悩みの幅が重なるようです。


  1. SOS
    • Writer : Solána Rowe, Jahlil Gunter, Rob Bisel, Gabriel Samuel Hardeman
    • Producer : Jay Versace
  2. Kill Bill
    • Writer : Rowe, Bisel, Carter Lang
    • Producer : Lang, Bisel
  3. Seek & Destroy
    • Writer : Rowe, Bisel, Cody Fayne, Tyran Donaldson, Lang
    • Producer : Bisel, Lang, Scum, ThankGod4Cody
  4. Low
    • Writer : Rowe, Bisel, Alessandro Buccellati, Joseph Pincus, Jocelyn A. Donald
    • Producer : Bisel, Buccellati, Aire Atlantica
  5. Love Language
    • Writer : Rowe, Fayne, Lang, Jakob Rabitsch, Anthony Clemons, Jr., Bisel, Pharrell Williams, Tyrone Griffin, Chad Hugo, Jazzaé De Waal
    • Producer : Yakob, Lang, ThankGod4CodyBisel
  6. Blind
    • Writer : Rowe, Bisel, Lang, Margaux Alexis Rosalena Whitney, Will Miller
    • Producer : Bisel, Lang, Miller, Yuli
  7. Used (featuring Don Toliver)
    • Writer : Rowe, Dacoury Natche, Ely Rise, Danny McKinnon, John Key, Caleb Toliver, John Hill
    • Producer : DJ Dahi, McKinnon, Rise, Key, Bisel
  8. Snooze
    • Writer : Rowe, Kenneth Edmonds, Khristopher Riddick-Tynes, Leon Thomas III, Blair Ferguson
    • Producer : Babyface, The Rascals, BLK
  9. Notice Me
    • Writer : Rowe, Teo Halm, Michael Uzowuru, Bisel, Lang, Fayne
    • Producer : Halm, Uzowuru, Bisel, Lang, ThankGod4Cody
  10. Gone Girl
    • Writer : Rowe, Jeff Bhasker, Emile Haynie, Bisel, Lang, Fayne
    • Producer : Bhasker, Haynie, Bisel, Lang, ThankGod4Cody
  11. Smoking on My Ex Pack
    • Writer : Rowe, Clarence Scarborough, Raina Taylor, Gunter
    • Producer : Jay Versace
  12. Ghost in the Machine (featuring Phoebe Bridgers)
    • Writer : Rowe, Phoebe Bridgers, Bisel, Lang, Matt Cohn, Marshall Vore
    • Producer : Bisel, Lang, Cohn, Ethan Gruska, Tony Berg
  13. F2F
    • Writer : Rowe, Melissa Jefferson, Bisel, Lang
    • Producer : Bisel, Lang
  14. Nobody Gets Me
    • Writer : Rowe, Benjamin Levin, Bisel, Lang
    • Producer : Benny Blanco, Bisel, Lang
  15. Conceited
    • Writer : Rowe, Fayne, Bisel
    • Producer : ThankGod4Cody
  16. Special
    • Writer : Rowe, Levin, Bisel, Blake Slatkin, Johan Schuster, Omer Fedi
    • Producer : Benny Blanco, Slatkin, Fedi, Shellback
  17. Too Late
    • Writer : Rowe, Sven Gamsky, Samuel Witte, Bisel, Lang, Fayne
    • Producer : Still Woozy, Witte, Bisel, Lang, ThankGod4Cody
  18. Far
    • Writer : Rowe, Bisel, Lang, Carlos Muñoz, Eliot Dubock, Donaldson
    • Producer : Bisel, Lang, Los Hendrix, Beat Butcha, Scum
  19. Shirt
    • Writer : Rowe, Rodney Jerkins, Robert Gueringer
    • Producer : Darkchild, Freaky Rob
  20. Open Arms (featuring Travis Scott)
    • Writer : Rowe, Jacques Webster II, Halm, Uzowuru, Bisel, Douglas Ford
    • Producer : Halm, Uzowuru, Bisel
  21. I Hate U
    • Writer : Rowe, Bisel, Lang, Fayne, Dylan Patrice
    • Producer : Bisel, Lang, ThankGod4Cody, Sir Dylan
  22. Good Days
    • Writer : Rowe, Jacob Collier, Lang, Muñoz, Christopher Ruelas
    • Producer : Lang, Los Hendrix, Nascent, Bisel
  23. Forgiveless (featuring Ol' Dirty Bastard)


  • "SOS" contains an interpolation of "Listen", performed by Beyoncé, and written by Beyoncé Knowles, Scott Cutler, Henry Krieger and Anne Preven; and a sample of "Until I Found the Lord (My Soul Couldn't Rest)", performed by the Gabriel Hardeman Delegation, and written by Gabriel Hardeman.
  • "Love Language" contains an interpolation of "I Don't Wanna", and performed by Aaliyah, and written by Johntá Austin, Jazze Pha, Donnie Scantz and Kevin Hicks; and a sample of "Hit Different", performed by SZA featuring Ty Dolla Sign, and written by Solána Rowe, Tyrone Griffin, Jr., Pharrell Williams, Chad Hugo, and Rob Bisel.
  • "Smoking on My Ex Pack" contains a sample of "Open Up Your Eyes", performed by Webster Lewis, and written by Clarence Scarborough.
  • "Good Days" contains an interpolation of "In Too Deep", performed by Jacob Collier featuring Kiana Ledé and written by Collier.
  • "Forgiveless" contains a sample of "Hidden Place", written and performed by Björk; and "The Stomp", written and performed by Ol' Dirty Bastard.


  • Carter Lang : bass (2, 17), choir (2, 12), guitar (2, 13), keyboards (3, 6, 12, 13, 17), drums (12, 13), piano (12)
  • Rob Bisel : bass (2, 17), choir (2, 12), guitar (2, 13), keyboards (3, 4, 6, 12, 13, 17), vocals (4), acoustic guitar (6); drums, piano (12); background vocals (14, 16, 20, 25)
  • Teo Halm : keyboards, guitar, drums (20, 25)
  • ThankGod4Cody : drums (3, 17), keyboards (3), choir (10)
  • Scum : keyboards (3)
  • Alessandro Buccellati : accordion, keyboards (4)
  • Aire Atlantica : drums (4)
  • Will Miller : keyboards (6)
  • Yuli : viola (6)
  • Stix – drums (10)
  • Matt Cohn : drums (12)
  • Benny Blanco : keyboards (16)
  • Blake Slatkin : keyboards, guitar (16)
  • Omer Fedi : keyboards (16)
  • Sammy Witte : guitar (17)
  • Still Woozy : guitar (17)
  • Jacob Collier : background vocals (22)

2023年10月13日金曜日

Ali Baba / Louie Ramirez (1968)

サルサ界の Quincy Jones と言われる Louie Ramirez が、Fania に残したリーダー作。
Ali Baba をテーマに色々な曲を聴かせるという趣向のアルバムです。

基本路線は、ブーガルー。
実は僕、ブーガルーがちょっと苦手なんです。
混血はいい。ブラス・ロック、アフロ・キューバン、ファンク・ジャズ、フュージョン....
でも、取り合わせが悪いものもあります。和楽器とロック、それにラテンとソウル=ブーガルーですね。なぜなんでしょうね?ラテンとロックは相性いいのに。

ということで、全9曲のうち、6曲がブーガルーで、ちょっと苦痛でした。
でも残り3曲は素晴らしい。
マンボ、キューバ・ソン、サルサ。
これだけでも聴き応えあります。
ここでの Louie Ramirez はバンド・リーダーであり、ティンバレスを演奏しています。


  1. Ungava
  2. El Titere
  3. I Dig Rhythm
  4. What Can I Do
    • Written by Bobby Marin
  5. Cooking With Ali
  6. Ali Baba
  7. Cachita
    • Written by B. Sancristobal, Hernandez
  8. It´s Not What You Say
    • Written by Bobby Marin
  9. Yambu


  • Bass : Bobby Rodriguez, Victor David Perez
  • Bongos, Bells : John Rodriguez Jr,
  • Chorus : Frank Delgado (#3), Jimmy Sabater, Raphael Sanchez, Willie Torres
  • Congas : Victor Allende
  • Timbales : Louie Ramirez
  • Liner Notes : Max Salazar
  • Piano : Elio Osacar
  • Trombone : Manuel Gonzalez (4)
  • Trumpet : Bobby Valentin, Demereado Alberto, Hector De Leon, Larry Spencer
  • Vocals [English] : Bobby Marin
  • Vocals [Latin] : Rudy Calzado
  • Recording Supervisor : Johnny Pacheco
  • Producer : Jerry Masucci
  • Leader, Arranged by, Written by Louie Ramirez (except #4, 7, 9)


https://fania.com/record/ali-baba/

2023年10月9日月曜日

Hard Groove / The RH Factor (2003)

今から20年前の Roy Hargrove のアルバム。名義は The RH Factor になってますが。
今までのストレート・アヘッドなジャズではなく、R&B、ファンク領域へ踏み込んだ意欲作です。
前作 "Habana" はアフロ・キューバンの名盤だったことを考えると、かなりの方向転換です。
もっとも、Roy 自身は Soulquarians との付き合いが深く、この方向へ進むことは何の違和感もなかったでしょう。
Electric Lady Studios 録音。ほとんどの曲に Soulquarians のメンバーが参加しており、Roy Hargrove を含む Soulquarians のアルバムと言ってもいいかもしれません。

最初の2曲は、少し早めのファンク・チューンです。Branford Marsalis の "Buckshot LeFonque" を彷彿とさせます。この手の切り口は、既に Branford Marsalis が踏み込んだ領域なので、新鮮味は感じませんが、その次からのダウン・テンポ・ナンバーは素晴らしい!

#3 Funkadelic のカバー "I'll Saty"。D'Angelo らしいダーク・ソウルに仕上がっています。Funkadelic 版 "I'll Saty" を改めて聴いてみると、これが Funkadelic らしくなく、いい感じのサウンドでした。
#6 Q-Tip と Erykah  Badu が参加した "Poetry"、#7 "The Joint"、#8 "Forget Regret"、#11 Anthony Hamilton 参加の "Kwah/Home"、#12 Shelby Johnson がヴォーカルをとる "How I Know" あたりは最高です。

概して、ハイテンポでファンクをやろうとした曲はバツで、ロー・テンポでネオ・ソウルに徹した曲は二重マル、という感じかな。

系統の違うスロー・ナンバーが2曲。#10 "Liquid Streets" とラスト "The Stroke" はジャズ・ナンバー。Roy Hargrove の美しいトランペットが聴けます。これはこれでいいです。ネオ・ソウル・ナンバーと違和感ありません。
"Liquid Streets" には Cornell Dupree が参加し、渋いギターを聴かせてくれます。


  1. Hardgroove
    • Clavinet : Bobby Sparks
  2. Common Free Style
    • Backing Vocals : Maurice Brown, Roy Hargrove
    • Featuring : Common
  3. I'll Stay
    • Backing Vocals : Jason Thomas, Roy Hargrove
    • Vocals, Electric Piano [Wurlitzer], Backing Vocals : D'Angelo
  4. Interlude
  5. Pastor "T"
    • Tenor Saxophone : Keith Anderson
  6. Poetry
    • Bass : Me'Shell NdegéOcello
    • Drums : Gene Lake
    • Electric Piano [Wurlitzer] : Marc Cary
    • Featuring : Q-Tip
    • Keyboards, Piano : Roy Hargrove
    • Vocals : Erykah Badu
  7. The Joint
    • Percussion : Roy Hargrove
  8. Forget Regret
    • Flute, Acoustic Guitar : Jacques Schwarz-Bart
    • Vocals : Stephanie McKay
  9. Out Of Town
    • Alto Saxophone : Steve Coleman
    • Keyboards, Bass : Roy Hargrove
    • Tenor Saxophone : Keith Loftis
    • Trumpet : Maurice Brown
  10. Liquid Streets
    • Acoustic Guitar : Jacques Schwarz-Bart
    • Guitar : Cornell Dupree
  11. Kwah/Home
    • Bass : Me'Shell NdegéOcello
    • Electric Piano [Wurlitzer] : Marc Cary
    • Soprano Saxophone : Jacques Schwarz-Bart
    • Vocals : Anthony Hamilton
  12. How I Know
    • Piano, Harp : Bernard Wright
    • Vocals : Shelby Johnson
  13. Juicy
    • Flute : Karl Denson
    • Percussion : Roy Hargrove
    • Vocals : Renee Neufville*
  14. The Stroke
    • Bass : John Lee (3)
    • Organ [B3] : Tony Suggs
    • Percussion : Kwaku Obeng


  • Pino Palladino : Bass (1,3,5,7,8,12)
  • Reggie Washington : Bass (1,2,4,5,9,10,11,13)
  • Jason Thomas : Drums (1,3,5,7,8,12)
  • Willie Jones III : Drums (2,4,9,10,11,13,14)
  • Dontae Winslow : Backing Vocals, Drum Programming, Finger Snaps (2,10,14)
  • G. Craig "Butter" Glanville : Backing Vocals, Drums, Drum Programming (2,7,8)
  • Daniel Moreno : Percussion (1,7,13,14)
  • James Poyser : Backing Vocals, Electric Piano [Rhodes], Keyboards (2,10,13)
  • Bernard Wright : Backing Vocals, Keyboards, Piano, Harp, Organ (1,3,5,7,10,12,13,14)
  • Bobby Sparks : Electric Piano [Rhodes], Harp, Organ (5,7,8,12)
  • Spanky : Guitar (1,3,5,7,8,12)
  • Keith Anderson : Alto Saxophone (1,3,5,6,9,13)
  • Jacques Schwarz-Bart : Tenor Saxophone (1,2,3,6,8,9,10,11,13,14)
  • Roy Hargrove : Trumpet (1 to 7,10,11,12,14), Flugelhorn (6,8,11,12,13)


  • Produced by Roy Hargrove
  • Co-produced by Jason Olaine, Russell "The Dragon" Elevado*
  • Recorded at Electric Lady Studios

2023年10月2日月曜日

挾間美帆 m_unit 日本ツアー 2023 (2023.9.30 @東大阪市文化創造館)

m_unit 日本メンバーによる、今回の日本ツアーの千秋楽。

2部構成のセットは、ほとんどが新作 "Beyond Orbits" からの曲でした。"Beyond Orbits" の収録曲は全部演ったんちゃうかな。

生真面目な曲で、かつきっちりアレンジが構成されているので、ロック・ミュージックのライブとは随分違った感じですが、目の前でバンド・オーケストレーションが聴けて、観れてほんと幸せな瞬間でした。

昨日が、仲秋で十五夜の満月と重なっていたので、"月ヲ見テ君ヲ想フ" も演奏してくれました。

4列目の中央近くという、いい席だったんですが、前過ぎて、後ろに位置していたドラムスとピアノがほとんど見えなかったのが残念でした。
ドラムスは良かったですね。難しいアレンジを見事にこなした上に、グルーブと躍動を生み出してました。やっぱりジャズはドラムスですね。
あと、トランペットとソプラノ・サックスも良かった。サックスは人によって全然違うものだなと実感しました。

アルバムでは意識してませんでしたが、m_unit の特徴は弦楽四重奏が入っていることなんですね。結構活躍していました。普通ジャズではここまで中心は担わないですよね、クラシカルな要素がふんだんに入って狭間美帆の音楽を形作っていることがよく分かりました。

(大ホール1,500人はキャパがデカすぎ)


  • 真砂陽地(tp)
  • 林 育宏(hrn)
  • 副田整歩(a-sax, s-sax, fl)
  • 庵原良司(t-sax)
  • 竹村直哉(b-sax, b-cl)
  • マレー飛鳥(vn)
  • 沖増菜摘(vn)
  • 吉田篤貴(va)
  • 島津由美(vc)
  • 香取良彦(vib)
  • 佐藤浩一(p)
  • 須川崇志(b)
  • 伊吹文裕(ds)

Blossom / kiki vivi lily (2023)

タイトルの "Blossom" ほど満開感はないですが、なんだか落ち着く感じの EP です。

派手な展開は抑えられ、ミディアム〜ロー・テンポの曲を集めた感じでしょうか。
音数も少なくし、静かなグルーヴが心地よい作りとなっています。

#1 "The Day" は GUNZE への提供曲。アコースティック・ギターが心地よいミディアム・チューンですが、ラブソングと肌着の心地よさがなんだかシンクロしてます。

#2 “39 Minutes” は先行シングル。ファースト・アルバム "vivid" が39分で、電車で音楽を聴く間の風景を描いています。歌詞にも「kiki viviのアルバムひと回りでリカバリー」といフレーズが出てくるのが面白いところです。

#3 “Paper Drive” は kiki vivi lily を名乗る前からの曲のよう。サビはとても耳に残りやすいポップで、どこにも行けないけど行きたい、もどかしい思いが歌詞になっています。ペーパー・ドライバーなんですね。歌詞に出てくる「中央フリーウェイ」はもちろんユーミンへのリスペクト。

#4 “Invisible" は珍しく自分への応援歌。私の美しさは自分の心にある。

#5 “星喫茶店” はスターバックスの韓国語表記。別れの少し悲しい歌です。「セイレーン」と「永遠」が韻を踏んでますが、実はスタバの人魚から来ているそう。「JoyfulなMelody」もジョイフルメドレーティーラテから来ているそうで、意外と遊び心のある歌詞です。「んー」が効いてます。


  1. The Day
  2. 39 Minutes
  3. Paper Drive
  4. Invisible
  5. 星喫茶店


  • MELRAW
  • 角田隆太(モノンクル)
  • 荒田洸(WONK)
  • 小川翔(LAGHEADS)
  • 山本連(LAGHEADS)
  • David Bryant
  • 新井和輝(King Gnu)

2023年9月23日土曜日

Go For Your Guns / The Isley Brothers (1977)

若手 Isley 3人が加わって "3+3"(1973)、"Live It Up"(1974)、"The Heat Is On"(1975)、"Harvest for the World"(1976) と続いた後のアルバムです。

基本的には、過去から続くファンクネスとメロウネスの極み。
ただ、このアルバムでは、メロウサイドが控えめで、全7曲中5曲がファンク。

Marvin のベースが冴え渡るのは当然なのですが、Ernie のギターが所狭しと縦横無尽に鳴きまくります。
ほぼロックですね。
Prince はこの辺りを下敷きにしようとしたのか。

いつもそうなのですが、僕は Isley はメロウサイドの方が好きなのです。
"Footsteps In The Dark" はいいですね。
もちろん泣のギターソロから入る "Voyage To Atlantis" も。

ちなみに、"Go For Your Guns" は "Livin' In The Life" のインストバージョン。これこそなんで "Part 1 & 2" にしなかったのか。

ジャケットはライブでも、れっきとしたスタジオアルバムです。


  1. The Pride (Part 1 & 2)
  2. Footsteps In The Dark (Part 1 & 2)
  3. Tell Me When You Need It Again (Part 1 & 2)
  4. Climbin' Up The Ladder (Part 1 & 2)
  5. Voyage To Atlantis
  6. Livin' In The Life
  7. Go For Your Guns


  • Bass  : Marvin Isley
  • Guitar, Drums : Ernie Isley
  • Keyboards : Chris Jasper
  • Congas : Everett Collins
  • Written, Produced, Arranged by Chris Jasper, Ernie Isley, Marvin Isley, O'Kelly Isley, Ronald Isley, Rudolph Isley 

2023年9月16日土曜日

Over It / Summer Walker (2019)

いやぁ、暑い!
9月の半ばなのに。
暑い秋じゃなく、夏ですね。
ホット・サマー。
暑い夏にはやっぱ Summer Walker です。

Summer Walker のデビュー・アルバム。
2018年に発表したミックステープ "Last Day of Summer" と、 Drake との "Girls Need Love" のリミックスがヒットした後、満を持してのアルバム発表でした。

このアルバムからは、London on da Track がプロデューサーとなり、より色合いが鮮明になりました。London on da Track も同じアトランタなんですね。
90年代 R&B へのオマージュに加えて、抑揚のない平坦な曲調。今風です。
Bryson Tiller, Usher, 6lack, PartyNextDoor, A Boogie wit da Hoodie, Jhené Aiko といったゲストも色合いを象徴しています。

Usher と共演した "Come Thru"、Bryson Tiller との "Playing Games"、A Boogie wit da Hoodie との "Stretch You Out" がシングル・カットされてて、それぞれ素晴らしい出来ですが、これ以外も含めてアルバム全体としての仕上がりが素晴らしい。

デビュー前はアトランタでストリッパーをやっていたという彼女。話題性抜群ですが、なぜこのアルバム・ジャケットなのか?

  1. Over It
    • Writer : Summer Walker, Aubrey Robinson, London Holmes, Kendall Roark Bailey, Alexandra Tjernagel, Cooper McGill,Karim Hutton
    • Producer : London on da Track, Robinson, Bailey
  2. Body
    • Writer : Walker, Jocelyn Donald, Holmes, Bailey, Robinson, Donell Jones
    • Producer : London on da Track, Robinson, Bailey
  3. Playing Games (extended version) [with Bryson Tiller]
    • Writer : Walker, Holmes, Bailey, Robinson, LeToya Luckett, Kelendria Rowland, Beyoncé Knowles, LaTavia Roberson, Fred Jerkins III, Rodney Jerkins, LaShawn Daniels, Cameron Griffin, Bryson Tiller
    • Producer : London on da Track
  4. Drunk Dialing...LODT
    • Writer : Walker, Griffin, Bailey, Robinson, Holmes, Kevin Richardson
    • Producer : London on da Track, Robinson, Bailey, Griffin, Richardson
  5. Come Thru [with Usher]
    • Writer : Walker, Nija Charles, Robinson, Bailey, Holmes, Jermaine Dupri, Usher Raymond IV, Manuel Seal Jr.
    • Producer : London on da Track, Robinson, Bailey, Ben Chang
  6. Potential
    • Writer : Walker, Charles, Bailey, Holmes, Robinson, Kevin Cossom
    • Producer : London on da Track, Robinson, Bailey
  7. Fun Girl
    • Writer & Producer : Walker
  8. Tonight
    • Writer : Walker, Charles, Cossom, Ricki Glass, Robinson, Holmes
    • Producer : London on da Track, Robinson, Bailey, Fallen
  9. Me
    • Writer : Walker, Arsenio Archer
    • Producer : Archer
  10. Like It [with 6lack]
    • Writer : Walker, Bailey, Chris Brown, Robinson, Hector Caparro, Charles, Holmes, Ricardo Valentine, Stashenko
    • Producer : London on da Track, Robinson, Bailey, Fallen
  11. Just Might [with PartyNextDoor]
    • Writer : Walker, Archer, Jahron Brathwaite, Ryan Martinez, Joshua Parker
    • Producer : Archer, G. Ry, OG Parker
  12. Stretch You Out [featuring A Boogie wit da Hoodie]
    • Writer : Walker, Artist Dubose, Holmes, Vojtěch Daníček, Bailey, Robinson
    • Producer : London on da Track, Robinson, Bailey, Zane98
  13. Off of You
    • Writer : Walker, Holmes, Griffin, Bailey, Robinson, Stashenko
    • Producer : London on da Track, Robinson, Bailey, Fallen
  14. Anna Mae
    • Writer : Walker, Holmes, Bernard Harvey, Scott Storch, Bailey, Robinson
    • Producer : London on da Track, Bailey, Storch
  15. I'll Kill You [featuring Jhené Aiko
    • Writer : Walker, HolmesJ, hené Chilombo, Storch, Bailey, Robinson
    • Producer : London on da Track, Robinson, Bailey, Storch
  16. Nobody Else
    • Writer : Walker, Holmes, Bailey, Robinson, Steven Jordan
    • Producer : London on da Track, Robinson, Bailey, Stevie J
  17. Playing Games [Bonus]
    • Writer : Walker, Holmes, Bailey, Robinson, Luckett, Rowland, Knowles, Roberson, F. Jerkins, R. Jerkins, Daniels, Griffin
    • Producer : London on da Track
  18. Girls Need Love" (remix) [with Drake, Bonus]
    • Writer : Walker, Archer, Aubrey Graham
    • Producer : Archer

2023年9月9日土曜日

Timbuktu / Oumou Sangaré (2022)

西アフリカ、マリの歌手 Oumou Sangaré (ウム・サンガレ) の最新アルバムです。

Oumou Sangaré はワスル音楽の第一人者ですが、ワスル音楽とは、主に女性によって演奏される西アフリカのポピュラー音楽の一種です。歌詞の中で繰り返し出てくるテーマには、出産、多産、一夫多妻制などが含まれるようで、 Oumou Sangaré もフェミニズムの意味から歌詞に多用しているようです。
使われる楽器には、ソック、ジャンベ・ドラム、カメレ・ンゴニ(6 弦ハープ)、カリニャン(金属管パーカッション)、ボロン(4 弦ハープ) などがあるようですが、正直アフリカの楽器には詳しくないのでどれもよく分かりません。

このアルバムでは、カメレ・ンゴニの奏者 Mamadou Sidibé と共作の曲もいくつかあります。
カメレ・ンゴニはヤギの皮を張ったヒョウタンのボディに12本のナイロン弦が張ってある弦楽器で、どうもできてから60年ほどの新しい楽器のようです。ブルーズ色が強く、このアルバムの色合いを決めているように思います。

"Timbuktu" というのはマリのニジェール川流域にある都市の名。
サハラ西部を活動域とする遊牧民トゥアレグ族の都市ですが、中世に栄えたようです。トゥアレグ族というのは青い民とうので見たことがあります。青いターバンと服が鮮やかですよね。

ここでの Sangaré の歌声は、日本の民謡とかなり近いものがあります。民族音楽というのは何かしら共通項があるんでしょうね。ンゴニと三味線が音色が似ているということもあるんでしょう。

アフリカン・ポップではない、現代の西アフリカ音楽を感じられる一枚です。


  1. Wassulu Don
  2. Sira
  3. Degui N'Kelena *
  4. Gniani Sara
  5. Timbuktu *
  6. Sarama
  7. Kanou
  8. Demissimw
  9. Kêlê Magni
  10. Dily Oumou
  11. Sabou Dogoné


  • All song written by Oumou Sangaré, except * by Mamadou Sidibé & Oumou Sangaré
  • Ngoni : Mamadou Sidibé
  • Djembe : Adama Diarra
  • Dobro : Pascal Danaë
  • Balafon : Bala Kouyate
  • Soubassophone : Rafgee
  • Drums : Baptiste Brondy
  • Percussion : Abou Diarra, Baptiste Brondy, Mamadou Sidibé, Nicolas Quéré, Pascal Danaë, William Calhoun
  • Slide Guitar : Pascal Danaë
  • Guitar : Pascal Danaë, Rob Coltun
  • Banjo : Cheick Diabata
  • Bass : Guy Nsangué, Laurent Vernerey
  • Keyboards : Eliéser Oubda, Mamadou Sidibé, Nicolas Quéré, Pascal Danaë
  • Moog Synthesizer : Nicolas Quéré, Pascal Danaë
  • Piano : Nicolas Quéré, Pascal Danaë
  • Clarinet : Nicolas Quéré
  • Flute : Diarra Moussa Saifal
  • Violin : David Coltun
  • Backing Vocals : Emma Lamadji, Mamadou Sidibé, Pascal Danaë
  • Producer : Oumou Sangaré, Nicolas Quéré, Pascal Danaë

2023年8月28日月曜日

Greetings And Salutations / Thad Jones (1975)

Thad Jones, Swedish Radio Jazz Group Featuring Mel Lewis And Jon Faddis

Thad Jones はピアニスト Hank、ドラマー Elvin 3兄弟の次男のトランペッター。いずれも歴史的なレジェンドです。
Thad はその中でも、演奏家というよりは作曲、編曲で力を発揮した人です。
50年代から Count Basie オーケストラの作曲、編曲を手掛けており、そのスウィング感がこのアルバムにも活きています。煌びやかであり、複雑な音の重なりが深みを感じさせます。

このアルバムはスウェーデンに渡り、地元の楽団と録音したもの。全て Thad Jones の曲です。
ドラムには盟友の Mel Lewis もついて来ていますが、この後 Thad はコペンハーゲンに拠点を移し、 Mel Lewis とのオーケストラは中心を失うことになってしまいます。Lewis はそのことを予感していたのかどうか。

アルバム全体としては、ラージアンサンブル、というよりはやはりビッグバンド、と呼ぶ方がふさわしいスウィング感たっぷりの曲が揃っています。ソロで聴かせるところもありますが、やはり管楽器の重奏によるテーマの演奏が肝でしょうね。

モダンジャズとは違う、また Gil Evans のようなモダンなオーケストラとは違うジャズの楽しみ方を示してくれています。


  1. 61st And Rich'it
    • Soloist : Bengt Hallberg, Georg Riedel, Jan Allan
  2. The Waltz You Swang For Me
    • Soloist : Bengt Hallberg, Lennart Åberg, Rune Gustafsson
  3. Forever Lasting
    • Soloist : Erik Nilsson, Thad Jones
  4. Love To One
    • Soloist : Thad Jones
  5. Greetings And Salutations
    • Soloist : Egil Johansen, Erik Nilsson (2), Jon Faddis, Lennart Åberg, Mel Lewis, Rune Gustafsson, Torgny Nilsson


  • Composed and Conducted by Thad Jones
  • Trumpet : Americo Bellotto, Bertil Lövgren, Jan Allan, Jon Faddis
  • Cornet : Thad Jones
  • French Horn : Bengt Olsson (2), Håkan Nyquist*, Kurt Puke, Sven Åke Landström
  • Trombone : Bengt Edwardsson, Lars Olofsson, Sven Larsson, Torgny Nilsson
  • Soprano Saxophone : Lennart Åberg
  • Alto Saxophone : Claes Rosendahl, Wåge Finer
  • Tenor Saxophone : Claes Rosendahl, Lennart Åberg, Rune Falk, Wåge Finer*
  • Baritone Saxophone, Bass Clarinet : Erik Nilsson (2)
  • Tuba : Bo Juhlin
  • Clarinet : Rune Falk
  • Flute : Claes Rosendahl, Erik Nilsson (2), Lennart Åberg, Wåge Finer
  • Guitar : Rune Gustafsson
  • Piano, Electric Piano : Bengt Hallberg
  • Bass : Georg Riedel
  • Electric Bass : Stefan Brolund
  • Drums : Egil Johansen, Mel Lewis
  • Producer : Bosse Broberg


Recorded in Stockholm the 27 & 28 June 1975, Studio 4 in the Radio House

2023年8月20日日曜日

BUTTERFLY EFFECT / 佐藤千亜妃 (2023)

このアルバムのポイントは3つですね。

  1. 打ち込みサウンドが中心
  2. 宇多田ヒカルへのオマージュ
  3. テーマと曲調がポジティブ

前2作も良かったですが、今の自分にはこのアルバムがベストです。
3つのポイントが全部僕のツボにはまているからでしょうね。

1番好きなのは、EP "Night Tape" に入ってた "夜をループ"。ルーズなテンポとシンプルなメロディ、お気楽に聴こえる歌詞。バックのギターが超カッコいい。前半と後半で微妙に変えてきているのがすごいなと感心してしまいました。誰のギターか分からないのが残念。

"Time Leap" EP に入ってた "Eyes Wide Shut" もいいです。どうしょうもない世界で、希望を見ながら "Eyes Wide Shut"。前向きですね。もちろん Kubrick の同名映画とは全くテーマが異なります。

一番驚くのが最後の “Cheers!Cheers!“。これまでの作風とは全く違う、ポジティブポップです。これだけ違うので、最後に回したんでしょうね。でも「生きてるだけで100点だ」という歌詞には正直勇気づけられます。

"Automatic" からの引用が大胆な "タイムマシーン" をはじめとして、アルバム全体を覆う宇多田ヒカル感。宇多田ヒカルへのリスペクトをこれだけ素直に表現している人も珍しいんじゃないでしょうか。"ECLOSE"、"花曇り" なんかは「まんま」って感じです。

曲の小さな力が、誰かの世界を変えることに繋がれば、というこれまたポジティブなメッセージを込めたタイトル。

このアルバムはもっと多くの人が聴くべきです。


  1. ECLOSE
  2. 線香花火 feat.幾田りら
  3. 夜をループ
  4. S.S.S.
  5. タイムマシーン
  6. 花曇り
  7. 真夏の蝶番
  8. PAPER MOON
  9. 1DK
  10. EYES WIDE SHUT
  11. Cheers!Cheers! 

2023年8月18日金曜日

Weekend In L.A. / George Benson (1978)

ウェストハリウッド、サンセットストリップにある The Roxy Theatre でのライブ。
1977年9月30日、10月1日、2日のライブの模様を記録したものですが、金土日ということで、まさしく "Weekend In L.A."。このライブのために曲を作ったんでしょうか。
季節は秋ですが、夏の夕暮れ時を思わせるリラックスしたいい曲です。
似たようなタイトルで "California P.M." というのもありますが、こちらは軽快なリズミカルな曲。シンセが冴え渡ります。

僕はハリウッドはおろか、ロスにも行ったことがないので、もちろん Roxy がどんなところか肌感覚では分かりませんが、1973年にオープンしたナイトクラブとのこと。70年代は最盛期で、多くのロックの名ライブ盤が録音されています。
意外だったのは席数が500ということでかなり小さめの会場だったんですね。録音の声援から想像するともっと大きなホールかと思っていまいた。

ここでの Benson はいつもに増し滑らかでシャープなギタープレイが素晴らしい。神業ですね。
Wes 風のジャズギターを現代に適合させて、オリジナルの新しい音楽を作り出しています。

ヴォーカル曲も結構多く取り上げていて、これもなかなか素晴らしい。ライブの定番だった "On Broadway" はなんと10分超。表題曲とあわせて2枚組LPのA面を2曲で埋めています。後半のリズムパターンのループが盛り上がりがあり、最後にドラムの Harvey Mason とパーカッションの Ralph MacDonald を紹介しています。
その年に録音した "The Greatest Love Of All" もいいですね。もちろん Whitney のカバーの方が有名でかつ完成度も高いですが、一回スローダウンするパートなんかは Benson のオリジナルを踏襲してるんですね。

"Ode To A Kudu" はギターソロが全面に出たスローナンバー。じっくり聴かせます。
Neil Larson の "Windsong" もギターがきれいです。
最後は Ronnie Foster らしく、キーボードが中心のメロウな曲。サビ部分はギターですが、こういう曲で締めくくるところが、バンドとしての成熟度を感じさせます。 Ronnie Foster の紹介でアルバムは締め括られます。

バンドサウンドの素晴らしさ、タイトル、ジャケット写真、全てあわせて100点です。
スタジオアルバム含めても、これがベストじゃないでしょうか。


  1. Weekend In L.A. [George Benson]
  2. On Broadway [Jerry Leiber, Mike Stoller, Barry Mann, Cynthia Weil]
  3. Down Here On The Ground [Gale Garnett, Lalo Schifrin]
  4. California P.M. [George Benson]
  5. The Greatest Love Of All [Linda Creed, Michael Masser]
  6. It's All In The Game [Carl Sigman, Charles Dawes]
  7. Windsong [Neil Larson]
  8. Ode To A Kudu [George Benson]
  9. Lady Blue [Leon Russell]
  10. We All Remember Wes [Stevie Wonder]
  11. We As Love [Ronnie Foster]


  • Bass : Stanley Banks
  • Drums : Harvey Mason
  • Keyboards : Ronnie Foster
  • Percussion : Ralph MacDonald
  • Piano, Keyboards : Jorge Dalto
  • Rhythm Guitar : Phil Upchurch
  • Additional String Ensemble Arrangements : Nick De Caro
  • Producer : Tommy LiPuma


Recorded live at the Roxy Theatre on the Sunset Strip in West Hollywood, California, Sept. 30th, Oct. 1st, Oct. 2nd, 1977.

2023年8月2日水曜日

Really / J.J. Cale (1972)

暑いときにはやっぱりこの気だるさがいいですねぇ。

セカンドアルバムですが、この安定感は「何枚目」とか関係ありません。
1曲目 "Lies" だけが少しキャッチーで、唯一ホーンセクションが入っています。
あとは、ドラム、ベース、ピアノ、ギターを基本としたシンプルな構成の、シンプルな曲の連なりです。
ほとんどの曲が3分くらい。2分台の曲が大半を占めています。
といっても、飽きが来るようなものでもなく、ジーンズのように体に馴染んでくる感じのものです。

ジャンルレスというか、様々なジャンルが混じり、彼ならではの世界を作っているように思えます。
ブルーズ、カントリー、スウィングジャズ、ロックンロール、R&B….
ニューウェイブのように新しい何かではなく、ルーツミュージックの掛け算、そんな感じです。

2曲だけカバーがあります。いずれ最後に録音されてるみたいですね。
1つは "Goin' Down"。1969年のロックヒットです。Don Nix 作、オリジナルは Moloch。なぜこの曲を取り上げたのかは分かりませんが、原曲の60年代ロックな感じはなく、J.J. Cale オリジナルと言っていいほど仕上がっています。
もう1曲は "Mojo"。言わずと知れた Muddy Waters の “Got My Mojo Working” です。こっちは Waters へのリスペクトが感じられます。

いずれにせよ、1st. のレイドバック、タルササウンドの発展、というより継続です。すばらしい!


  1. Lies
    • Bass – David Hood
    • Drums – Roger Hawkins
    • Electric Piano – Barry Beckett
    • Rhythm Guitar – Jimmy Johnson
    • Voice [Voices] – Joann Sweeney
    • Voice, Lead Guitar – J.J. Cale
    • Recorded April 8, 1972 at Muscle Shoals Sound Studio, Muscle Shoals, Alabama
  2. Everything Will Be Alright
    • Bass – Norbert Putnam
    • Drums – Farrell Morris
    • Piano – Bobby Woods
    • Voice, Guitar – J.J. Cale
    • Recorded April 6, 1972 at Quadraphonic Studio, Nashville, Tennessee
  3. I'll Kiss The World Goodbye
    • Bass – Norbert Putnam
    • Drums – Kenneth Buttrey
    • Piano – David Briggs
    • Voice, Guitar – J.J. Cale
    • Recorded April 10, 1972 at Quadraphonic Studio, Nashville, Tennessee 
  4. Changes
    • Bass – Norbert Putnam
    • Congas – Farrell Morris
    • Piano – Bobby Woods
    • Voice, Guitar – J.J. Cale
    • Recorded April 6, 1972 at Quadraphonic Studio, Nashville, Tennessee
  5. Right Down Here
    • Bass – Bob Ray
    • Congas – Robert "Tarp" Tarrant
    • Drums – George Soule
    • Lead Guitar – Mac Gayden
    • Organ – Kossie Gardner
    • Rhythm Guitar – Jimmy Capps
    • Voice, Rhythm Guitar – J.J. Cale
    • Recorded April 7, 1972 at Quinvy Studio, Muscle Shoals, Alabama
  6. If You're Ever In Oklahoma
    • Bass – Joe Zinkan
    • Dobro – Josh Graves
    • Fiddle – Vasser Clements*
    • Percussion – Farrell Morris
    • Rhythm Guitar – Jimmy Capps
    • Voice, Lead Guitar – J.J. Cale
    • Recorded April 4, 1972 at Bradley's Barn, Mt. Juliet, Tennessee
  7. Ridin' Home
    • Harmonica – Charlie McCoy
    • Voice, Bass, Piano, Drums, Guitar – J.J. Cale
    • Recorded June 27, 1972 at Bradley's Barn, Mt. Juliet, Tennessee
  8. Going Down
    • Bass – Gary Gilmore
    • Drums – Jimmy Karstein
    • Rhythm Guitar – Bill Boatman
    • Voice, Electric Piano, Lead Guitar – J.J. Cale
    • Recorded July 9, 1972 at Moss Rose Studio, Nashville, Tennessee
  9. Soulin'
    • Bass – Bob Ray
    • Drums – George Soule
    • Slide Guitar – Mac Gayden
    • Tambourine – Robert "Tarp" Tarrant
    • Voice, Rhythm Guitar – J.J. Cale
    • Recorded April 7, 1972 at Quinvy Studio, Muscle Shoals, Alabama
  10. Playing In The Street
    • Bass – Joe Zinkan
    • Fiddle – Vasser Clements
    • Percussion – Farrell Morris
    • Rhythm Guitar – Jimmy Capps
    • Voice, Lead Guitar – J.J. Cale
    • Recorded April 4, 1972 at Bradley's Barn, Mt. Juliet, Tennessee
  11. Mo Jo
    • Bass – Gary Gilmore
    • Drums – Jimmy Karstein
    • Guitar – Bill Boatman
    • Voice, Lead Guitar – J.J. Cale
    • Recorded July 9, 1972 at Moss Rose Studio, Nashville, Tennessee
  12. Louisiana Women
    • Bass – Joe Zinkan
    • Congas – Farrell Morris
    • Dobro – Josh Graves
    • Fiddle – Vasser Clements*
    • Rhythm Guitar – Jimmy Capps
    • Voice, Lead Guitar – J.J. Cale
    • Recorded April 4, 1972 at Bradley's Barn, Mt. Juliet, Tennessee
  • Produced by Audie Ashworth

2023年7月24日月曜日

odds and ends / にしな (2021)

にしなのデビュー・アルバム。
2020年10月の "ランデブー" から "真白" 、"夜間飛行"、"ケダモノのフレンズ"、"ダーリン"、"centi"、"ヘビースモーク"まで、毎月デジタル・リリースを続けてきて、最終的に4月にこのアルバムに結実しました。
デビュー・アルバムらしく、書き溜めた曲の寄せ集め的なバラエティに富んだ内容になっています。

歌詞が少し硬いのとアレンジがプロっぽいのはしょうがないところですが、その声がそれらを凌駕しています。
歌手を職業にしようと思った本人も偉いですが、この声を発掘したレコード会社?事務所?の人も偉い!
何かに「中毒性」のある声、と書いてありましたが、「中毒」というよりは、ハートに引っかかるというか、ぐいっと楔を打ち込まれるというか、僕の場合はそんな感じ。
声ってホント不思議だな、と初めて思える歌声でした。
人を個別に認識する力、例えば顔を識別する、声を識別する力は人類が生まれてから数百万年の間に特に発達させてきたんでしょうね。
強力な個性の一つの声がこんな形で僕に迫ってきます。

アルバム・タイトルは「ガラクタ」。「にしな自身が、いろんな人が普通だったら捨ててしまう気持ち、切れ端とかガラクタみたいな感情を拾って、それを繋ぎ合わせてできていった曲たち、また以前は自分の中の余計な感情や欲求が膨らめば膨らむほどそれを醜く感じていたけれど、今はそんな無駄に思えるガラクタみたいな気持ちが自分に色を与え、それらが縫い合わさって自分も形成されているように感じ、それらが集まってできたアルバムみたいだと感じた所から、このタイトルが名付けられた」そう。

"ケダモノのフレンズ"、"centi"、"真白"、"ヘビースモーク"の4曲が特に素晴らしいです。


  1. 秘密基地
  2. ランデブー
  3. 真白
  4. 夜間飛行
  5. ケダモノのフレンズ
  6. ダーリン
  7. centi
  8. ヘビースモーク
  9. 透明な黒と鉄分のある赤
  10. 桃源郷

2023年7月9日日曜日

A Woman Needs Love / Ray Parker Jr. and Raydio (1981)

"Raydio" はもちろん Ray Parker Jr. の "Ray" をモジってますよね。
そういう意味じゃ、ほぼ Ray Parker Jr. のワンマンバンドなんでしょうね。
メンバーチェンジを経て、前作からはついにバンド名に "Ray Parker Jr. and" がつくようになりました。これって、"Ray" の重複のワンマンが過ぎません?
でも、全ての作曲、アレンジ、さらにほとんどの楽器を彼自身が演奏してるということなので、もうソロプロジェクトと言ってもいいのかもしれません。
案の定、Raydio はこのアルバムを最後に解消、Ray Parker Jr. はソロの道に進みます。

このアルバムは、Raydio にとって最大のヒット曲 "A Woman Needs Love" を生み出しました。
この曲もそうですが、アルバム全体を通して、ソフト R&B の香が支配しています。
当時の日本の言い方だと、AOR、そしてブラックコンテンポラリー。
マイルドで引っ掛かりが少なく、リスニングイージー、アーバンな雰囲気。
当時の先端を行くというよりは、流行を大胆に取り入れて、売れる音楽を作りたかったんでしょうね。
Michael Jackson の "Rock With You" が出たのは1979年。Bobby Caldwell "What You Won't Do For Love" 1979年。Christopher Cross "Ride Like the Wind" 1980年。Chic "Le Freak" 1978年。
そんな世相だったんでしょう。

Ray Parker Jr. 自身はセッションギタリストだったわけですが、ギターを全面に出すことなく、柔らかなシンセやストリングスで曲をまとめています。その辺が George Benson と違うところですよね。
とは言っても、ところどころでこ気味いいカッティングギターを聴かせてくれます。

アルバムは、スローテンポな曲と、アップテンポな曲の繰り返し。
メロウさで言えばスローテンポな曲ですが、ファンク風味を付け加えたアップテンポな曲も捨てがたい。

僕が80年代当時行ってた輸入盤屋さんでは、ジャケットいっぱいに顔写真が写ったブラコンのLPがいっぱい出てたのを思い出します。あまり手を出しませんでしたが。音楽的にじゃなくて。


  1. A Woman Needs Love (Just Like You Do)
  2. It's Your Night
  3. That Old Song
  4. All In The Way You Get Down
  5. You Can't Fight What You Feel
  6. Old Pro
  7. Still In The Groove
  8. So Into You


  • Ray Parker Jr. : Producer, Song writrer, Engineer, Mixer, Vocals, Guitar, Bass, Drums, Piano, Synthesizer
  • Arnell Carmichael : Vocals
  • Cheryl Lynn, Darren Carmichael, Deborah Thomas, J.D. Nicholas, Jerry E. Knight, Josephine James, Sharon Jack : Backing Vocals
  • Gene Page : Strings arrange
  • Larry Tolbert : Drums
  • Ollie E. Brown : Drums, Percussion
  • Paul Jackson Jr. : Guitar
  • Sylvester Rivers : Piano, Synthesizer