ジャズは演奏するものという固定観念が強く、ジャズ作曲家って職業が成り立つのか、と思ってしまいます。
事実、彼女は楽器を演奏せず、指揮をするだけです。
それでも、バンドを率い、アドリブにも対応して指揮をするんだから大したものだと思います。
m_unit の特徴は弦楽器が入っていること。
ジャズに馴染みのない楽器を取り入れることで、何か特別な感触を獲得しています。
僕はジャズに弦楽器が入ることはあまり好きではないのですが、クラシックを源流に持つ彼女としては、アイデンティティなんだろうと思います。
「軌道」がタイトルになってますが、これは Exoplanet 組曲がアルバムの芯になっているからだと思います。
"Exoplanet" は太陽系外の惑星こと。太陽を回るのではなく、太陽以外の恒星を回る惑星のこと。
"Elliptical Orbit" = 楕円軌道、"Three Sunlights" = 3つの太陽光、"Planet Nine" = 太陽系外縁にあると言われている大型惑星、の組曲で、いずれも宇宙空間の星をイメージさせるタイトルです。
モントレージャズフェスティバルの委嘱作品として作ったものを大幅に改変した曲。コロナのロックダウンを経験して、閉鎖された環境から目を大きく外に向けてみた作品とのこと。
アルバムに先駆けて発表された #1 "Abeam" は疾走感を表現した曲。
#2 "A Monk In Ascending And Descending" はエッシャーの騙し絵をモチーフにした面白い作品で、後半盛り上がります。前作でも数学をモチーフにしてたと思いますが、何か似たアプローチですね。
#6 "Can't Hide Love" は Earth Wind & Fire のカバー。Earth の数ある名曲群の中で、なぜこの曲を選んだのかは分かりませんが、原曲からかなりかけ離れたアレンジを施しています。特徴的なホーンパートも違ってますし。これも後半やたら盛り上がります。
ラストの "From Life Comes Beauty" は資生堂150年記念のための曲を拡大したもの。原曲の部分は後半に持ってきているようです。
- Abeam
- Soloist – Billy Test, Jake Goldbas, Jonathan Powell
- A Monk In Ascending And Descending
- Soloist – Jake Goldbas, Jason Rigby
- Exoplanet Suite: I. Elliptical Orbit
- Featuring – Christian McBride
- Soloist – Christian McBride, James Shipp, Jonathan Powell
- Exoplanet Suite: II. Three Sunlights
- Soloist – Billy Test, Steve Wilson
- Exoplanet Suite: III. Planet Nine
- Soloist – Andrew Gutauskas, Jeremy Powell
- Can't Hide Love
- Composed By – Skip Scarborough
- Soloist – Atsuki Yoshida, Steve Wilson
- Portrait Of Guess
- Soloist – Jason Rigby, Sam Anning
- From Life Comes Beauty
- Featuring – Immanuel Wilkins
- Soloist – Immanuel Wilkins, Steve Wilson
- Violin – Ben Russell (4), Maria Im (3), Tomoko Akaboshi
- Cello – Meaghan Burke
- Viola – Atsuki Yoshida, Matt Consul (3)
- Drums – Jake Goldbas
- Bass – Christian McBride (t3), Sam Anning (1, 2, 4 to 8)
- Piano – Billy Test
- Alto Saxophone – Immanuel Wilkins (8)
- Alto Saxophone, Soprano Saxophone, Flute – Steve Wilson (2)
- Tenor Saxophone, Clarinet – Jason Rigby (2, 6 to 8), Jeremy Powell (1, 3 to 5)
- Baritone Saxophone, Bass Clarinet – Andrew Gutauskas
- French Horn – Adam Unsworth (2)
- Trumpet, Flugelhorn – Jonathan Powell
- Vibraphone – James Shipp
- Conductor – Miho Hazama
- Executive-Producer – Dave Stapleton
- Producer – Miho Hazama
- Co-producer – Hiroaki G Muramatsu, Masu H. Masuyama
- Recorded on February 4, 5 & 7, 2023.
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