2020年5月6日水曜日

FLAPPER / 吉田美奈子 (1976)

プロデューサーの村井邦彦(アルファレコード創設者)は、吉田美奈子をシンガーとして売ろうとしていたそうで、吉田美奈子作曲は3曲だけにとどまっています。
そのおかげもあってか、すばらしいポップ・アルバムになっています。

山下達郎佐藤博細野晴臣矢野顕子大瀧詠一の曲fがバランスよくちりばめられているうえ、バックをティン・パン・アレイと当時の山下達郎のバンドが堅め、サウンド的にも完璧です。

1曲目 ”愛は彼方” は、ピアノで静かに始まった後一転してスピード感のあるポップになります。パーカッションとギターが効いてます。
“かたおもい” は矢野顕子っぽいような、ぽくないような。矢野顕子の曲の中では好きな方です。
エレピで始まって、カッティング・ギターがカッコいい “朝は君に” はロック・テイストなボーカルがいいです。
コミカルな “ケッペキにいさん” は大瀧詠一の “シャックリ・ママさん” のアンサー・ソングらしいですが、面白いファンク・チューンになっています。
“ラムはお好き?” はいかにも細野晴臣らしい洋行ソングに、ぴったりの歌詞です。アウトロの “One more Coca Cola?” の掛け合いはなんなんでしょう。
このアルバムで一番有名なのは “夢で逢えたら” でしょうが、逆にこの高ポップ度数がアルバムの中では浮いています。
ベースが効いているファンク・ナンバー “チョッカイ” の後は、リリカルなピアノ弾き語り ”忘れかけてた季節へ” で、ラストの山下達郎の2曲へと続きます。

”ラスト・ステップ” と “永遠に” は、山下達郎自身、その年の暮れに出したファースト・ソロ・アルバムの “CIRCUS TOWN” でセルフ・カバーしてます。私は初めに “CIRCUS TOWN” の方で聴いたのでちょっと変な感じですが、改めてじっくり聴いてみると ”FLAPPER” バージョンの方がしっくりきます。やっぱ歌詞が吉田美奈子用に書かれてあるからなんでしょうね。

高い技術に裏打ちされたサウンドとロッキーなボーカルは、世界のどこにもない日本オリジナルのポップスを作り出しています。
オシャレでアーシーなジャケットもまたよし。傑作です。


  1. 愛は彼方 - 吉田美奈子
  2. かたおもい - 矢野顕子
  3. 朝は君に - 佐藤博
  4. ケッペキにいさん - 吉田美奈子
  5. ラムはお好き? - 細野晴臣
  6. 夢で逢えたら - 大瀧詠一
  7. チョッカイ - 佐藤博
  8. 忘れかけてた季節へ - 吉田美奈子
  9. ラスト・ステップ - 山下達郎
  10. 永遠に - 山下達郎


作詞: 吉田美奈子 (exc 2 & 6)
G:鈴木茂, 松木恒秀 Dr:林立夫, 村上秀一 B:細野晴臣  P:矢野顕子, 佐藤博, 吉田美奈子 Per:浜口茂外也, かしぶち哲郎 Syc:松任谷正隆, Bv:大貫妙子
Produced by 村井邦彦

0 件のコメント:

コメントを投稿