Herbie Hancock の70歳を記念して始まった "The Imagine Project" ですが、「7つの国、5つの大陸、7つの言語」で録音されたという、壮大かつワールドワイドなアルバムになっています。コンセプトは "Peace and Global Responsibility" ということで、社会的メッセージを意識した内容であり、選曲となっていますが、すべての曲はいわゆるジャズではありません。
"Imagine", "Don't Give Up", "The Times, They Are A' Changin'", "Exodus", "A Change Is Gonna Come" といったタイトルを見ても分かります。
Jeff Beck, Chaka Khan, Wayne Shorter というビッグネームや、John Legend, P!nk, Seal, India Arie, John Legend, Susan Tedeschi, James Morrison, Los Lobos といった若手・中堅、Konono No.1, Céu, Toumani Diabaté, Juanes, Tinariwen, K'naan といったアフリカ、南米のミュージシャンらが豪華に参加しています。Herbie のもとに集まって録音したのではなく、Herbie 自ら赴いて録音したといいます。
ハイライトは何と言っても表題曲である、"Imagine" ですが、僕としてはゆったりした ブラジリアン "Tempo de Amor" や、タンゴ "La Tierra"、アフリカンの曲に"Exodus" をミックスした "Tamatant Tilay, Exodus" あたりが好みです。
"Imagine" (John Lennon) by P!nk, Seal, India.Arie, Jeff Beck, Konono No.1, Oumou Sangaré
"Don't Give Up" (Peter Gabriel) by P!nk, John Legend
"Tempo de Amor" (Vinicius de Moraes, Baden Powell) by Céu
"Space Captain" (Matthew Moore) by Susan Tedeschi, Derek Trucks
"The Times, They Are A' Changin'" (Bob Dylan) by The Chieftains, Toumani Diabaté, Lisa Hannigan
"La Tierra" (Juan Esteban Aristizabal) by Juanes
"Tamatant Tilay / Exodus" (Bob Marley, Alhassane Ag Touhami) by Tinariwen, K'naan, Los Lobos)
"Tomorrow Never Knows" (Lennon–McCartney) by Dave Matthews
"A Change Is Gonna Come" (Sam Cooke) by James Morrison
"The Song Goes On" (Larry Klein) by K.S.Chithra, Chaka Khan, Anoushka Shankar, Wayne Shorter
カナダシンガー The Weeknd の3rd. アルバムで、1st. と 2nd. でスターになった男の苦悩を描いています。
このアルバムの中では、Daft Punk が参加している2曲 "Starboy" と "I Feel It Coming" が素晴らしい!2013 の Nile Rodgers と組んだ "Random Access Memories" 、2014の Pharrell Williams の "GIRL" に続くプロジェクトと言っていいでしょう。かなり Daft Punk の色が強く出ています。
The Weeknd のアルバムを聴くのは初めてですが、歌声はかなり Michael Jackson に似ていると感じました。曲調もかなりポップです。おそらくヒップホップカルチャーの人だと思いますが、 Michael Jackson になかったヒップホップの要素を掛け合わせ、ダークな歌詞もミックスしたところが今風を感じさせます。
"Secrets" のハイライトは、何と言っても1曲目の "Bad Case of Loving You (Doctor, Doctor)" でしょう。Moon Martin が前年に出した曲を1年後にカバーしましたが、オリジナルより Robert Palmer バージョンの方が断然有名になりました。これが、ギター・サウンドのガンガンのロックなんですね。後のヒット "Addicted To Love" への前触れと捉えられなくもありません。
続く "Too Good to Be True" は、 Palmer オリジナル。変則レゲエリズムの心地よい佳曲です。
3曲目は、Todd Rundgren の "Can We Still Be Friends?" を忠実にカバーしています。Todd Rundgren は本当にいい曲を書きますね。
このアルバムの中で、唯一(?)のソウルバラード "Mean Old World" もいい曲です。
さらに、これも Palmer のオリジナル "What's It Take?" は、少しカリビアンの香り。このアルバムが、 Palmer の好きなバハマ録音だということを思い出させます。
Eric Burdon と袂を分かった War の快心作。
乾いたアーシーなファンク・サウンドが心地いいです。
決してメロディー的にキャッチ―なものはないのですが、サウンドで押してきます。
まずはタイトル曲 "All Day Music"。フォーキーでラテン・フレイバー、オルガンとハーモニカが効いています。日曜日の午後に聴きたい。
そして "Slippin' into Darkness"。ゴスペル調に始まりますが、途中からの図太いベースラインと、ユニゾンするギターと、タイトなドラムで、ファンキー地帯へ。
ロック、ラテン、ファンク、ブルーズのミクスチャ―がいいサウンドを生み出しているんでしょうね。
"Jesus, Etc." を聴いたのは、 Norah Jones のカバーを集めたコンピレーションでした。正確には、 Norah Jones のガールズ・バンド ”Puss N Boots" のカバーですけど。
Norah Jones が、 Wilco の中でも、なぜこの曲をカバーしたのか分かりませんが、このアルバムの中では特異な曲調となっています。カントリーサイドから出てきたバンドなので親近感はあったんでしょうね。
しかし、ここに集められている曲はカントリーの枠からは大きく外れてます。オルタナティブなフォーク・ポップ・ロックといった感じでしょうか。美しいメロディラインはすばらしいものがあります。フロントマン Jeff Tweedy の才能を感じます。
残念なのはほとんどの曲で共作しているキーボードの Jay Bennett がこのアルバムを最後にバンドを離れたことです。この後のアルバムは聴いたことがないので、どういう変化になったのか。
1979年の "One on One" 、1982年の "Two of a Kind" に続く、フュージョン界のスーパースター2人のコンビネーション・アルバムの第3弾になります。
"Two of a Kind" から10年ですが、その間に、メディアはCDになり曲数が増えました。その分少し散漫な感じになったかな。
また、録音技術とシンセサイザーの力がだいぶ上がったように感じますが、僕は "Two of a Kind" の「古さ」の方が気持ちよく感じます。少し70年代っぽいというか。
この中ではやはり、ゆったりとした、音数の少ない曲、例えば #1 "Movin' On" や #3 "So Much in Common" がいいですね。心地いい!
Marvin Gaye の同年の名盤 "I want you" の裏版ともいうべきアルバム。
Leon Ware の "I want you" を聴いた Marvin Gaye が気に入ったため、Marvin Gaye に曲を提供し、さらにアルバム全体のプロデュースも Leon Ware が行っています。
楽曲提供の代償として Motown からソロ・アルバム製作の許可をもらい、同じフォーマットで残りの曲をレコーディングしたのが、この "Musical Massage" です。Ray Parker, Jr. , Chuck Rainey, David T. Walker らのバック陣もほぼ同じで、フィーリングも空気感も "I want you" を踏襲しています。
Leon Ware の "I want you" も聴いてみたいところですが、おそらく Marvin Gaye の方が何倍もいいでしょう。それだけ Marvin Gaye のヴォーカルは超絶だと思います。そういう意味でやはり、"I want you" を提供したことは、"I want you" という曲にとっても良かったですし、名声を高められたということは Leon Ware にとっても良かったのではないかと思います。
Quincy Jones と以前に一緒にやった "Body Heat"、 Minnie Riperton がいいテイストを出している "Instant Love" やボーナストラックの ”Comfort” ("I want you" アルバムに提供した "Come Live With Me, Angel")、Bobby Womack がバッキングで参加しているタイトル曲と "Holiday"(Marvin Gaye 自身も参加)と、贅沢なゲスト陣という面でも楽しめます。
1曲目の "I Love the Lord; He Heard My Cry, Pts. 1 & 2" は、何とオーケストラですし、3曲目 "Flying Easy" はフォーク・ロックとも言えます。
4曲目は、エレキ・ピアノが軽快なインスト・ナンバー、5曲目は Blood Sweat & Tears のカバー。
"Extension of a Man" というタイトルに、その意欲が表れています。
なかでもやはりハイライトは、2曲目 "Someday We'll All Be Free" でしょう。