2020年6月13日土曜日

Stuff / Stuff (1976)

"Miles in the Sky" が出たのは1968年。
Herbie Hancock にフェンダー・ローズ、Ron Carter にエレクトリック・ベースを持たせ、初めてロックを取り入れました。
ジャズ界は Miles の動きに触発され、怒涛のようにクロス・オーバー、フュージョンへと流れていきます。
その曲 "Stuff" は最初に取り組んだとは思えない完成度の高い曲になってます。

それから、8年。
Gordon Edwards は "Miles in the Sky" を意識したのかどうか分かりませんが、名うてのセッション・ミュージシャンを集めて "Stuff" というバンドを組み、ファースト・アルバムを出します。
ドラムスの Steve Gadd だけがジャズ畑出身で、他のメンバーは全て R&B 畑ですので、決してジャズ、フュージョンといった音楽をやりたかったわけではなさそうです。
ジャズ、フュージョンの枠じゃなくて、R&B とかソウル・ミュージックというジャンルで語られることも多いんですが、それもちょっと違うんよねぇ。
ファンクとかグルーブを強調したような言われ方もするんですが、どっちかというと「インスト軽音楽」って感じでしょうか。とはいってもイージー・リスニングとはだいぶ違う。
フュージョンのようにテクニックを前面に出すのではなく、曲の雰囲気を一番大切にしてそれそれがいい仕事をする、さすがセッション・ミュージシャンの集まりですね、と言いたくなります。

このアルバムは全体的に曲調は明るくて好きです。軽快な気持ちにさせてくれます。

  • "Foots" は Gale と Dupree のギターがブルージーですが、ソウルフルで明るい、さわやかな曲になっています。最初の Dupree のギターの入りなんかは、これは絶対ジャズじゃないです。エレクトリック・ブルースとR&Bが混じったような。このアルバムを代表する曲だと思います。
  • "My Sweetness" はフュージョンっぽい曲。途中盛り上がる箇所がありますが、そこから急に下る。Tee のキーボードがメロウです。
  • "(Do You) Want Some Of This" は、Edwards のうねるようなベースではじまり、Tee のキーボードがフィーチャされたリズミカルな曲。
  • "Looking For The Juice" と "Reflections Of Divine Love" は、Gale と Dupree のギター・プレイを活かしたゆっくり目の曲で、"Reflections Of Divine Love" は、ゴスペル・マナーで、後半盛り上がっていきます。
  • "How Long Will It Last" はB面の1曲目らしく、はじけるジャンプ・ナンバー。少しデキシーズ。
  • 一転して次の "Sun Song" はスロー・テンポに、Dupree の低音ギターと Tee のキーボードが絡みます。
  • "Happy Farms" は曲名通りハッピーなカントリー調の曲で、結構好きです。いっときの細野晴臣の曲調を感じさせます。
  • ラストは、ラストらしく "Dixie / Up On The Roof"、眠りに誘うような心地よさです。


リード楽器でグイグイ引っ張っていく感じじゃなくて、アンサンブル重視のバンド・サウンドが素晴らしいです。

  1. Foots (Written by Stuff)
  2. My Sweetness (Written by R.Tee)
  3. (Do You) Want Some Of This (Written by R.Tee)
  4. Looking For The Juice (Written by G.Edwards, R.Tee)
  5. Reflections Of Divine Love (Written by G.White)
  6. How Long Will It Last (Written by E.Gale)
  7. Sun Song (Written by L.Thomas)
  8. Happy Farms (Written by C.Dupree)
  9. Dixie / Up On The Roof

Gordon Edwards(b), Cornell Dupree(g), Eric Gale(g), Richard Tee(k), Chris Parker(d), Steve Gadd(d)

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