2017年1月28日土曜日

Kenya / Machito (1958)

マンボキング Machito ですが、それを期待したら期待外れです。
マンボ、ラテンというよりは、ジャズ。アフロ・キューバン・ジャズというのでしょうか。たしかにジャケットに "afro-cuban jazz" と書いてあります。

コンガ、ボンゴ、パーカッションが、ラテン・フレイバーを醸しており、フレイバーを楽しみたい人にはいいでしょう。

Dr. Buzzard's Original Savannah Band 的ですが、一歩間違えばムード音楽。

アフリカのお面のジャケットも、ちょっと違うんじゃないの?、って感じです。

2017年1月21日土曜日

PINK / 土岐麻子 (2017)

土岐麻子は今まで興味なく、FMでDJを少し聞いたことがあるくらいでしたが、聴いてみるとサウンドが心地よく、なかなか良いアルバムで、センスの良さを感じました。他のアルバムは全く分かりませんが。

彼女は作曲をするわけではなく、作曲は別の人に任せて、自分は作詞と歌うことに専念しているようです。
そういう意味では、サウンドプロデューサーとなっているトオミ ヨウの力が大きいと思われます。10曲中8曲の曲を作っています。あとの2曲がG.RINAですが、そのうちの1曲"脂肪"はいい感じです。

本人はシティ・ポップを志向しているようで、確かにそのようにも聴こえますが、エレクトリック・サウンドの心地よさが肝のように思います。

ちなみに、トオミ ヨウ、G.RINA、いずれも僕は全く知らないのですが、ちょっと興味がわきました。

2017年1月20日金曜日

For Once in My Life / Stevie Wonder (1968)

僕、正直 "For Once in My Life" って Stevie Wonder のオリジナルだと信じ切ってました。
前年のヒット曲のカバーだったんですね。
改めて いくつかのオリジナルのうちTony Bennett 版を聴いてみましたが、たるいバラッドで、これをよくあんな風にアレンジしたな、と感心しました。

アルバムの最初から3曲シングルヒット曲を続け、その他も Stevie の共作曲が続きます。

その後 Stevie が多用するクラビネットが最初に使われたアルバムとして有名ですが、このとき Stevie 18才。ヴォーカリストとしての地位を確立し、メロディメイカー、サウンドクリエイターとしての才能が花開きつつある頃ではないでしょうか。

アルバム全体のドラムス、ベースなどのサウンドが素晴らしく、まとまりのある、60年代モータウンの秀作だと思います。

The Last / スガ シカオ (2016)

アルバムを聴いたのは初めてです。
いい曲を書くんですね。驚きました。
独立して初めて、6年ぶりのアルバムだそうです。
6年間貯めてきた曲ではなくほぼすべて新しい曲で構成するよう、プロデューサーの小林武史から圧迫されたようですが、それがやっぱりよかったんでしょうか。

「何度だってやり直せばいい」という"アストライド"の一節が、"ふるえる手"で、父の助言だと分かります。

本人は「暴走」と言っていますが、歌の内容がスゴイですね。自殺、ラブホ、許せない失恋、アル中の父、不治の病の友人...

ダンスハイパーチューンもあれば、ソフトロックもあり、音楽的な豊かさも見事なものです。
傑作です。

2017年1月15日日曜日

Clarity / Zedd (2012)

Black Eyed Peas の楽曲のリミックスを手掛けた Zedd のメジャーファーストソロアルバムになります。

EDMに強力にダンス要素を織り込んだ、EDMハウスということになるのでしょうか。
どことなくクラシカルな部分もあり、昔で言うところのプログレ色も入ってきます。
全般的に言えるのは、やりすぎ感が強い、ということです。
音を塗り込め、重ねて、煽っていく手法で、大勢で楽しむ場面では盛り上がるんでしょうね。
中にはテクノチックな音もあり、好きなのですが、惜しい、といった感じです。

ディスコに寄って行った Daft Punk と、ハウスを選択した Zedd の違いがアルバムにも現れていると思います。

自身では歌わないので、歌モノのときのゲストがまあまあいい味出しています。 LizFoxesEllie Goulding ...

2017年1月8日日曜日

Heart of Trinidad / Calimbo Steel Band (1961)

有名曲を軽やかに演奏しており、トロピカル感ばっちしです。
カーニバル系の熱い演奏ではないのですが、僕が思い描くスチールパンの音楽って、こんな感じです。

インスト・ナンバーだけではなく、ヴォーカルものも半分くらいあり、それがまた心地よい。キューバのソンにも通じるトラッドな感じです。

20世紀最大の楽器発明と言われるスチールドラム(パン)。南国にぴったりの音色は、やはり南国の人でないと生み出せなかったのでしょうか。

カリプソとスチールドラム、トリニダードという小さな島で、この2つの大きな音楽を生み出したのは奇跡だと思います。

2017年1月7日土曜日

The ArchAndroid / Janelle Monáe (2010)

Janelle Monáe のメジャーファーストフルアルバムは、前作のミニアルバムからのSFストーリーの続きのようです。
ストーリー仕立てはコンセプチュアルですが、音楽はごった煮感満載です。
R&B、ファンク、ソウル、ヒップホップ、ロック、プログレ、アコースティック、レトロ、何でもありです。
メドレーで続く、2曲目から4曲目あたりがハイライトでしょうか。

あとはかなりバラエティに富んでいますが、実はそれほど僕の好みではありません。

Outkast の Big Boi のバックアップがあるとのことで、シングルとなった "Tightrope" は "Hey Ya!" ばりのダンスチューンです。曲はそれほどいいとは思いませんが、PVでの彼女のパフォーマンスは必見です。

女優を目指していただけあって、しわのない端正な顔立ち、田舎のカンザスシティではもてたでしょう。リーゼントのような独特なヘアスタイルが特徴的です。

2017年1月4日水曜日

TO CHI KA / 渡辺香津美 (1980)

この時代の日本のフュージョンというのは、今思えばある意味「日本」を表現してたと思います。
バタ臭くないというか、ファンキーでないというか、いわゆる洋楽っぽくないという意味で。
特に、高中正義カシオペアなどのギターをフィーチャしたフュージョンがそうですよね。
だからヒットしたんですかね。日本人の血というか。僕も大好きです。

この渡辺香津美の"TO CHI KA"は、こうした日本人のリズム感・メロディを表現しつつも、バックを豪華なUSメンバーで固めた、いわば混血サウンドが素晴らしい傑作アルバムだと思います。

Michael BreckerPeter ErskineKenny KirklandMarcus Miller、こういったメンバーをよく集めたものだと思います。しかも、プロデューサー兼ヴィブラフォンは Mike Mainieri
自分のサウンドを一流の人を集めて表現する、という姿勢がスゴイと思います。

Michael Brecker のサックスが素晴らしい"Cokumo Island"や当時Lo-DのコンポのCMに使われたキャッチ―な"Unicorn"をはじめ、ギターソロのかっこいい"Liquid Fingers"、"Don't Be Silly"、ルーズなファンキーナンバー"Black Canal"、シンセサイザーが特徴的な"Sayonara"など、名曲ぞろいです。
ヴィブラフォンとアクースティック・ギターのデュエットが美しい"To Chi Ka"が好きな人も多いと思います。

1979年のYMOのワールドツアー後のN.Y.録音ということで、名実ともにノッていた時期でしょう。
ちなみに、"TO CHI KA"は、裏ジャケットに写っている愛犬の名前だそうです。