今回の大きな変化は、 Wah Wah Watson の参加でしょう。オープニングの "Hang Up Your Hang Ups" のギターリフでの始まりが強烈な印象を残します。
"Hang Up Your Hang Ups" は、Herbie Hancock のポップな面が出ていてそれなりにカッコいい曲なのですが、曲調がちょっと性急すぎて、僕はもう少しルーズな方が好きです。
ギターで言えば、David T. Walker の参加も面白いところです。スローナンバーの "Bubbles" の聴きどころは、Wayne Shorter のソプラノ・サックスと、David T. Walker のギターではないでしょうか。
全編にわたって Paul Jackson のベースもうなっています。
ハーモニカで Stevie Wonder も参加しています。1976年発売の "Songs In The Key Of Life" に Herbie がゲスト参加したことのお返しかと思います。
はじまりの3曲と、終わりの2曲が Palmer 作で、中4曲がカバー、or 共作という構成になっています。
カバーは、おなじみ Allen Toussaint と、 Little Feat の他、タイトル曲 Toots & the Maytals の曲もあります。"Pressure Drop" は "The Harder They Come" のサントラに入ってましたが、後に The Clash もカバーしてます(いまいちですが)。
バックに Little Feat を起用したUSA録音。タイトなバックにソウルフルなヴォーカルで、ホーンと Lowell George のギターもまたよし。
Little Feat の "Sailin' Shoes" に入っていた "Trouble" あたりが一番盛り上がるでしょうか。オリジナルよりずっとソウル寄りです。
Curtis ディスコ時代の幕開けとなる、'78のアルバムです。ジャケットからして物語ってます。
Van McCoy の "The Hustle" が'75年、サタデーナイトフィーバーが'77年、Gloria Gaynor "I Will Survive"、Chic "Le Freak" も'78年、Donna Summer の "Hot Stuff" が'79年。そんな時代だったんですね。
LPとしては、2曲でA面を使ってます。踊るために曲を長くした結果ですね。
"Do It All Night" に続く2曲もディスコですが、こちらは少しBPMが速く、あまり僕の好みではありません。
中間の曲はなかなかの佳曲です。特に "In Love, In Love, In Love" はいいですね。
最後は "You Are, You Are" で締め。あまりにキャッチ―過ぎません?
Rolling Stone 誌の選ぶ "オールタイム・グレーテスト・アルバム500" で147位にランクされたように、世の中的には傑作として愛されているアルバムですが、実は僕はそれほど好きではありません。 Stephen Stills や Neil Young はいいのですが、 Graham Nash のフォーク・カントリー傾向が強いのがちょっと、です。
NY、ロス、ドイツなどで録音され、 Marcus Miller や Arif Mardin 、 David Gamson をプロデュースに迎えた、けっこうお金のかかっているアルバムです。
若い頃の熱唱スタイルは少し抑えられていますが、よくまとまった曲が多いように思います。
中でも "Love You All My Lifetime" が一番いいですかね。
ソロはずっと Warner Bros. からでしたが、ここでいったん Warner Bros. とはお別れとなり、次は反 Warner Bros. の急先鋒 Prince のレーベルからアルバムを出します。
したがって、"The Woman I Am" の次はベスト盤 "Epiphany" となります。
前作で Miles Davis が参加していますが、このアルバムの発売の前年に Miles Davis が亡くなったことから、このアルバムは彼に捧げられています。
これはもはやジャズではありません。高等なブラック・コンテンポラリーです。
60年代の終わりに Miles Davis が示した方向の、Quincy Jones なりの答なのかもしれません。
もちろん、これで終わりではなく、1978年の大傑作 "Sounds...And Stuff Like That!!" に拡張していきますし、1979年の "Off the Wall" 、1982年の "Thriller" にもつながっていきます。
今回のアルバムで一番色を出しているのは、ギターの George Johnson とベースの Louis Johnson かもしれません。翌年彼らは、"The Brothers Johnson" としてデビューします。
それにしても、"Mellow Madness" というタイトルは最高にカッコいいですね。
Quincy Jones 42才。挑戦してます。
1976年に中野サンプラザで行われたコンサートのライブ音源です。
George Adams(fl, ts)、Lew Soloff(tp)と、ギターに川崎燎、トランペットに峰厚介と篠原国利を加えた13人編成のバンドとなっています。
中でも川崎燎のギターが特に特徴的です。
"The Gil Evans Orchestra Plays the Music of Jimi Hendrix"のリリース後ではありますが、このアルバムからの選曲はありません。ただ、当時のエレクトリックギターをフィーチャしたバンドのサウンド志向がよくわかります。
1曲目 "Amanda" はロック色が出た、ルーズなテンポがカッコいい曲です。
2曲目 "Orange Lady" は、Charles Mingus の "Orange Was the Color of Her Dress, Then Blue Silk" ですが、Gil Evans のバンドではおなじみのモチーフです。
アルバムジャケットで Papa Wemba が着ているのは、ユニオンジャックのパーカー。決意のほどがうかがえます。
インターナショナル・マーケットでの成功を目標にパリで活動していた Papa Wemba の転機となったアルバムです。
1989年に Peter Gariel が作った REALWORLD レコードからの2枚目のアルバムになりますが、彼はここで2つの大きな変革を決断します。
1つは Pascal Lokua Kanza の起用で、曲作りとヴォーカルスタイルに変化が現れました。
もう1つは アメリカのプロデューサー Stephen Hague の起用です。1980年代に、Pet Shop Boys, Malcolm McLaren, Orchestral Manoeuvres in the Dark, New Order などのイギリス勢と仕事をしています。Stephen Hague のプロデュースで、サウンドがグッとポップになりました。
このアルバムは彼の大きな転機となったとともに、大きなチャレンジの軌跡でもあります。
「25年歌ってきましたが、このアルバムは音楽的方向性がトータルに違っています。私は聴衆のリアクションが心配です。これはエモーショナルな時間です。だからこのアルバムを "Emotion" と呼ぶことになりました」と Papa Wemba は言っています。
残念ながら、 Papa Wemba は昨年コートジボアールのステージで倒れて、66才で亡くなりましたが、彼のハイトーンヴォイスとサウンドはこの先も忘れられないでしょう。
本人は意識しているかどうかわかりませんが、 Daft Punk の影響が感じられます。Daft Punk の中でも特に、 Pharrell Williams や Nile Rodgers と一緒に作った "Random Access Memories" に寄っています。 "Random Access Memories" でも "Giorgio by Moroder" という曲がありましたが、 Daft Punk に寄っているというよりは、互いに Giorgio Moroder を意識しているから似通ってきたのかもしれないなあとも思います。
エレクトリック+ダンス・ディスコ+ファンク。いい線行ってます。
"Shake It On"、"Cloud 9"、"Dr Buzz" あたりがいいですね。