2024年7月27日土曜日

12 hugs (like butterflies) / 羊文学 (2023)

昨年の12月に出た羊文学のアルバム。メジャーレーベルとしては3枚目らしい。
"12 hugs" とあるように、12曲のアルバムです。

正直、羊文学を聴くのは初めてなので、今まで彼らがどんな音楽をやってきたのかは知りません。多分ラジオでも何かの曲を聴いたこともないんちゃうかな。
聴いた第一印象、ギター・サウンド、インディーズ感あり。ギター、ベース、ドラムスの3ピースバンドなんで、どうしてもそうなるんでしょうが、やっぱ元々ギター・サウンドが好きなんやろね。
きのこ帝国の正当な継承者って感じがします。そういう意味では、きのこ帝国が好きな"シューゲイザー"的サウンドなんかな。僕、ギター爆音サウンド自体が好きじゃないので、もちろん The Jesus and Mary Chain を源流とする「シューゲイザー」も聴いたことありません。(どうも、歌詞を床に貼って、それを見ながらギターを弾く姿が、「靴を見る人」という呼び名になったらしい)
でも、ギター・サウンドです。ベースもストロークで弾くタイプ。

荒っぽい感じはなく、メロディを奏でるギターに、そこそこ凝ったドラムパターン。
メロディは派手さはないけど、聴き込むと耳に残ります。
歌詞は適度に抽象的、適度に哀愁、バンド名通り文学的。

#2 "more than words"、#3 "Addiction"、#4 "GO!!!"、#5 "永遠のブルー" と続くあたりは、全部いい曲です。もちろん続く #6 "countdown" もいいです。
最後の "FOOL" を聴くあたりになると、もう一回聴きたくなります。

ちなみに、「羊文学」と聞くと、僕の世代は村上春樹を思い起こします。初期の作品には「羊」が出てきました。なんせ2作目が「羊をめぐる冒険」ですから。


  1. Hug.m4a
  2. more than words
  3. Addiction
  4. GO!!!
  5. 永遠のブルー
  6. countdown
  7. Flower
  8. honestly
  9. 深呼吸
  10. 人魚
  11. つづく
  12. FOOL


  • 塩塚 モエカ:Vocal, Guitar
  • 河西 ゆりか:Bass
  • フクダ ヒロア:Drums


2024年7月23日火曜日

Ethiopian Knights / Donald Byrd (1972)

僕が Donald Byrd を初めて聴いたのは、確か大学生の頃、"Black Byrd" (1973) だったと思います。
以後、1976年の "Caricatures" まで続く、Sky High 時代というか Mizel 兄弟時代というか、この時代が彼の最高だと思ってきました。
しかし、最近、その前の時代の音楽を聴くにつれ、1969年の "Fancy Free" から始まる、何と言えばいいのか、このファンク・ロック時代が一番イケてるんじゃないかと思い直してます。

時代は電化 Miles。"Miles In The Sky" が1968年。 "In A Silent Way" 1969年、"Bitches Brew" 1970年、”On the Corner” 1972年。
Miles が歩み始めた全く新しい世界に Donald Byrd も強く影響されたものと思われます。
8ビートとポリリズム、カッティング・ギター&ワウワウ・ギター、エレクトリック・ベースとエレクトリック・ピアノ。

しかし、Miles バンドとはメンバーは全く違って、かつ Miles の二番煎じではないサウンドを作り上げるところが、やっぱスーパー・ミュージシャンですね。

アルバムは、15分を超える曲が2曲と、おそらく LP に収めるための4分弱の曲が1曲で構成されていますが、長い曲のファンク感が半端じゃありません。延々とリズム・パターンが続くあたり、James Brown の世界を彷彿とさせます。

Donald Byrd のミュートをかけない、オープンなブラスサウンドが、その下地に合ってます。
最高の時代における完成形かな。


  1. The Emperor
  2. Jamie
  3. The Little Rasti


  • Bass : Wilton Felder
  • Drums : Edward Greene
  • Guitar : David Walker, Don Peake, Greg Poree
  • Organ : Joseph Sample
  • Piano : William Henderson III
  • Tenor Saxophone : Harold Land
  • Composed by Donald Byrd
  • Produced by George Butler


2024年7月15日月曜日

Honestly / Lalah Hathaway (2017)

Best R&B Performance と Best R&B Album 部門でグラミー・ノミニーズとなった、Lalah Hathaway の6枚目のスタジオ・アルバムです。

基本的には、生楽器が中心ですが、中にはゲーム音楽のような要素も取り入れているようです。
そのあたり、共同プロデューサーである Tiffany Gouché のなせる技なんでしょうか。
サウンドにもボーカルにも派手さはないんですが、中低音のボーカルの響きが自然体な感じで、好感が持てます。

Lalah Hathaway は1968年生まれですから、もう50代も後半なんですね。
言わずと知れた天才ミュージシャン Donny Hathaway の娘です。
Donny Hathaway は年には精神病に罹り1979年に亡くなっていますので、父の思い出はあまり輝かしいものではなかったかもしれませんが、それでも Donny Hathaway の娘であることは、十分彼女の重荷になったことでしょう。
しかし、彼女の音楽は確実に父親のやろうとしたことと繋がっているように感じます。


  1. Honestly
  2. Don't Give Up [Featuring Lecrae Moore]
  3. Change Ya Life
  4. What U Need [Featuring Tiffany Gouché]
  5. Call on Me
  6. Won't Let It Go
  7. Storm
  8. Y O Y
  9. I Can't Wait


  • All songs written by Lalah Hathaway and Tiffany Gouché. #2 additional Lecrae Moore.
  • Arranged by Tiffany Gouché.
  • Produced by Lalah Hathaway and Tiffany Gouché. 


2024年7月8日月曜日

Malfunction / Matumbi (2012)

配信では、"Malfunction" というタイトルで2012 年に出たことになってますが、その実、内容は2004年に出た彼らのベストアルバム "Empire Road - The Best Of Matumbi" と同じです。
メジャーレーベルEMIでの4枚のアルバムがありますが、そのEMI時代のコンピレーションです。
実際に売れたのはファーストとセカンドなので、そこ中心ですかね。(1枚はDUBアルバムなので、実質それを除く3枚のアルバムからのセレクション)

元のタイトルが "Empire Road" になっているのは、英国のドラマとのタイアップ曲で、彼らの代名詞となった曲だから。そのあたり日本と似たような感じで、親近感が持てます。

初期のU.K.レゲエは、ルーツレゲエ感が強いのですが、もちろんそういうところもありますが、全体的にもっとソフトな印象です。ラヴァーズ・ロックに通じるような。
ラヴァーズ・ロックは、ロンドンで生まれたレーベル、その名も「ラヴァーズ・ロック」を中心に発展したようですが、起用されたうちの1人 Dennis Bovell は Matumbi のリーダーですので、近い感じがあるのは当たり前ですね。

また、DUB も多用されています。
DUB というのは、マスター音源に対して、特定の楽器を強調したり、ブラスを重複させたり、あるいはDJ用にヴォーカルを抜いたりするテクニックで、本家ジャマイカでは、DJごとに主催する「サウンドシステム」用にアレンジしたものを言うようです。この前初めて知りました。
同じ曲ででも「サウドシステム」ごとに違うミックスがされていて、そこにオリジナル性を求める、という何とも凝った文化です。
この DUB は本国よりもイギリス人が気に入ったようで、イギリスでは DUB が人気だったり、ヒットが出たりしています。

Dennis Bovell, はその後、Janet Kay の "Silly Games" をプロデュースしたり、坂本龍一の "B-2ユニット" のいくつかの曲のエンジニアをしたり、Bananarama、Thompson Twins、Fela Kuti、Orange Juice、Madness などのプロデュースをしたりと、多様な活動をしています。


  1. Bluebeat And Ska (Single Version) [Seven Seals 1978]
  2. Empire Road [Seven Seals 1978]
  3. Music In The Air [Seven Seals 1978]
  4. Malfunction [Matumbi 1981]
  5. Breakdown (Single Version) [Matumbi 1981]
  6. Points Of View (Squeeze A Little Lovin') (12" Dub Version) [Point of View 1979]
  7. Guide Us Jah [Seven Seals 1978]
  8. Straight To My Head [Matumbi 1981]
  9. Rock [Seven Seals 1978]
  10. Ordinary Man [Point of View 1979]
  11. Come With Me [Point of View 1979]
  12. War [Matumbi 1981]
  13. Nothing At All (12" Dub Version) [Matumbi 1981]
  14. Black Civilisation [Point of View 1979]
  15. Blackman [1978 "Empire Road" B Side]
  16. Bluebeat & Ska (12" Dub Version) [Seven Seals 1978]