2024年11月5日火曜日

Quincy Jones R.I.P.

僕が初めて Quincy Jones の音楽に触れたのは "11-PM" のはずです。
この前亡くなった桂朝丸(ざこば)らの事件簿の最初の入りに使われてたテーマです。
その時はもちろん Quincy Jones は知らなかったですが、後で "Ironside" のテーマ曲だと知りました。

11/3に91歳で亡くなったそうです。

一般的には "Thriller" のプロデューサーとして有名で、僕が初めて彼の名前を認識したのもこの "Thriller" だったと思います。煌びやかなサウンドと、ポップセンス、ギリギリのところでアートに踏みとどまる見極めも含めてすばらしいの一言でした。その前作の "Off the Wall" も大好きです。

1991年のモントルー・ジャズ・フェスティバルでの Miles Davis とのライブ(発売は1991年)も思い出深いです。友達との登山の帰りにCD買いました。Gil Evans と Miles が作った音楽を、Quincy のバンドで演るというもの。金にものを言わせた、成功した者の特権ですかね。ちなみに Miles は2ヶ月後に亡くなっています。

Miles と Gil は Quincy のアイドルだったんでしょうが、3人ともヒップな音楽を目指していたところは共通していると思います。ジャンルとしてのジャズを志向してたんじゃなくて、イカした音楽を志向してたところ。
そういう意味では、Quincy は Miles と Gil の後継者であるとも言えます。音楽性は後年ずいぶん違った方向に進みましたけど、僕にはおんなじことをやっているように思えました。

最後に、Quincy 名義のアルバムの、僕のお気に入りをあげときます。


2024年11月2日土曜日

No one / 汐れいら (2024)

EPって何だってことですが、全8曲、まぁそこそこ立派なアルバムのような感じです。

際立っているのが、スローな曲のグッド・メロディと、ひねりのある言葉の選択です。
#1「糸しいひと」、#6「Darling you」、#7「備忘ロック」あたりのギター弾き語り系の曲のメロディは素晴らしい。
かつてバラード・バンドと言われた Eagles みたい。
(逆に、ホップなポップはいるんか?って思うくらい)

語呂合わせ的要素のある言葉は、よく練られてます。
ストーリーが思い浮かぶような歌詞は、物語を創るのが好きなんやなあ、と思います。


  1. 糸しいひと
  2. 味噌汁とバター
  3. うぶ
  4. 踊り場のサーカスナイト
  5. グレーハートハッカー
  6. Darling you
  7. 備忘ロック
  8. 笑ってベイビー


2024年10月26日土曜日

Doble Energia / Willie Colón, Ismael Miranda (1980)

これはどちらのアルバムなんでしょう。
タイトルに併記されているとおりだとすると、どちらの、というのはなさそう。
二人乗りの自転車に乗ってるジャケットは、帽子かぶってるのでよく分からんけど、前が Willie Colón で後ろが Ismael Miranda かな。

アルバム自体は、素晴らしい出来です。
安定のグルーヴ。Ismael Miranda の若々しいハイトーンのヴォーカルが曲を引っ張ります。

1曲めの "No Me Digan Que Es Muy Tarde" からグイグイ引き込まれます。
これは Jose Noguera の曲なんですが、アルバムでは Jose Noguera の曲が4曲入ってて、どれもいい感じ。

コーラスに Ruben Blades も参加しています。


  1. No Me Digan Que Es Muy Tarde [Jose Noguera]
  2. Cartas Marcadas [Ismael Miranda]
  3. Cuando Tú Quieras
  4. Biata [Jose Noguera]
  5. Mayoral [Ramon Rodriguez]
  6. Americano Latino [Jose Noguera]
  7. Tumbao Caliente [Jose Noguera]
  8. Jíbaro Castao [Julio Rodriguez Reyes]
  9. Bandolera [German Fernando]


  • Bongos, Coro – José Mangual Jr.
  • Congas, Coro – Milton Cardona
  • Timbales – Johnny Almendra, Tony Jimenez
  • Bass – Sal Cuevas
  • Bass Trumpet, Coro – Willie Colón
  • Trombone – Jose Rodriguez, Leopold Pineda, Lewis Kahn
  • Coro – Eddie Natal, Ruben Blades
  • Piano – Prof. Jose Torres
  • Strings – Harold Kohon Ensemble
  • Lead Vocals – Ismael Miranda
  • Producer – Willie Colón


2024年10月19日土曜日

Why Lawd? / NxWorries (2024)

"no worries" と読むらしい。2016年のアルバムに続く8年ぶりのセカンド。
Anderson .Paak と Knxwledge のユニットです。こちらも "knowledge" ね。

相変わらず Anderson .Paak のヴォーカルは素晴らしい!独特のザラザラ感。
Bruno Mars との Silk Sonic で「歌」に目覚めたのか、ここでも「歌」ものが多くなっているような気がします。
ラップもいいけどね。

そこに、Knxwledge のサウンド。
スロウで、ローファイ。
サンプルなのかどうかは分かりませんが、意外とギターが効いています。

前作はほぼ2人で作ったらしいですが、今作は豪華ゲストが参加しています。
H.E.R., Snoop Dogg, October London, Earl Sweatshirt, Dave Chappelle, Thundercat, Charlie Wilson などなど。
アウトロのような最後の曲 "EvnMore" でルパン三世の大野雄二の曲を使っているのが面白いところ。

チャート・アクションは思ったより伸びてませんが、ヒット・チューンというより、ゆったりとした時にずっと流しておきたいようなアルバムです。Anderson .Paak にとっては名作 "Ventura" に続く傑作だと思います。


  1. ThankU (featuring Dave Chappelle)
    • Glen Earl Boothe Jr., Dave Chappelle ,Don Milnor, Jesse Murrah
    • Contains a sample of "Thank You Jesus" by Johnnie Wilder Jr.
  2. 86Sentra
    • Brandon Anderson, Boothe
  3. MoveOn
    • Anderson, Boothe, Cassandra Monique Battle, Ann Hoon Chung, Nicholas Leon Race, Bryan James Sledge
  4. KeepHer (featuring Thundercat)
    • Anderson, Boothe, Stephen Lee Bruner, Chung
  5. Distractions
    • Anderson, Boothe
  6. Lookin'
    • Anderson, Boothe, Herbert Anthony Stevens
  7. Where I Go (featuring H.E.R.)
    • Anderson, Boothe, Maxx Moor, Gabriella Sarmiento Wilson
    • José Ríos : lead guitar
  8. Daydreaming
  9. FromHere (featuring Snoop Dogg and October London)
    • Anderson, Boothe, Calvin Broadus, Jared Samuel Erskine
  10. FallThru
  11. Battlefield
    • Anderson, Boothe, Haley Reinhart, William Stewart
    • Contains a sample of "Sitting in the Park" by the Ghost Squad.
  12. HereIAm
    • Anderson, Boothe, Gregory Cook, Kathryn Thomas
    • Contains a sample of "I'd Like to Stay" by People's Pleasure with Alive and Wild.
  13. OutTheWay (featuring Rae Khalil)
  14. SheUsed
  15. MoreOfIt
    • Anderson, Boothe
  16. NVR.RMX" (featuring Charlie Wilson)
    • Anderson, Boothe, Charles K. Wilson
  17. DistantSpace
    • Anderson, Boothe, Alana Chenevert, John Sylvester Smythe
    • Leonard "Pudge" Tribbett : drums
    • Contains a sample of "Butterflies" by Smythe.
  18. WalkOnBy (featuring Earl Sweatshirt and Rae Khalil)
    • Anderson, Boothe, Johnson, Thebe Kgositsile, Aida Osman
    • José Ríos : lead guitar
  19. EvnMore


Knxwledge

  • Anderson .Paak : vocals on all tracks except "ThankU" and "EvnMore", additional drums on "MoveOn"
  • Knxwledge : beats, production



2024年10月12日土曜日

Waterpistol / Shack (1995)

1991年に録音されたけど、その後レコード会社が倒産したり、スタジオが火災にあってマスターテープ消失したり、プロデューサーがテープを紛失したり、で、結局1995年に発売になったそうです。

プロデューサーの Chris Allison はこのアルバムの制作について言います。
"Mick could never finish anything. I’ve never worked with anyone like him, and I hope I never do again. But he's a songwriting genius and one of the most gifted artists I’ve ever worked with."
(ミックは何も完成させることができなかった。私は彼のような人と仕事をしたことがなく、二度と仕事をしないことを願っています。しかし、彼はソングライティングの天才であり、私が今まで一緒に仕事をした中で最も才能のあるアーティストの一人です)

このアルバムでの Mick Head.のソング・ライティングがものすごく冴えてる、という訳ではありません。
でも彼の作る曲の特徴である「聴き込むと耳に残る」感じは、このアルバムでも健在です。

このアルバムの後、Mick はヘロインにハマり、Shack は一旦解散となります。
しかし、再結成後に "H.M.S. Fable" という傑作を作るのはすごいです。


  1. Sgt. Major
  2. Neighbours
  3. Stranger
  4. Dragonfly
  5. Mood of the Morning
  6. Walter's Song
  7. Time Machine
  8. Mr. Appointment
  9. Undecided
  10. Hazy
  11. Hey Mama
  12. London Town


  • All tracks are written by Michael Head 


2024年10月6日日曜日

ROUND 12 / paris match (2020)

paris match はやはり、The Style Council の曲からとったとのこと。
確か原題は "The Paris Match" と "The" が付いてましたね。
ミニ・アルバムの "Introducing" では Paul Weller が歌ってましたが、ファースト・アルバム "Café Bleu" では、テンポを落として Tracey Thorn が歌ってます。 Paul Weller たっての頼みは大成功、彼らの代表曲の1曲となっています。

"ROUND 12" は彼らの12枚目のアルバム、ということ。ボクシングの最終ラウンドですが、何らかの決意の表れなんでしょうか。彼らの最終アルバムにならないことを祈ります。
サウンドはAOR、あるいはシティ・ポップ。とても聴きやすいです。

テーマはラブソングかと思いきや、意外とラブソングばかりではありません。

#2 "スターダスト" は David Bowie にインスパイヤされているようで、「スターマン」「モダン・ラブ」「サウンド・アンド・ビジョン」「ダイヤモンド・ドッグス」などが歌詞に散りばめられています。

#6 "Mr. Dekard" は「ブレード・ランナー」の世界です。Philip K. Dick の小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか? Do Androids Dream of Electric Sheep?」をそのまま曲にしています。吉田美奈子が作詞した山下達郎の「夏への扉」が Heinlein の小説をそのまま曲にしていることのオマージュと理解しました。

#9 "Happy?" は環境問題、政治などを扱った社会派の歌。

#1 "さよならシーサイド" は松岡直也の "A Farewell To The Seashore" を思い起来させます。(もっとも、日本語代は「午後の水平線」でしたが)


  1. さよならシーサイド
  2. スターダスト
  3. 悲しい夜の過ごし方
  4. Bahia Sunrise
  5. 甘い予感
  6. Mr. Deckard
  7. 恋色の街
  8. Searchin’
  9. Happy?
  10. アパルトマンの女
  11. 砂の城
  12. Billion


  • ミズノマリ、杉山洋介
  • 古澤辰勲(作詞、アートディレクション)


2024年9月28日土曜日

Nightingale / Gilberto Gil (1978)

Gilberto Gil 来日記念 & Sergio Mendes 追悼ということで聴いてみました。
"Aquele Abraço Tour 2024" ということで16年ぶりの来日なんだそうです。ロームシアター京都、めぐろパーシモンホール、高崎芸術劇場を巡ります。9/26の京都は行っときゃよかったかなぁ。
Sergio Mendes は9月の頭に83歳で亡くなりました。結構最近まで最前線でアルバム出してましたよね、かなりクオリティ高い。

ブラジルで活躍していた Gilberto Gil がアメリカ市場向けに作ったアルバムが、この "Nightingale" です。
なので、西海岸に住んでいる Sergio Mendes を頼ったんでしょうか。あるいは Sergio Mendes が Gilberto Gil を誘ったのかもしれません。

驚くことに、ミュージシャンは、ブラジルのミュージシャンではなく、アメリカのフュージョン系の一流メンバーを集めています。
Lee Ritenour, Michael Sembello, Don Grusin, Alex Acuna....
だから聴きやすいんでしょうね。トロピカル・フュージョン、といった趣です。

ほとんどは、Gilberto Gil の既存曲の撮り直し。半分くらいは英語の歌詞になっています。

レゲエ調あり、サンバあり、アフリカンあり、様々な音楽のミックスになっていますが、全てがゴリゴリではなく、心地よくブレンドされている感じでしょうか。フュージョン・ミュージシャンと Sergio Mendes のバランス感覚の結実ですね。

Gilberto Gil という名前は何となく聞いたことはありましたが、MPB、Caetano Veloso、ボサノヴァといったカテゴリーという先入観の中、あまり触れずにいたような気がします。
このアルバムは、全くその先入観から外れたものでした。トロピカル、明るい、ポップな感じが気に入りました。


  1. Sarará (Sah-Rah-Rah)
    • Bass – Abraham Laboriel
    • Drums, Percussion – Alex Acuna
    • Electric Guitar – Michael Sembello
    • Electric Piano [Fender Rhodes, Yamaha Cp-30] – Don Grusin
    • Lead Vocals, Guitar – Gilberto Gil
    • Synthesizer – Sergio Mendes
  2. Goodbye My Girl
    • Bass – Rubens Sabino Da Silva
    • Drums – Roberto Da Silva
    • Electric Guitar – Lee Retinue, Michael Sembello
    • Lead Vocals, Guitar – Gilberto Gil
    • Percussion – Alex Acuna, Roberto Da Silva, Sergio Mendes
    • Piano [Acoustic], Electric Piano [Yamaha Cp-30] – Don Grusin
    • Timbales – Alex Acuna
  3. Ella
    • Bass – Nathan Watts
    • Drums – Alex Acuna
    • Electric Guitar – Lee Ritenour, Michael Sembello
    • Electric Piano [Fender Rhodes] – Don Grusin
    • Lead Vocals, Guitar – Gilberto Gil
    • Percussion – Gilberto Gil, Laudir De Oliveira, Roberto Da Silva, Steve Forman, Sergio Mendes
    • Synthesizer – Sergio Mendes
  4. Here And Now
    • Bass – Abraham Laboriel
    • Drums – Alex Acuna
    • Electric Guitar – Michael Sembello
    • Electric Piano [Fender Rhodes] – Don Grusin
    • Lead Vocals, Guitar – Gilberto Gil
    • Percussion – Steve Forman
  5. Balafon (Bah-Lah-Fon)
    • Bass – Abraham Laboriel
    • Congas – Laudir De Oliveira
    • Drums – Alex Acuna
    • Electric Guitar – Michael Sembello
    • Electric Piano [Fender Rhodes] – Don Grusin
    • Lead Vocals, Guitar – Gilberto Gil
    • Percussion – Laudir De Oliveira, Roberto Da Silva
    • Synthesizer – Sergio Mendes
  6. Alapalá (Alah-Pah-Lah)
    • Bass – Abraham Laboriel
    • Congas – Laudir De Oliveira
    • Drums – Alex Acuna
    • Electric Guitar – Michael Sembello
    • Electric Piano [Fender Rhodes], Piano [Acoustic] – Don Grusin
    • Lead Vocals, Guitar – Gilberto Gil
    • Percussion – Gilberto Gil, Laudir De Oliveira, Roberto Da Silva, Sergio Mendes
  7. Maracatu Atômico
    • Bass – Nathan Watts
    • Drums, Congas – Alex Acuna
    • Electric Guitar – Lee Ritenour
    • Electric Piano [Fender Rhodes], Piano [Acoustic] – Don Grusin
    • Lead Vocals, Guitar – Gilberto Gil
    • Percussion – Alex Acuna, Gilberto Gil, Roberto Da Silva, Steve Forman, Sergio Mendes
  8. Move Along With Me
    • Bass – Abraham Laboriel
    • Drums – Alex Acuna
    • Electric Guitar – Michael Sembello
    • Electric Piano [Fender Rhodes, Yamaha Cp-30] – Don Grusin
    • Lead Vocals, Guitar – Gilberto Gil
    • Percussion – Alex Acuna*, Steve Forman, Sergio Mendes
    • Synthesizer – Sergio Mendes
  9. Nightingale
    • Bass – Abraham Laboriel
    • Drums – Alex Acuna
    • Electric Guitar – Lee Ritenour, Michael Sembello
    • Electric Piano [Yamaha Electric Grand Cp-709], Piano [Acoustic] – Don Grusin
    • Lead Vocals, Guitar – Gilberto Gil
    • Percussion – Steve Forman
    • Synthesizer – Sergio Mendes*
  10. Samba De Los Angeles
    • Bass – Abraham Laboriel
    • Cavaquinho – Oscar Castro Neves
    • Drums – Alex Acuna
    • Electric Piano [Yamaha Electric Grand Cp-70] – Don Grusin
    • Lead Vocals, Guitar – Gilberto Gil
    • Percussion – Roberto Da Silva, Rubens Sabino Da Silva*, Sergio Mendes
    • Synthesizer – Sergio Mendes


  • Written by Gilberto Gil, except "Goodbye My Girl" by Moacyr Albuquerque, P. Santana and "Maracatu Atômico" by N. Jacobina
  • Photography By – Norman Seeff
  • Producer – Sergio Mendes


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