2020年7月4日土曜日

It's About Time / Nile Rogers & Chic (2018)

1992年の “Chic-ism” 以来、実に26年ぶりとなる Chic のニュー・アルバムですが、Bernard Edwards と Tony Thompson がいない Chic は、もはや Chic と言えるのか、と思いますので、実際は、Nile Rogers のソロ・アルバムと言っていいでしょう。
ただ、フロントに女性ボーカルを使ったり、かつてのディスコ・サウンドを再現したりという、Chic のフォーマットを使っているのは確かなので、それで Chic の名前をあえて使ったのかもしれません。

相変わらず、カッティング・ギターが効いています。これでもか、というくらい、繰り返し、繰り返し、コピーのように使われます。
そして、BPM を刻むかのような、単調なドラム。ディスコ・サウンド。
ここには、僕たちが Nile Rogers に期待するもののが全てあります。

今回の復活は、2013年の Daft Punk“Get Lucky” への起用がベースになっているに違いありません。もう7年も前かと思いますが、彼らのディスコ・サウンドへのオマージュが、 “Random Access Memories” の大成功につながり、かつ Nile Rogers に活力を与えたのでしょう。
思えば、80年代前半は、Nile Rogers はプロデューサーとして引っ張りだこでした。
Let's Dance / David Bowie (1983)Like a Virgin / Madonna (1984)Notorious / Duran Duran (1986)Original Sin / INXS (1984)Cosmic Thing / The B-52's (1989)
いずれも商業的な成功に導きました。ダンサブルなサウンドを下敷きに、アーティストのユニークさを際立たせる力があったんでしょうね。

それでも、やはり Nile Rogers の全盛は1977年〜1979年にかけての Chic 時代だと言えます。革新的なサウンドだったが故に、ワン・パターンと認識されて飽きられてしまったのは残念ですが、そのワン・パターンこそが、ワン・アンド・オンリーだということを、僕たちは後で気づかされます。

その時代の再現に “Get Lucky” で自信を持ったのでしょう。見事に1970年代の Chic サウンドを現代のサウンドに置き換えて、再現してくれています。
中に、フュージョン的な曲(“State of Mine”)、The Stylistics の "You Are Everything" の焼き直し、”I Want Your Love” のセルフ・カバー、Nile Rogers の活躍の後の時代を担ったニュー・ジャック・スイングを再現するために Teddy Riley まで担ぎ出した曲があるのが面白いところです。豪華なゲストも見もの。


  1. Till the World Falls (featuring Mura Masa, Cosha and Vic Mensa)
  2. Boogie All Night (featuring Nao)
  3. Sober (featuring Craig David and Stefflon Don)
  4. Do You Wanna Party (featuring LunchMoney Lewis)
  5. Dance with Me (featuring Hailee Steinfeld)
  6. I Dance My Dance
  7. State of Mine (It's About Time) (featuring Philippe Saisse)
  8. Queen (featuring Elton John and Emeli Sandé)
  9. I Want Your Love (featuring Lady Gaga)
  10. New Jack' Sober" (Teddy Riley version)

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