1992年の “Chic-ism” 以来、実に26年ぶりとなる Chic のニュー・アルバムですが、Bernard Edwards と Tony Thompson がいない Chic は、もはや Chic と言えるのか、と思いますので、実際は、Nile Rogers のソロ・アルバムと言っていいでしょう。
ただ、フロントに女性ボーカルを使ったり、かつてのディスコ・サウンドを再現したりという、Chic のフォーマットを使っているのは確かなので、それで Chic の名前をあえて使ったのかもしれません。
相変わらず、カッティング・ギターが効いています。これでもか、というくらい、繰り返し、繰り返し、コピーのように使われます。
そして、BPM を刻むかのような、単調なドラム。ディスコ・サウンド。
ここには、僕たちが Nile Rogers に期待するもののが全てあります。
今回の復活は、2013年の Daft Punk の “Get Lucky” への起用がベースになっているに違いありません。もう7年も前かと思いますが、彼らのディスコ・サウンドへのオマージュが、 “Random Access Memories” の大成功につながり、かつ Nile Rogers に活力を与えたのでしょう。
思えば、80年代前半は、Nile Rogers はプロデューサーとして引っ張りだこでした。
Let's Dance / David Bowie (1983)、Like a Virgin / Madonna (1984)、Notorious / Duran Duran (1986)、Original Sin / INXS (1984)、Cosmic Thing / The B-52's (1989)…
いずれも商業的な成功に導きました。ダンサブルなサウンドを下敷きに、アーティストのユニークさを際立たせる力があったんでしょうね。
それでも、やはり Nile Rogers の全盛は1977年〜1979年にかけての Chic 時代だと言えます。革新的なサウンドだったが故に、ワン・パターンと認識されて飽きられてしまったのは残念ですが、そのワン・パターンこそが、ワン・アンド・オンリーだということを、僕たちは後で気づかされます。
その時代の再現に “Get Lucky” で自信を持ったのでしょう。見事に1970年代の Chic サウンドを現代のサウンドに置き換えて、再現してくれています。
中に、フュージョン的な曲(“State of Mine”)、The Stylistics の "You Are Everything" の焼き直し、”I Want Your Love” のセルフ・カバー、Nile Rogers の活躍の後の時代を担ったニュー・ジャック・スイングを再現するために Teddy Riley まで担ぎ出した曲があるのが面白いところです。豪華なゲストも見もの。
- Till the World Falls (featuring Mura Masa, Cosha and Vic Mensa)
- Boogie All Night (featuring Nao)
- Sober (featuring Craig David and Stefflon Don)
- Do You Wanna Party (featuring LunchMoney Lewis)
- Dance with Me (featuring Hailee Steinfeld)
- I Dance My Dance
- State of Mine (It's About Time) (featuring Philippe Saisse)
- Queen (featuring Elton John and Emeli Sandé)
- I Want Your Love (featuring Lady Gaga)
- New Jack' Sober" (Teddy Riley version)
0 件のコメント:
コメントを投稿