2025年5月24日土曜日

Whoop It Up / カメレオン・ライム・ウーピーパイ (2025)

「時空を超えて騒げ! 90年代から現代、海を超えてごちゃ混ぜに! 全人類の心を躍らせるアルバム。」というコンセプトだそうです。
「90年代」というのはよく理解できませんでしたが、彼らは Beastie Boys が大好きだそうで、そこから90年代、というのが出てきてるみたいです。と聞いても、僕は Beastie Boys を通って来てないので、そう言われても分からないんですけどね。
ただ、Rip Slyme 調の曲もあり、それも90年代を後押ししてるみたいですが、でも Rip Slyme はもっと後か。

そういえば、僕の大好きな Adidas の Campus は Beastie Boys が広めたので、親近感はあるかも。同じ Def JamRun-D.M.C. が オール Adidas だったのに乗っかったのかな。

「海を超えて」というのは、海外アーティストとのコラボが何曲かあるからです。
アメリカのラッパー MadeinTYO との #10、フロリダ南部拠点のヒップホップグループ South Strip のメンバー Coolboi との #11、フィンランドのDJ/プロデューサー Rony Rex との #12 がそれですね。
いずれも、CLWP らしさから少し外れた感じで、違う味わいを出すのには成功しています。

アルバム全体としては、ポップだけどオルタナティブ、オルタナティブ・ポップって感じかな。
メンバー(Whoopies1号、2号)はドラムスとベースですが、サウンドはキーボード・サウンドです。
電子音、ゲーム音なんかが表に出てますが、意外とトロンボーン、ピアノ、ギターなんかもフィーチャされてて、凝っていると言えば凝ってる音になってます。
ヒップ・ホップをベースにしながら、キャッチーなメロディを混ぜてる感じかな。

アルバムからの先行シングルとなった #5 なんかはハード系のギターが全面に出てて、UKロックを意識したみたいです。

先に触れた Rip Slyme 調の曲 #3 は、まんまやん、と思いましたが、本人 PES も参加しているのが面白いです。この曲は BPM を落としたバージョンが最後に入ってますが、僕はピアノ入りのこっちの方が好きです。MV のエンド・クレジット用に編集したものだと思います。これはパチスロの曲なんかな。僕はやらんからよく分からんけど。

アップ・テンポよりもミドルの方がいい感じで、一番のお気に入りは、#1 です。ゆるい感じというか、そこそこやってればいい、的なのと曲調が合ってるんでしょうね。

素晴らしいと思うのは、ヴォーカル Chi- のワード・センスと歌い方です。リズムに合った言葉を選び、リズムに最適の発声をする。歌詞は決してポップではなく、それがオルタナ感を出してます。ゲームやパチスロは共感しませんが、違う世界を生きてる感がします。

本人、もっと多くの人に聞いてもらいたい、と思っていて焦りもあるようですが、このオルタナ感とポップの両立がちょうどいいバランスで完成しているように思います。これからどう進んでいくのか。


  1. So-so Life
  2. Growing
  3. Ready Year feat. テークエム
  4. Cranky
  5. Donkey Song
  6. Sleepy Monkey
  7. Flower
  8. Secret March
  9. REACH feat. PES
  10. I Know feat. MadeinTYO
  11. Can't Hold Back
  12. Cookie Junkie
  13. Tin Toy
  14. REACH feat. PES (End Credits Edit)


2025年5月17日土曜日

Floacism "Live" / Floetry (2003)

2000年代の音がします。
2002年のファースト・アルバムの余勢をかって出したライブ・アルバム。
といっても、最初の3曲はスタジオ録音で、4曲目以降がライブになります。
もちろん、1枚しかスタジオ・アルバムが出てませんので、その "Floetic" がライブの中心ですかね。
スタジオ・ワークがいいだけじゃなく、音楽として素晴らしいのがよく分かります。
で、ライブでも当時のサウンドが鳴るのはなんで何でしょうね。
やっぱドラム・パターンかなあ。

Floetry はイギリス出身のデュオ。90年代の終わりにアメリカに移住して、活動の拠点をフィラデルフィアに定めます。そこで DJ Jazzy Jeff が主催するプロダクション・チーム "A Touch of Jazz" に加わり、活躍の手がかりを得ます。そして、Jill ScottGlenn Lewis らに曲を書き、本作でも取り上げている "Butterflies" を Michael Jackson に提供(2001の "Invincible")したことで注目されるようになります。
満を持して出したのが 2002年の "Floetic"。"A Touch of Jazz" 全面バック・アップのもと制作されたファーストは、名曲 "Say Yes" を含み、大成功します。

このアルバムはスタジオ録音3曲と、ニュー・オーリンズの "The House of Blues" での2003年のライブで構成されています。ライブは途中のMCも入れており、ライブをそのままパッケージ化した感じで、臨場感があります。
時折、観客のコーラス、レスポンスが入り、いいライブの感触が伝わってきます。最後の "Hey You" なんか会場全体で歌ってますもんね。


  1. Wanna B Where U R (Thisizzaluvsong)
    • Featuring Mos Def
    • Written by Darren "Limitless" Henson, Keith "Keshon" Pelzer, Marsha Ambrosius, Natalie "Floacist" Stewart
    • Produced by D. Henson, K. Pelzer
  2. Have Faith
    • Written by D. Henson, K. Pelzer, M. Ambrosius, N. Stewart
    • Produced by D. Henson, K. Pelzer
  3. Tell Me When
    • Written by D. Henson, K. Pelzer, M. Ambrosius, N. Stewart
    • Produced by D. Henson, K. Pelzer
  4. Big Ben
    • Written by D. Henson, K. Pelzer, M. Ambrosius, N. Stewart
  5. Opera
    • Written by I. Barias, M. Ambrosius, N. Stewart
  6. Sunshine (Intro)
  7. Sunshine
    • Written by A. Harris, M. Ambrosius, N. Stewart
  8. If I Was Bird
    • Written by K. Pelzer, M. Ambrosius, N. Stewart
  9. Say Yes (Intro)
  10. Say Yes
    • Written by A. Harris, M. Ambrosius, N. Stewart
  11. Getting Late
    • Written by M. Ambrosius, N. Stewart, V. Davis
  12. Butterflies
    • Written by A. Harris, M. Ambrosius
  13. Floetic
    • Written by D. Henson, K. Pelzer, M. Ambrosius, N. Stewart
  14. Hey You
    • Written by A. Harris, M. Ambrosius, N. Stewart


  • Vocals [Songstress] : Marsha Ambrosius
  • Rap [Floacist] : Natalie Stewart
  • Drums : Tremayne Walker
  • Percussion : James Mason
  • Bass : Dwayne Moore
  • Keyboards : Noel Terrell


  • #1-3 recorded at Sigma Sound, Philadelphia, PA.
  • #4-14 recorded live at The House of Blues in New Orleans, July 3, 2003.


  • #1 features samples from "School Boy Crush" performed by Average White Band.
  • #2 features samples of "Love Song" peformed by Mandrill.
  • #3 contains sample from "Song For Jan Hammer" performed by Emil Vicklicky.
  • #13 contains an interpolation of "Born To Be Blue" written by Melvin H. Torme and Robert Wells.


2025年5月14日水曜日

Esto Sí Es Lo Mío / Ismael Rivera y Sus Cachimbos (1978)

"This is my thing" という意味だそうです。
ラテンに特化した Tico レコードから出ていますが、Tico は1974年に Fania に買収されていますので、ディストリビュートは Fania になります。
当時 Ismael Rivera は、Fania が鳴物入りで1973年に契約を獲得した Celia Cruz に次ぐ高給だったそうです。それまでの実績がありますからね。

Ismael Rivera はプエルトリコでレンガ職人の家の長男として生まれ、靴磨きをしながらレンガ職人を目指していたそうです。音楽が好きで、親友の Rafael Antonio Cortijo とよく歌を歌っていた関係で、後に Cortijo がアメリカで結成したバンドでリードシンガーとして呼ばれます。
曲作りの才能があった彼は、作曲家としても成功します。

1987年に56歳で亡くなった彼としては、このアルバムはソロとしての後期の作品になります。
流行に乗らず、ステディなラテン・ミュージックをストレートに表現しているところに好感が持てます。
基本はサルサなんでしょうが、プエルトリコのボンバも入っているんでしょう。

サルサ界の成功したヴォーカリスト達とは明らかに一線を画したヴォーカル・スタイルは独特です。
Héctor LavoeIsmael MirandaCheo Feliciano のようなハイ・トーンではなく、ナチュラル・トーンがホントいい感じなんですよね。
このアルバムでは、彼ら Fania のスーパースターがバックを務めています。Héctor Lavoe、Rubén BladesAdalberto SantiagoNestor Sanchez。コロ、と言うのかな、コール&レスポンスの。トーンがよく合っています。

僕が Ismael Rivera を初めて聴いたのはいつの頃だったか。1975年の "Feliz Navidad" を LP で聴き、すぐに大好きになりました。何で "Feliz Navidad" を聴くことになったのかは今となっては覚えていません。

その後聴いたアルバムはどれも素晴らしいものでした。
もちろん、このアルバムも素晴らしい。


  1. Las Caras Lindas [C. Curet Alonso]
  2. Comedia [Plácido Acevedo]
  3. De Medio Lao [Javier Vazquez]
  4. A Medias No [Mario Hernandez]
  5. La Perla [C. Curet Alonso]
  6. Ella No Merece Un Llanto [Bobby Capó]
  7. Angelica [Plácido Acevedo]


  • Lead Vocals, Claves, Maracas, Produce : Ismael Rivera
  • Piano, Music Director, Arrange : Javier Vazquez
  • Coro : Adalberto Santiago, Héctor Lavoe, Nestor Sanchez, Rubén Blades
  • Bass [Bajo] : Victor Venegas


2025年5月6日火曜日

Mystic Voyage / Roy Ayers Ubiquity (1975)

3月に亡くなった Roy Ayers の追悼。

全曲というわけではないですが、アルバム全体にわたってベースがゴリゴリ効いていて、僕の好きな部類に入る音楽です。
Roy Ayers はジャズ畑をスタートとしていますが、1970年代以降は R&B, ファンクが主となり、このアルバムはファンクです。
Stevie Wonder が多用した新楽器クラビネットを使い、パーカッションを混ぜ、太いベースの上に Roy Ayers 本人のヴィブラフォンを乗せ、いい感じの曲になっています。

ほとんどがヴォーカル入りですが、珍しくヴィヴラフォンをメインにしたメロウ・チューンの表題曲もお勧めです。

僕の一番のお気に入りは、#6 "Life Is Just A Moment - Part 1" ですかね。
軽快なドラムパターンからベースが絡んでくるあたりのイントロは最高です。
"Life is just a moment
Don't waste no time thinkin' about it
Move on to that destiny
Nothing but an easy thing"
という歌詞も普遍的なメッセージですね。

カバー曲も2曲。
#4 "Take All The Time You Need" は Ashford & Simpson が前年に出したアルバム "I Wanna Be Selfish" のラストを飾る曲。意外な選曲。これをもう少しソフト&メロウに仕上げてる感じかな。
もう1曲は #8 "Funky Motion"。こちらは同じジャズ畑で同じく R&B に転身した George Benson のバンドの Ronnie Foster が同じ年に出した "Cheshire Cat" からの1曲。原曲もなかなかよし。

#9 "Spirit Of Doo Doo" の歌詞も普遍的メッセージ。
"Do whatcha wanna do
When you wanna do it
It ain't what your mamma do
It ain't what your daddy do
It ain't what your sister do
It ain't what your brother do
When you look at what you do
You got to do the Doo doo"

ラストの "The Black Five" は再度ヴィブラフォンをフィーチャした、インスト・ファンク・ナンバー。効果的にベースを効かせています。

アルバムは1975 年8月 8日に亡くなった Cannonball Adderley に捧げられています。フロリダ出身らしい大らかなファンキー・サウンドを生み出した Cannonball Adderley はアイドルの1人だったんでしょうね。


  1. Brother Green (The Disco King)
  2. Mystic Voyage
  3. A Wee Bit
    • Written & Arranged by Calvin Brown
  4. Take All The Time You Need
  5. Evolution
    • Written by Roy Ayers
  6. Life Is Just A Moment - Part 1
    • Written by Chano O'Ferral, Roy Ayers
  7. Life Is Just A Moment - Part 2
  8. Funky Motion
    • Written by Ronnie Foster
  9. Spirit Of Doo Doo
    • Written by Edwin Birdsong
  10. The Black Five


  • Vibraphone, Lead Vocals, Arp Synthesizer, Electric Piano, Clavinet, Percussion, Backing Vocals : Roy Ayers
  • Drums : Ricky Lawson
  • Percussion : Willie Michael
  • Congas, Bongos : Chano O'Ferral
  • Bass, Backing Vocals : Byron Miller
  • Guitar, Vocals : Calvin Brown
  • Lead Vocals, Backing Vocals : Chicas
  • Vocals (Special Guest) : Edwin Birdsong
  • Programmed By (Arp) : P. Craig Turner
  • Soprano Saxophone : Joe Brazil
  • Arranged (ex. #3) & Produced by Roy Ayers


  • Recorded at Kaye-Smith/Van Ackeren Studios, Seattle, Washington and Electric Lady Studio, N.Y.
  • This album is dedicated to the memory of Julian "Cannonball" Adderly and to his musical contribution to this world. – Roy Ayers