1969年~1970年は、Miles の "In a Silent Way" から "Bitches Brew" 期にあたる、特別な年代です。
後世に多大な影響を与えたこの期間の Miles の音楽ですが、残念なことにこのサウンドは、この期間のみの演奏でした。
この後、Miles は "On the Corner" 期に入り、影響を受けたジャズ界も、70年代はファンクとの融合を経て、フュージョンへと移行していきます。
そういう意味で、1969年から1970年は貴重な黄金期と言えます。
このブートレグシリーズのアルバムは1969年夏のヨーロッパツアーのフランス・アンティーヴでのライブ2日間と、冬のスウェーデン・ストックホルムでのライブを収めています。あと 同じ冬のベルリンでのライブ DVD がついてて、これがまた貴重ですね。ちなみに、この夏と冬の間に ”Bitches Brew" を録音してます。
残念ながら、フランスのライブは録音状態がイマイチで、けっこう軽いサウンドになっています。あまりベースが聴こえない。でもその分 DeJohnette のスネアの叩き具合が浮き上がって、逆にすごみが感じられます。
この頃 Miles は「ロックをやる」と言い、ロックの殿堂のフィルモアへも出演しています。このツアーでも多分同じアティチュードだったと思います。
そういう意味でこの頃のキーになる曲は、ズバリ "Directions" でしょう。どのツアーでも1曲目は "Directions" に決めてたようで、「これでどうだ!」という挨拶代わりでしょうか。この曲はスタジオ版ではそれほど感じませんでしたが、一番ロックしています。
それと、この時代の一番の特徴は、やっぱ DeJohnette のドラムだと僕は思います。人によっては Corea と Jarrett のピアノだという人もいるでしょうが。この「より多く」叩くスタイルは本当にすごいなあと感じます。それでいて、リズムキープは正確なんですよね。最近その後の DeJohnette のアルバムをいくつか聴いてますが、Miles とやってたこの頃が、一番カッコいいドラムを叩いていると思います。
CD1 1969.7.2 at Festival Mondial du Jazz d'Antibes, La Pinede, Juan-les-Pins, France
- Introduction by Andre Francis
- Directions
- Miles Runs The Voodoo Down
- Milestones
- Footprints
- 'Round Midnight
- It's About That Time
- Sanctuary
- The Theme
CD2 1969.7.26 at Festival Mondial du Jazz d'Antibes, La Pinede, Juan-les-Pins, France
- Introduction by Andre Francis
- Directions
- Spanish Key
- I Fall In Love Too Easily
- Masqualero
- Miles Runs The Voodoo Down
- No Blues
- Nefertiti
- Sanctuary
- The Theme
CD3 1969.11.5 at The Newport Jazz Festival In Europe Folkets Hus, Stockholm
- Introduction by George Wein
- Bitches Brew
- Paraphernalia
- Nefertiti
- Masqualero (incomplete)
- This
DVD 1969.11.7 at Berliner Jazztage in the Berlin Philharmonie
- Introduction by John O'Brien-Docker
- Directions
- Bitches Brew
- It's About That Time
- I Fall In Love Too Easily
- Sanctuary
- The Theme
- Miles Davis : Trumpet
- Wayne Shorter : Tenor Saxophone, Soprano Saxophone
- Chick Corea : Electric Piano, Piano
- Dave Holland : Bass
- Jack DeJohnette : Drums
参考に、今入手できる、1969年~1970年のライブアルバムを整理してみました。
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