2022年2月27日日曜日

日記を燃やして / 橋本絵莉子 (2021)

「日記」というのは過去の自分か。
はたまた、このアルバムの曲は日記のようなものにも思えます。燃やすための日記。
過去のバンドの面影が色濃く出た歌詞もある一方で、日常をデッサンした曲もあり。

飛びぬけているのは「今日がインフィニティ」ですかね。
曲を作るときの感情を表現していて、アルバムの中では一番最近できた曲らしいです。
とにかく、ドラムパターンがカッコいい。
2番のドラムなんか、たまらんですね。

「ワンオブゼム」もいい。

「あ、そ、か」は母子の微妙な親密さがあり、母、自分、子供の3世代の詩なんでしょう。ほのぼのします。


  1. ワンオブゼム
  2. かえれない
  3. ロゼメタリック時代
  4. タンデム
  5. あ、そ、か
  6. fall of the leaf
  7. 脱走
  8. 前日
  9. 今日がインフィニティ
  10. 特別な関係


  • Guitars : 曽根巧
  • Bass : 村田シゲ
  • Drums : 恒岡章


https://hashimotoeriko.com/burn-a-diary/



2022年2月20日日曜日

Short Eyes [Original Motion Picture Soundtrack] / Curtis Mayfield (1977)

"Short Eyes" は社会派ブラックプロイテーション映画らしいですが、どんな映画なんでしょうね。Curtis がサントラを手掛けている以上ものはあるんでしょうか?映画の内容は正直興味はないのですが、歌詞が映画の内容をなぞっているようなので、その1点でのみ興味あります。

サウンドトラックアルバムではありますが、ほぼ通常の Curtis のソロ作品と言ってもいいでしょう。全8曲のうち、ラストの "Father Confessor" だけがインスト曲です。

内容的には、非常に充実しています。

冒頭の "Do Do Wap is Strong in Here" は、ダンサブルな R&B。メロディもキャッチ―です。

次はストリングスとピアノが緊張感を高めている "Back Against The Wall"。名曲 "Billy Jack" に通じるものがあります。

"A Heavy Dude" もいいですね。コンガが効いてます。

そしてタイトル曲 "Short Eyes" からの "Freak, Freak, Free, Free, Free" もすばらしい。

Curtis は70年代前半に出したアルバムが売れたので、その時代が評価されがちですが、70年代中盤から80年代も負けず劣らずいいアルバムを作っています。

このアルバムを出した1977年には "Never Say You Can't Survive" も出していて、同じミュージシャンですので、兄弟アルバムのようなものでしょうか。


  1. Do Do Wap is Strong in Here
  2. Back Against the Wall
  3. Need Someone to Love
  4. A Heavy Dude
  5. Short Eyes/Freak, Freak, Free, Free, Free
  6. Break It Down (H.P. Denenberg, Martin Hirch)
  7. Another Fool in Love
  8. Father Confessor


  • Producer, Lead Guitar – Curtis Mayfield
  • Keyboards, Arranged By – Rich Tufo
  • Keyboards – Floyd Morris
  • Rhythm Guitar – Gary Thompson
  • Bass Guitar – Joseph Scott
  • Bongos, Congas – "Master" Henry Gibson*
  • Drums – Donnell Hagan
  • Backing Vocals – Alfonso Surrett, LeRoy Hutson, Ricki Linton*



2022年2月16日水曜日

Live in Europe 1969 The Bootleg Series Vol.2 / Miles Davis Quintet (1969)

1969年~1970年は、Miles の "In a Silent Way" から "Bitches Brew" 期にあたる、特別な年代です。

後世に多大な影響を与えたこの期間の Miles の音楽ですが、残念なことにこのサウンドは、この期間のみの演奏でした。
この後、Miles は "On the Corner" 期に入り、影響を受けたジャズ界も、70年代はファンクとの融合を経て、フュージョンへと移行していきます。
そういう意味で、1969年から1970年は貴重な黄金期と言えます。

このブートレグシリーズのアルバムは1969年夏のヨーロッパツアーのフランス・アンティーヴでのライブ2日間と、冬のスウェーデン・ストックホルムでのライブを収めています。あと 同じ冬のベルリンでのライブ DVD がついてて、これがまた貴重ですね。ちなみに、この夏と冬の間に ”Bitches Brew" を録音してます。

残念ながら、フランスのライブは録音状態がイマイチで、けっこう軽いサウンドになっています。あまりベースが聴こえない。でもその分 DeJohnette のスネアの叩き具合が浮き上がって、逆にすごみが感じられます。

この頃 Miles は「ロックをやる」と言い、ロックの殿堂のフィルモアへも出演しています。このツアーでも多分同じアティチュードだったと思います。
そういう意味でこの頃のキーになる曲は、ズバリ "Directions" でしょう。どのツアーでも1曲目は "Directions" に決めてたようで、「これでどうだ!」という挨拶代わりでしょうか。この曲はスタジオ版ではそれほど感じませんでしたが、一番ロックしています。

それと、この時代の一番の特徴は、やっぱ DeJohnette のドラムだと僕は思います。人によっては Corea と Jarrett のピアノだという人もいるでしょうが。この「より多く」叩くスタイルは本当にすごいなあと感じます。それでいて、リズムキープは正確なんですよね。最近その後の DeJohnette のアルバムをいくつか聴いてますが、Miles とやってたこの頃が、一番カッコいいドラムを叩いていると思います。


CD1 1969.7.2 at Festival Mondial du Jazz d'Antibes, La Pinede, Juan-les-Pins, France

  1. Introduction by Andre Francis
  2. Directions
  3. Miles Runs The Voodoo Down
  4. Milestones
  5. Footprints
  6. 'Round Midnight
  7. It's About That Time
  8. Sanctuary
  9. The Theme

CD2 1969.7.26 at Festival Mondial du Jazz d'Antibes, La Pinede, Juan-les-Pins, France

  1. Introduction by Andre Francis
  2. Directions
  3. Spanish Key
  4. I Fall In Love Too Easily
  5. Masqualero
  6. Miles Runs The Voodoo Down
  7. No Blues
  8. Nefertiti
  9. Sanctuary
  10. The Theme

CD3 1969.11.5 at The Newport Jazz Festival In Europe Folkets Hus, Stockholm

  1. Introduction by George Wein
  2. Bitches Brew
  3. Paraphernalia
  4. Nefertiti
  5. Masqualero (incomplete)
  6. This

DVD 1969.11.7 at Berliner Jazztage in the Berlin Philharmonie

  1. Introduction by John O'Brien-Docker
  2. Directions
  3. Bitches Brew
  4. It's About That Time
  5. I Fall In Love Too Easily
  6. Sanctuary
  7. The Theme
  • Miles Davis : Trumpet
  • Wayne Shorter : Tenor Saxophone, Soprano Saxophone
  • Chick Corea : Electric Piano, Piano
  • Dave Holland : Bass
  • Jack DeJohnette : Drums

参考に、今入手できる、1969年~1970年のライブアルバムを整理してみました。

Title Time Place Sax Key D/Per B/G
(In a Silent Way) 1969.
2.18




at New Port:
Bootleg#4
1969.
7.5
New Port - Corea DeJohnette Holland
Live in Europe:
Bootleg#2
1969 Miles
1969.
7.25,26
Antibes Shorter Corea DeJohnette Holland
(Bitches Brew) 1969.
8.19-21





Live in Europe:
Bootleg#2
1969.
11.5
Stockholm Shorter Corea DeJohnette Holland
The Lost Quintet 1969.
11.9
Rotterdam Shorter Corea DeJohnette Holland
Live at Fillmore
East
1970.
3.7
Fillmore East Shorter Corea DeJohnette
Moreira
Holland
(Jack Johnson) 1970.
2-4





Black Beauty 1970.
4.10
Fillmore West Grossman Corea DeJohnette
Moreira
Holland
at Fillmore:
Bootleg#3
1970.
4.11
Fillmore West Grossman Corea DeJohnette
Moreira
Holland
(Live-Evil,
Studio part)
1970.
2.6-6.4





at Fillmore:
Bootleg#3
1970.
6.17-20
Fillmore East Grossman Corea
Jarrett
DeJohnette
Moreira
Holland
Bitches Brew Live 1970.
8.29
Wight, UK Bartz Corea
Jarrett
DeJohnette
Moreira
Holland
Cellar Door Sessions
Live-Evil
1970.
12.16-19
D.C. Bartz Jarrett DeJohnette
Moreira
Henderson
McLaughlin

2022年2月12日土曜日

Cheo / Jose "Cheo" Feliciano (1971)

"Anacaona" を初めて聞いたのは、もちろん Fania All-Stars の "Live At The Cheetah" でした。そのときは全く意識してなかったのですが、そのヴォーカルは Cheo" Feliciano でした。自分の持ち歌を Fania All-Stars で歌ったということですね。

このアルバムは、ブラスを使っていない、という大きな特徴があります。Salsa ではキレのあるブラスが盛り上げるのがパターンですが、あえてブラスを外したことで、何か新鮮な色彩を出しています。
代わりにグルーヴを出しているのが Larry Harlow のピアノです。Louie Ramirez のビブラフォンと合わせてある種爽やかさを担当しているようにも思います。
(ちなみに、Fania All-Stars の "Anacaona" ではブラスが入っています)

Joe Cuba や  Eddie Palmieri のバンドで成功し、例に漏れずドラッグでキャリアを中断した後、カムバックで初めてソロ作を出したのがこのアルバムです。全面的に Fania のメンバーがバックアップしています。


  1. Anacaona
  2. Pienso En Ti
  3. Pa' Que Afinquen
  4. Mi Triste Problema
  5. Esto Es El Guaguanco
  6. Si Por Mi Llueve
  7. Franqueza Cruel
  8. Mano Caliente
  9. Medianoche Y Sol
  10. Poema De Otono


  • Piano – Larry Harlow
  • Vibraphone– Louie Ramirez
  • Tres – Charlie Rodriguez
  • Congas, Coro – Johnny Pacheco
  • Bongos – Johnny Rodriguez
  • Bass – Bobby Valentin
  • Coro – Justo Betancourt, Santos Colón
  • Timbales – Orestes Vilato
  • Maracas, Claves, Coro – Ismael Quintana
  • Electric Guitar – Vinnie Bell
  • Producer – Jerry Masucci, C. Curet Alonso



2022年2月8日火曜日

Infinite Search / Miroslav Vitous (1970)

Weather Report の初期メンバー Miroslav Vitous。でも正直、あまり印象がありませんでした。
どっちかというと、 Vitous が抜けた後のファンキー路線のエレクトリック・ベース・プレーヤーの方が印象に残っています。もちろん Jaco とかね。

で、なんで聴いてみたかというと DeJohnette なんですね。1969年~70年にかけての Miles のライブ・アルバムを改めて聴いて、 DeJohnette すごいな、と思っていたところ、このアルバムに行き着いたというわけです。

聴いてみて、ぶっ飛びました。

特に1曲目 "Freedom Jazz Dance"。Eddie Harris の独特なテーマの曲です。確か Miles もやっていたと思いますが、そのストレート・アヘッドさとは違って、実に "Bitches Brew" なんですね。
"Bitches Brew" の John McLaughlin 大好き人間の僕にとって、天国のような曲です。
録音も "Bitches Brew" から2か月しか経ってなくて、しかも DeJohnette、Hancock、McLaughlin が参加してるんだから、まんまになるのも仕方ないのかも。

"Freedom Jazz Dance" 以外は Vitous の曲で、ベースがメインの曲になりますが、これが素晴らしい響きを持っています。(私はベースを弾かないのでどれほどか分かりませんが、超絶テクニックらしいです。)

ある意味、Jaco よりもかっこいいかも。しかもウッドで。

そして再び McLaughlin がフィーチャされるのが  "I Will Tell Him On You"。これもまたカッコいい。

いあや、これだけの名盤を今まで知らなかったのは、まったく損してました。


  1. Freedom Jazz Dance
  2. Mountain In The Clouds
  3. When Face Gets Pale
  4. Infinite Search
  5. I Will Tell Him On You
  6. Epilogue


  • Bass – Miroslav Vitous
  • Drums – Jack DeJohnette (1-5), Joe Chambers (6)
  • Electric Piano – Herbie Hancock
  • Guitar – John McLaughlin
  • Tenor Saxophone – Joe Henderson
  • Producer – Herbie Mann
  • Written By – Eddie Harris (1), Miroslav Vitous (2-6)


Recorded , N.Y. in November 1969.