2021年8月22日日曜日

Completely Well / B. B. King (1969)

B. B. King の代表曲 "The Thrill Is Gone" 収容の重要アルバム。
B. B. King 44歳の作品です。

The Beatles の成功から、アメリカ、イギリスで、ロックという巨大市場が生まれ、その時期にちょうど脂の乗ったプレイができたことが B. B. King の幸運でしょう。きっちりその運を掴みました。
The Rolling Stones のオープニングアクトをやっていたということですから、若造め、と思いながらなのか、売れるパワーというのは彼らの方が桁違いなので、リスペクトしながらなのかは分かりませんが、そういったことがこのアルバムの成功にもつながっているのでしょう。
Mick や Kieth にとっては、ブルーズの先生です。John Lennon や Paul McCartney がロックンロールジャイアントに憧れたのと違って、多分あとでアメリカの巨大なブルーズの世界を知って、深掘りしていったのでしょう。

"The Thrill Is Gone" はオークランドのピアニスト Roy Hawkins 1951年の作品のカバーです。ゆったりとした、悲しげなギターがすばらしい。特徴的なストリングスが加えられています。
悪い時期が去ったというラブソングですが、人種差別を示唆した歌にもなっています。
B. B. King はライブでは必ず演奏するそうです。

確かに、"The Thrill Is Gone" は飛び抜けていますが、その他の曲が駄作かというととんでもない。全曲力の入った素晴らしい曲ばかりで、1曲目の "So Excited" から最高です。

プロデューサーは Eagles でお馴染みの Bill Szymczyk、やっぱりいい仕事してます。


  1. So Excited
  2. No Good
  3. You're Losin' Me
  4. What Happened
  5. Confessin' the Blues
  6. Key to My Kingdom
  7. Cryin' Won't Help You Now
  8. You're Mean
  9. The Thrill Is Gone


B.B. King: Vocals, lead guitar
Hugh McCracken: Rhythm guitar
Paul Harris: organ, acoustic and Fender Rhodes electric piano
Jerry Jemmott: Bass
Herbie Lovelle: Drums

Produced by Bill Szymczyk


2021年8月15日日曜日

Bigger Than Both of Us / Daryl Hall and John Oates (1976)

前年のシルバー・アルバムとほぼ同じフォーマットの、RCA第2弾アルバム。

セカンドシングル "Rich Girl" は彼らにとっての初の#1ヒットとなりました。
これはハンバーガーチェーンの御曹司からインスパイヤされたとのこと。この Errol Wetson は Ernest Hemingway の孫娘であるモデルの Margaux Hemingway と結婚してます。それが1975年。ハンバーガーチェーン "Wetson's" は1975年に別のファーストフードチェーンと統合して名前はなくなっています。
Motown っぽい曲ですが、アルバムの中ではかなりポップ寄りです。

一方で、ファーストシングルの "Do What You Want, Be What You Are" はフィラデルフィアソウルのバラッドで、こちらも佳曲です。

アルバムは "Back Together Again" で始まりますが、実はこの曲が一番好きです。スリリングなイントロ、グルーブするベース、ファルセットコーラスがたまりません。こういうのって、やっぱり John Oates ですよね。

ややこしいのは、"Bigger Than Both of Us" という曲が、次のアルバム "Beauty on a Back Street" に入っていること。このアルバムには入ってません。後から作ったのか、このアルバムの選に漏れたのか。

Eagles が "New Kid in Town" を出したのが1976年12月。この頃の Hall & Oates はニューカマーとして噂の中心だったんでしょうね。

1. Back Together Again John Oates
2. Rich Girl Daryl Hall
3. Crazy Eyes John Oates
4. Do What You Want, Be What You Are Daryl Hall, John Oates
5. Kerry Stephen Dees, Daryl Hall
6. London Luck & Love Sara Allen, Daryl Hall, John Oates
7. Room to Breathe Sara Allen, Daryl Hall
8. You'll Never Learn Daryl Hall, John Oates
9. Falling Daryl Hall

Daryl Hall vocal, keyboards, mandola, synthesizer
John Oates vocal, rhythm guitars, harmonica
Christopher Bond lead guitar, keyboards, synthesizer
Tom Hensley acoustic piano
Scotty Edwards bass
Leland Sklar bass
Jim Gordon drums
Ed Greene drums
Slugger Blue "G kick" drums on "You'll Never Learn"
Gary Coleman percussion
Tom Scott flute, saxophone, lyricon
Charles DeChant saxophone
Ron Barry Cover Artwork

Produced by Christopher Bond
Recorded at Cherokee Studios (Hollywood, CA).

2021年8月9日月曜日

Let's Do It Again / The Staple Singers (1975)

同名のブラックスプロイテーション映画のサントラで、Curtis Mayfield が手がけています。
映画が面白いのかどうかは知りません。

The Staple Singers といえば、メンフィスのスタックス時代が最も商業的に成功し、印象が強いのですが、そのスタックス・レコードが倒産してしまいます。The Staple Singers に声をかけたのが Curtis Mayfield でこのアルバムの発売ということになりました。ただし、The Staple Singers が Curtis のレーベル "Curtom" からアルバムを出したのはこの1枚だけとなります。1枚だけの契約だったんでしょうね。次作からは Warner Music と契約しています。

表題曲は、The Staple Singers にとって最大のヒットになっていますから、スタックスを失った彼らにとっては、Curtis は救いの神だったと言えるかもしれません。

一方の Curtis は、前年に “Claudine" / Gladys Knight and the Pips 、翌年に “Sparkle" / Aretha Franklin などのサントラを手がけており、結構サントラづいています。有名どころを丸ごと契約するのは難しいけど、サントラなら1枚ずつ契約できるというレーベル経営上の解だったのかもしれません。
そして、1975年には大名盤 “There’s No Place Like America Today" を出しています。翌1976年にはこれまた名盤 “Give Get Take and Have” を出し、ラブソング時代の幕開けとなっています。

そのような背景のこのサントラ・アルバムですが、意外と Curtis 色ゴリゴリというわけではありません。Mavis Staples の唄が勝っているのか、あるいは引き立てようとしているのか、オーソドックスな R&B の雰囲気を出しています。

しかし、バックをよく聴くと、独特のワウ・ワウ・ギターや、コンガ、ストリングスの絡みなど、やっぱ Curtis すごいわ、という内容になっているところはさすがです。

後半3曲はインスト曲で、こうなるともはや The Staple Singers は関係ありません。サントラとして、どこまでシーンと連動しているのかは分かりませんが、歌無しでも存在感があります。

いずれにせよこのアルバムはThe Staple Singers × Curtis Mayfield という成功例ですね。


  1. Let's Do It Again
  2. Funky Love
  3. A Whole Lot of Love
  4. New Orleans
  5. I Want to Thank You
  6. Big Mac
  7. After Sex
  8. Chase

Arranger : Rich Tufo, Gil Askey
Producer : Curtis Mayfield