2020年4月30日木曜日

IT'S A POPPIN' TIME / 山下達郎 (1978)

1978年3月の六本木ピット・インでのライブ。
前年の "SPACY" と、この年の12月に出ることになる "GO AHEAD!" の間の初ライブ・アルバムになります。

とにかく、演奏が最高です。素晴らしい。上手い。
Ds:村上秀一、Gt:松木恒秀、Key:坂本龍一、Bs:岡沢章に山下達郎がギター。吉田美奈子がバック・ヴォーカル、土岐麻子のお父さんがサックスで入ってます。

本人の曲だけでなくカバーを3曲やっているのも魅力です。特にブレッド&バターの "Pink Shadow" は出色のできで、テンポアップしたアレンジがカッコいい。

また、前2枚のアルバムには入っていない新曲も結構あって、新曲6曲、旧作5局、カバー3曲の計14曲の構成で、最後アカペラで締めるという、LPで2枚組ですから、売れなかったんでしょうねえ。
まあ、予算削減のためのライブ・アルバムですのでしょうがないんですが、それだけ演奏レベルが高かったということでしょう。

  1. SPACE CRUSH
  2. 雨の女王(RAIN QUEEN)
  3. ピンク・シャドウ
  4. 時よ
  5. シルエット
  6. WINDY LADY
  7. 素敵な午後は
  8. PAPER DOLL
  9. CANDY
  10. エスケイプ
  11. HEY THERE LONELY GIRL
  12. SOLID SLIDER
  13. CIRCUS TOWN
  14. MARIE

松木恒秀インタビュー:https://www.phileweb.com/interview/article/201008/31/76_2.html

2020年4月25日土曜日

The Real McCoy / McCoy Tyner (1967)

1965年に Coltrane のもとを離れ、2年置いて、新たに契約した Blue NOte から出した初めてのアルバムです。McCoy は「本物」という意味で、Real McCoy は「正真正銘の本物」。Blue NOte は McCoy Tyner を売り出すのに、いいタイトルをつけました。

音的にはピアノを前面に出した作りではなく、あくまでグループとしての音楽を表現しているようです。
やはり Coltrane カルテットの名残があるのか、テナー、ピアノ、ベース、ドラムのセットで、McCoy Tyner は快活に弾いてます。Coltrane カルテットの時と同じように、少しくぐもった、暗いトーンが特徴的です。
伴奏スタイルが合ってると自分では思っているんでしょうか。私なんかはテナーがなくてもいいのに、と思ってしまいます。

それにしても、Elvin Jones はすごいです。Tony Wiliams もすごいと思いましたが。リズムを刻むのではなく、楽器を奏でて、バンドを煽るという感じ。

私は熱心なジャズ・ファンではないので、ポスト Coltrane の McCoy Tyner を聴くのは初めてですが、ストレート・アヘッドな快作だと思います。ご冥福を祈ります。

2020年4月19日日曜日

Manic / Halsey (2020)

最近の曲は短い。16曲も入って、47分。

音楽的には、バラエティにとんでいて、様々なジャンルの音楽が共存している、珍しいパターンです。
それぞれの歌に合わせた音楽スタイルを取っているんでしょうね。
ダークR&B、カントリー、ハードロック、EDM、ラップ、なんでもアリ。

しかし、アルバム全体として、音楽的には統一感がなくても、すべて真ん中には Halsey 自身がいるような感じを受けます。
率直でパーソナルな歌詞にのせて、ハスキーなヴォーカル。

音楽のジャンルは、彼女自身を表現する手法の一部に思えます。

2020年4月12日日曜日

失恋スクラップ / コレサワ (2020)

コレサワの歌は、ラジオから「恋人失格」が流れてきたとき初めて聴きました。なんだ、このヘタクソな歌は、これが狙いなのか、と妙に惹かれました。

で、聴いたみたわけですが、ヘタっぽいのは、この曲だけでした。男目線の曲なので、それなりに低く歌っていて、ちょっと無理があったみたい。
その他は、基本元気。失恋ソングがコンセプトですが、湿っぽくならずに泣いてる感じ。
失恋と元気が中和されてちょうどいいのかも。
逆にハッピーソングだと、目も当てられない感じになるんじゃないかと。

女子の気持ちを赤裸々に歌ってるんだけど、こういうキャピキャピ元気なのって女子にウケるんだろうか?
男性陣には、ちょっとって感じなので、誰をターゲットにしてこれから歌を作っていくんだろう、と少しマーケティング目線で考えちゃいました。

2020年4月5日日曜日

No Beginning No End 2 / José James (2020)

Bill Withers が亡くなりました。"Lovely Day", "Lean on Me" は素晴らしい名曲です。
"Lean on Me" を初めて聴いたのは、Club Nouveau のバージョンで、"Lovely Day" は "The Bodyguard" のサントラでした。どちらも今も大好きですが、曲がいいから誰がカバーしてもいいアレンジになる。もちろん Bill Withers のオリジナルも最高です。

というわけで、Bill Withers のカバーアルバムを出している José James です。
Blue Note とたもとを分かち、自身のレーベルからの再出発の第1段。Blue Note からの1st "No Beginning No End" に "2" をつけ、新たな門出のタイトルとしています。もちろんこれは特別なことでないという意味も込めて。

サウンドはアコースティックでオシャレ。ジャズにカテゴライズされることも多いですが、オーガニック・ポップとでもいうべき、ユニークなものです。ジャズは味付け程度、そこがソフィスティケーテッドを感じさせる要素かもしれません。

2曲目 "You Know What It Do" は Prince へのトリビュートらしいですが、いきなり「イチ、ニイ、イチ、ニイ、サン、シー」で始まるので、びっくりしてしまいました。最後の "Oracle" では高尾山での自然録音が生かされているようですし、かなり日本に特別な感覚を持っているんでしょうか。

"Just the Way You Are" のカバーはイマイチですが、全体的には、ダークな Rap, R&B が全盛の今、好感が持てます。