2019年1月27日日曜日

Meddle / Pink Floyd (1971)

"Atom Heart Mother" に続く5作目であり、出世作となった "The Dark Side of the Moon" の前作となります。
"Atom Heart Mother" ほどの実験度合いはありませんが、より1曲1曲の完成度を上げた感じでしょうか。

彼らをプログレッシブ・ロックという人が多くいますが、クラッシックをロックに取り入れるという意味でのプログレッシブさは、僕は全く感じません。それよりも、現代アートへの接近を強く感じます。そこが僕の惹かれるところです。

ドラマチックな "One of these days" で始まり、"A Pillow of Winds"、"Fearless" とフォークロック調の曲、ラグタイム風の "San Tropez"、犬の鳴き声をフィーチャしたブルース "Seamus" と続き、最後大作 "Echoes" で締めくくられます。今回も全体をしめているのは、David Gilmour のギターサウンドです。

一番 Pnk Floyd らしい曲は最後の "Echoes" で、このアルバムの代表曲とされていますが、僕のお気に入りは、"Fearless" です。普通のロック曲のようでもありますが、SEを入れ、一風変わった風味を出しています。

2019年1月20日日曜日

Sweet Exorcist / Curtis Mayfield (1974)

タイトなリズムにストリングス、繊細な音の使い方。改めて、70年代のミュージシャンの腕の確かさと、それをベースにしたすばらしいアレンジに感心しました。
最初の "Ain't Got Time" 、最後の "Make Me Believe in You" あたりのアレンジはいいですね。

ハイライトは、"Kun Fu" でしょう。名作 "There's No Place Like America Today" に通じるような、緊張感のある曲調とアレンジと弾むメロディ。ゲットーに生まれ、Kung Fu と名付けられた主人公。"Keep Your Head High Kung Fu"

数曲入っているラブ・ソングが、その後の序章になっているのかもしれません。

2019年1月13日日曜日

Maelo El Sonero Mayor / Ismael Rivera (1980)

サルサ界の素朴派、Ismael Rivera のラスト・スタジオ・アルバムになります。
Ismael Rivera はプエルトリカンなのですが、プエルトリコの音楽自体が「素朴」が特徴となっているようです。
高いレンジの音を使わず、話す程度のレンジを意識して使っているのでしょう。
洗練されたニューヨーク・サルサの中ではかなり異質と言えますが、でも僕は大好きです。

昔たまたまレコード屋の LP の束から "Feliz Navidad" を見つけて聴いたときは、その独特な歌声がとてもしっくりくることがうれしい驚きでした。

このアルバムは、ジャケットは正直イマイチですが、内容的には相変わらずすばらしい。
最初の "Me Tienes Loco" からその独特のグルーヴに持って行かれ、2曲目 "Dueña De Mi Inspiración" 、3曲目 "Suena El Bongo" とノリノリに続きます。"Suena El Bongo" はちょっとベテラン演歌歌手チックですが。
4曲目 "Cachita" は Ruben Blades のような海洋的広がりを持ったアレンジ。
個人的には、続く "A Bailar Mi Bomba" と "Dime La Verdad" がベスト。ブラスやコーラス・アレンジがいちばん FANIA に近いからかもしれません。
その後、スローな "Si No Te Veo Mas" に移り、再度アップテンポの "A Quilo El Bombon" で締めます。

もっと若い頃のアルバムも聴こうっと。

2019年1月4日金曜日

Working Nights / Working We Aek (1985)

Working Week は1983年に結成され、これは初フルアルバムとなります。
ギタリストとサックスプレーヤーとヴォーカリストによる変則バンドですが、Simon Booth によるジャズへの傾倒が、サックスプレーヤーとのタッグに結びついたのでしょう。

当時のイギリスでは、ニューウェーヴの嵐の影響下にありながらも、新しい流れを模索する動きが多発していたと思います。ラテン、ジャズ、フォーク、ソウル、ラップ、レゲエ、テクノ...
シンセサイザーとラテン、ファンクが融合したファンカラティーナがポップシーンを席巻する一方で、アコースティックとジャズも大きな潮流となっていきました。ジャズの流れはラップと融合し、その後アシッドジャズへと向かいます。
Simon Booth の指向したラテン、ソウル、ジャズの融合は時代と見事にマッチし、Working Week は時代をリードしていったように思います。

Marvin Gaye の "Inner City Blues" のファンク的な解釈に始まり、"Sweet Nothing"、"Thought I'd Never See You Again" といった静かで洗練されたソウルジャズに続き、そして強烈なラテンダンスナンバーの "Stella Marina" で終わるこのアルバムは、見事としか言いようがありません。 

後の Working Week が確立していくソフィスティケイトされた音楽は、既にこの時点で完成していました!