最近ミュージシャンの死には驚かないほど、続けて多くの偉大なミュージシャンが亡くなっていますが、D'Angelo の訃報には驚きました。
10月14日に膵臓癌で亡くなったとこと、51歳だったことが報じられていました。
死ぬには若いし、3枚しかアルバムを作っていないし、まだまだこれからですよね。
膵臓癌で死んだ伯母の葬儀で「膵臓は沈黙の臓器と言われます」と伯父が語っていたのを思い出しました。
もしかしたら D'Angelo も闘病生活は短く、発見されてからあっという間に亡くなったのかもしれません。
このアルバムも出てから10年経ってたのを迂闊にも死んでから気づきました。ついこの前出たような気がするのに。
Prince のように多作なら、もしかしたらもう十分かも、と思わせますが、至って寡作。
前2作とも、全然違う手触りのアルバムでしたが、このアルバムも全く違った感じです。
こういうのを1枚1枚作ってたら、そらなかなかできんわな、と思います。
今作は全部アナログ機材を使って録音したとのこと。
こういうこだわりが完成を遅らすんでしょう。
もっと良くなる、とアイデアを入れるたび録音し直して、前のを消して。
Prince といえば、今回のアルバムでは随分 Prince 寄りになったな、と感じました。
ファルセットとコーラスという D'Angelo 代名詞であるスタイル、タイトなサウンドとファンクネスが Prince 的なものと重なるんでしょうか。
評価的には、Sly & The Family Stone の "There's a Riot Goin' On" や Miles Davis の "On the Corner" に比されることが多いようですが、あそこまで削ったドラムマシンファンクやポリリズムでもありません。
ただ、少しズレたアフタービートが、強烈なグルーヴを生み出し、独特なファンクネスになっているのは確かです。
僕が意識して D'Angelo を聴いたのは前作 "Voodoo" からでした。友人に勧められたんだと思います。
1にも2もなく、すぐに好きになりました。
キャッチーなメロディがある訳でもないのに、ずっと聴いていたくなるようなサウンド。
Electric Lady Studios を拠点にしていた Soulquarians の中心にいたのが D'Angelo。
全く無名だったファーストアルバム "Brown Sugar" はいわゆるネオソウルの先駆けになったと思います。
今回のこのサウンドも、その後至る所に与えた影響を感じます。
そういう、常にムーヴメントの中心になるべき才能を持っているのはすごいことです。
人間としては非常に控え目。少しナイーヴなところが、ドラッグやアルコールに弱いところに通じるんでしょうか。
前作以降、人目を避けるようになり、レコード会社からも見放され、突然14年ぶりにでた今作でしたが、素晴らしい出来です。
"Black Messiah" というタイトルが、人種問題を想起させ、人種問題トラブルからアルバム発売を早めた、とのことですから、当然社会問題を全面的に扱っているのかと思いきや、純粋ラブソング数曲あり、意外と硬派一辺倒ではないようです。
少し遊びの入ったサウンドの曲もありますし、エンターテインメントとしても十分成り立つ構成になっているのも才能がなせる技ですね。
本来はキーボードプレーヤーですが、人から遠ざかっている間、ギターの練習に明け暮れていたそうで、このアルバムでもほとんどの曲でギターを弾いているらしいです。
生きていたら、次ももっとアッと言わせるサウンドを作り出していたでしょうから、この才能が消えてなくなってしまったのは本当に残念なことです。
- Ain't That Easy
- Lyrics by D'Angelo, Q-Tip, Kendra Foster
- Music by D'Angelo
- 1000 Deaths
- Lyrics by D'Angelo, Kendra Foster
- Music by D'Angelo
- The Charade
- Lyrics by D'Angelo, Kendra Foster
- Music by D'Angelo, Questlove
- Sugah Daddy
- Lyrics by D'Angelo, Q-Tip, Kendra Foster
- Music by D'Angelo, Pino Palladino, James Gadson
- Really Love
- Lyrics by D'Angelo, Gina Figueroa, Kendra Foster
- Music by D'Angelo
- Back to the Future (Part I)
- Lyrics by D'Angelo
- Music by D'Angelo
- Till It's Done (Tutu)
- Lyrics by D'Angelo, Kendra Foster
- Music by D'Angelo
- Prayer
- Lyrics by D'Angelo
- Music by D'Angelo
- Betray My Heart
- Lyrics by D'Angelo
- Music by D'Angelo
- The Door
- Lyrics by D'Angelo, Kendra Foster
- Music by D'Angelo
- Back to the Future (Part II)
- Lyrics by D'Angelo
- Music by D'Angelo
- Another Life
- Lyrics by D'Angelo, Kendra Foster
- Music by D'Angelo, Questlove
- D'Angelo : vocals, guitar, piano, organ, keyboards, synthesizers, bass, electric sitar, drum programming, percussion
- Spanky Alford : guitar
- Jesse Johnson : guitar
- Mark Hammond : guitar
- Isaiah Sharkey : guitar
- Pino Palladino : bass, electric sitar
- Ahmir "Questlove" Thompson : drums, drum programming, percussion
- Roy Hargrove : trumpet, cornet, flugelhorn
- James Gadson : drums
- Chris Dave : drums, drum programming
- Kendra Foster : background vocals
- Jermaine Holmes : background vocals
- Ahrell Lumzy : background vocals
- Gina Figueroa : spoken word
- “1000 Deaths” contains a portion of the audio from the film The Murder of Fred Hampton.
- “Really Love” contains a sample from “We the People Who Are Darker Than Blue”, written and performed by Curtis Mayfield.
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