アトランティックからアリスタ移籍後のセカンド・アルバムになります。
Aretha は1942年生まれやから、このとき39歳か。さすがにちょっと声も変わってきたな、という印象です。後期の Aretha っぽいというか。
このアルバムの一番の売りは、表題曲 "Love All the Hurt Away" でしょうか。なんと George Benson とのデュエットに挑戦してまあまあ成功しています。狙うところは AOR 路線でしょうか。もちろん Benson なんでそうなんでしょうね。
1981年といえば Benson が "Give Me the Night" (1980)を出した直後、ノリに乗っているときです。残念ながらここでは Benson のギターは聴けません。
このアルバムのイマイチなところは、選曲にまとまりがないこと。
#2の "Hold On, I'm Comin'" (もちろん Sam & Dave のカバーです)はいきなり派手なブラスとコーラスでたまげます。これが、グラミーの 「女性ベスト R&B ヴォーカル・パフォーマンス」に選ばれてるのも驚きですが。でもまあ、曲調を別としてヴォーカルだけを取り上げれば、そりゃ Aretha やからすごいでしょうよ、という感想です。
もう一つ驚きなのは、Diana Ross の曲をカバーしていること。前年の同名映画 "It's My Turn" の主題歌らしいですが、Diana と Aretha というのは対極のヴォーカル・スタイルですので。よっぽど曲が好きなのか、ヴォーカル・スタイルの幅を広げようと思っていたのか。でも、結局は Aretha スタイルで歌い上げてますので、前者なんでしょうかね。
スローな曲もたくさん入っているのですが、やっぱりミドル〜アップ・テンポの曲の歌は圧巻ですね。鞠のような弾力のあるヴォーカルはダンサブルになればなるほど、あるいはゴスペル調になればなるほど輝いてくるように思います。
中でも Rod Temperton が書いた "Living in the Streets" と Burt Bacharach の筆になる "Truth and Honesty" はいいですね。
特に "Truth and Honesty" は全く Bacharach らしくありませんが、ポップスの名曲だと思います。イントロのギターとバックのカッティング・ギターがカッコいい。
Rod Temperton の起用といい、TOTO のメンバーの起用といい、のちの "Thriller" と被るところがありますが、その他にも、David Foster, Marcus Miller など豪華なバック陣を用意したのはプロデューサーの Arif Mardin のセンスとアリスタが力を入れている証拠でしょう。
Rolling Stones のカバー "You Can't Always Get What You Want" もあり、Aretha の曲も2曲あり(これまた良し) バラエティに富んだ(悪く言えばまとまりのない)アルバムですね。
- Love All the Hurt Away "duet with George Benson" (Sam Dees)
- Hold On, I'm Comin' (David Porter, Isaac Hayes)
- Living in the Streets (Rod Temperton)
- There's a Star for Everyone (Allee Willis, Don Yowell, David Lasley)
- You Can't Always Get What You Want (Mick Jagger, Keith Richards)
- It's My Turn (Carole Bayer Sager, Michael Masser)
- Truth and Honesty (Burt Bacharach, Carole Bayer Sager, Peter Allen)
- Search On (Chuck Jackson)
- Whole Lot of Me (Aretha Franklin)
- Kind of Man (Aretha Franklin)
- David Foster – keyboards (1,3)
- Robbie Buchanan – keyboards (2,4)
- Greg Phillinganes – keyboards (2-7,10)
- David Paich – piano, Fender Rhodes (5,7–9)
- Buzz Feiten – guitar (1,7)
- David Williams – guitar (2-9,10)
- Steve Lukather – guitar (5-9)
- Louis Johnson – bass (1,3)
- Marcus Miller – bass (2,4,5,7–10)
- Abraham Laboriel – bass (6)
- Jeff Porcaro – drums
- Paulinho da Costa – percussion (1,3,5)
- Steve Ferrone – percussion (7)
- Produced by Arif Mardin & adit Aretha Franklin (7,9,10)
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