2022年4月3日日曜日

Love All the Hurt Away / Aretha Franklin (1981)

アトランティックからアリスタ移籍後のセカンド・アルバムになります。

Aretha は1942年生まれやから、このとき39歳か。さすがにちょっと声も変わってきたな、という印象です。後期の Aretha っぽいというか。

このアルバムの一番の売りは、表題曲 "Love All the Hurt Away" でしょうか。なんと George Benson とのデュエットに挑戦してまあまあ成功しています。狙うところは AOR 路線でしょうか。もちろん Benson なんでそうなんでしょうね。
1981年といえば Benson が "Give Me the Night" (1980)を出した直後、ノリに乗っているときです。残念ながらここでは Benson のギターは聴けません。

このアルバムのイマイチなところは、選曲にまとまりがないこと。
#2の "Hold On, I'm Comin'" (もちろん Sam & Dave のカバーです)はいきなり派手なブラスとコーラスでたまげます。これが、グラミーの 「女性ベスト R&B ヴォーカル・パフォーマンス」に選ばれてるのも驚きですが。でもまあ、曲調を別としてヴォーカルだけを取り上げれば、そりゃ Aretha やからすごいでしょうよ、という感想です。

もう一つ驚きなのは、Diana Ross の曲をカバーしていること。前年の同名映画 "It's My Turn" の主題歌らしいですが、Diana と Aretha というのは対極のヴォーカル・スタイルですので。よっぽど曲が好きなのか、ヴォーカル・スタイルの幅を広げようと思っていたのか。でも、結局は Aretha スタイルで歌い上げてますので、前者なんでしょうかね。

スローな曲もたくさん入っているのですが、やっぱりミドル〜アップ・テンポの曲の歌は圧巻ですね。鞠のような弾力のあるヴォーカルはダンサブルになればなるほど、あるいはゴスペル調になればなるほど輝いてくるように思います。

中でも Rod Temperton が書いた "Living in the Streets" と Burt Bacharach の筆になる "Truth and Honesty" はいいですね。
特に "Truth and Honesty" は全く Bacharach らしくありませんが、ポップスの名曲だと思います。イントロのギターとバックのカッティング・ギターがカッコいい。

Rod Temperton の起用といい、TOTO のメンバーの起用といい、のちの "Thriller" と被るところがありますが、その他にも、David Foster, Marcus Miller など豪華なバック陣を用意したのはプロデューサーの Arif Mardin のセンスとアリスタが力を入れている証拠でしょう。

Rolling Stones のカバー "You Can't Always Get What You Want" もあり、Aretha の曲も2曲あり(これまた良し) バラエティに富んだ(悪く言えばまとまりのない)アルバムですね。


  1. Love All the Hurt Away "duet with George Benson" (Sam Dees)
  2. Hold On, I'm Comin' (David Porter, Isaac Hayes)
  3. Living in the Streets (Rod Temperton)
  4. There's a Star for Everyone (Allee Willis, Don Yowell, David Lasley)
  5. You Can't Always Get What You Want (Mick Jagger, Keith Richards)
  6. It's My Turn (Carole Bayer Sager, Michael Masser)
  7. Truth and Honesty (Burt Bacharach, Carole Bayer Sager, Peter Allen)
  8. Search On (Chuck Jackson)
  9. Whole Lot of Me (Aretha Franklin)
  10. Kind of Man (Aretha Franklin)


  • David Foster – keyboards (1,3)
  • Robbie Buchanan – keyboards (2,4)
  • Greg Phillinganes – keyboards (2-7,10)
  • David Paich – piano, Fender Rhodes (5,7–9)
  • Buzz Feiten – guitar (1,7)
  • David Williams – guitar (2-9,10)
  • Steve Lukather – guitar (5-9)
  • Louis Johnson – bass (1,3)
  • Marcus Miller – bass (2,4,5,7–10)
  • Abraham Laboriel – bass (6)
  • Jeff Porcaro – drums
  • Paulinho da Costa – percussion (1,3,5)
  • Steve Ferrone – percussion (7)
  • Produced by Arif Mardin & adit Aretha Franklin (7,9,10)


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