2020年11月29日日曜日

MOONGLOW / 山下達郎 (1979)

1979年のこの時期においては、山下達郎はほぼマイナーな存在だったと言っていいと思います。

次に出る "Ride on Time" で一気にブレーク・アップすることになりますが、その直前の上向き度合いが感じられます。

一番いい曲は、"永遠のFull Moon" でシングルカットもされています。ドラム・パターンが心地よいです。いい曲ではあっても、売れるようなキャッチーさはないですが。

Curtis Mayfield バリの "Rainy Walk" は、翌年出たシングル "Ride on Time" のB面に入れていることから、本人も気に入っていたのかもしれません。Curtis ほどねちっこくはありません。

"Funky Flushin'" は、"Bomber" の人気を受けて発展させたもの。ポリリズム路線で、この後もいろいろな曲で試しているようです。

"Hot Shot" は、ファンキーさの中にギターソロが入ってくるという、典型的なブラック・ロックですが、歌詞が "Solid Slider" 路線ですね。

シンセが効いているファンク・ナンバー "Yellow Cab" から一番ポップと言える(初めてのタイ・アップ JAL) "愛を描いて -Let's Kiss The Sun- でアルバムは締めくくられます。

相変わらず凝った作りの曲ばかりですが、どちらかというとライブを意識した作り出そうで、大半の曲はパーマネント・バンド・メンバーで録音されています。また、ほとんど全ての曲の作詞が吉田美奈子というのもこのアルバムの特徴でしょう。


  1. 夜の翼(Nightwing)
  2. 永遠のFull Moon
  3. Rainy Walk
  4. Storm
  5. Funky Flushin'
  6. Hot Shot 
  7. Touch Me Lightly
  8. Sunshine -愛の金色-
  9. Yellow Cab(イエロー・キャブ)
  10. 愛を描いて -Let's Kiss The Sun-


  • Guitar : 椎名和夫(2,5,6,8-10), 山下達郎(2,5,6,8-10), 松木恒秀(4,6), 松原正樹(3)
  • Bass : 田中章宏(2,5,6,8-10), 岡沢章(4,6), 細野晴臣(3)
  • Drums : 上原裕(2,5,6,8-10), 村上秀一(4,6), 高橋幸宏(3)
  • Keyboards : 難波弘之(2,5,6,8-10, 佐藤博(3,4,6)
  • Synthesizer : 坂本龍一(9)
  • Percussion : 斉藤ノブ
  • Songs : 吉田美奈子(2-6,8-10), Chris Mosdell(7)


2020年11月23日月曜日

MATOUSIC / 竹内アンナ (2020)

この前サイクリングしながら聴いたら、気持ちよかったあ。
ハイパーなアップチューンがいい!
それに、若い!

こういう曲は、コードを追いかけて作るようには感じなかったんですが、本人はギタリストだというのに驚きました。
アコギで作曲しているのか?
しかも Earth, Wind and Fire のような R&B に影響されているとのこと。
新感覚です。
そう言えば、Earth もギターの使い方がかっこいいもんね。

R&B かと言われれば、ちょっと違ってて、J-Rock かと言われれば全くかけ離れれてるし、ポップスかと言われればポップではあるし、シティ・ポップの要素もあるうえに、ウェストコーストの香りもするし。
何とも違うオリジナリティがあるのがすごい。
新鮮な柑橘系果物を割ったような感じ。

ハイパー系の、"RIDE ON WEEKEND", "B.M.B", "I My Me Myself", "Free! Free! Free!"...
kiki vivi lily を彷彿とさせる "TOKYO NITE", "Midnight Step"
宇多田ヒカルライクな "20 -TWENTY-"
そして、ギターがかっこいい "ALRIGHT" で終わります。

これからどう展開していくんだろう。楽しみです。
(このアルバムの後に出た EP "at Four" はさらにポップになってます)

  1. RIDE ON WEEKEND
  2. B.M.B
  3. I My Me Myself
  4. TOKYO NITE
  5. If you and I were,
  6. 伝えなきゃ、届かなきゃ、君に聞こえなきゃ。
  7. 20 -TWENTY-
  8. Midnight Step
  9. SUNKISSed GIRL
  10. Free! Free! Free!
  11. ALRIGHT


2020年11月17日火曜日

The Omni-American Book Club: My Journey Through Literature in Music / Brian Lynch Big Band (2019)

 Brian Lynch は、トランペッターですが、Eddie Palmieri と永年一緒に働いていたように、ラテン・ジャズ・フィールドのプレーヤーでもあり、Art Blakey の最後のバンドにもいたように、ストレート・ジャズでも活躍しています。

Art Blakey 自体は、アフロなビッグ・ビートが特徴のドラマーですので、アフロ・ジャズのフィールドとも言えます。

そんな Brian Lynch ですから、このアルバムでも、ラテン、アフロ、ストレートのそれぞれのテイストをブレンドしたジャズを聴かせてくれます。ビッグ・バンド編成で、スウィングするきっちり構成された楽曲に好感が持てます。

特に、アルバムの冒頭の3曲、"Crucible for Crisis"、"The Struggle Is in Your Name"、"Affective Affinities" は、ラテン、アフロ・テイストがあり、特に印象に残ります。ラテンの特徴であるフルートを使ったり、ボレロ、チャチャチャそのものを取り入れたりしています。もちろんコンガも効いてます。

ストレート・サイド・ジャズでは、"Opening Up" がいいです。ビッグ・バンドらしいゴージャズさとB級映画的要素があり、かっこいいです。

アルバムは 2020年 GRAMMY® Best Large Ensemble Album Award を獲得しています。 


  1. Crucible for Crisis
  2. The Struggle Is in Your Name
  3. Affective Affinities
  4. The Trouble with Elysium
  5. Inevitability and Eternity
  6. Tribute to Blue (Mitchell)
  7. Opening Up
  8. Africa My Land
  9. Woody Shaw
  10. The Struggle Is in Your Name (extended version)
  11. Woody Shaw (extended version)


<Personnel>

  • Brian Lynch : leader, composer, arranger, trumpet
  • Michael Dudley : trumpet
  • Jean Caze : trumpet
  • Jason Charos : trumpet
  • Alec Aldred : trumpet
  • Tom Kelley : alto, soprano sax, flute
  • David Leon : alto sax, flute, clarinet
  • Gary Keller : tenor, soprano sax, flute, clarinet
  • Chris Thompson-Taylor : tenor sax, clarinet
  • Mike Brignola : baritone sax, bass clarinet
  • Dante Luciani : trombone
  • Carter Key : trombone
  • Steven Robinson : trombone
  • John Kricker : bass trombone
  • Alex Brown : piano
  • Lowell Ringel : bass
  • Boris Kozlov : electric bass
  • Kyle Swan : drums
  • Murph Aucamp : percussion
  • Little Johnny Rivero : percussion (5, 7)

<Guest artists>

  • Dafnis Prieto : drums (1)
  • Orlando “Maraca” Valle : flute (1)
  • Donald Harrison : alto sax (2, 10)
  • Regina Carter : violin (3)
  • David Liebman : soprano sax (4)
  • Jim Snidero : alto sax (6)


2020年11月8日日曜日

afropia / 小泉今日子 (1991)

小泉今日子と同い年なのが自慢でしたが、最近の若者は小泉今日子自体を知らない、という事実に気づいて、近頃はあまり言ってません。

ということは、このアルバムが出たとき25才。

思えば、この頃小泉今日子は、尖った感性のアイドル、という何か危なっかしい存在でした。
急速に大人の世界に近づいて行って、不安よりも喜びが大きいような。
それは、同じ時代を生きる僕も同じ感覚でした。急速に世界が広がって、消化できていないうちに次の刺激があるといった感覚です。

音楽的には、藤原ヒロシとタッグを組んだり、近田春夫に近づいたり。
どこまでが作られたものか分かりませんが、当時のスタッフのインタビューによると、小泉今日子の性格を核にして、彼女の世界を形作るために曲作りやアルバムコンセプトを決めていっていたようです。

このアルバムのコアは、"あなたに会えてよかった" です。小林武史はこの曲が売れて自信がついたと言っていますし、小泉今日子はレコード大賞の作詞賞を受賞しています。当時の主演ドラマ「パパとなっちゃん」の主題歌ということもあり、お父さんのことを念頭においた詞と本人は言っていますが、まあそれはアイドル的発言なんでしょう。
別れをポジティブに感謝に転換したいい曲です。

全体的には、それまでの尖った路線から少し落ち着いた感じで、ほとんどの作詞を小泉今日子自身が手掛けています。
解散したばかりの JAGATARA のメンバーが作曲陣に加わり(5曲)、藤原ヒロシ(2曲)やチェッカーズ藤井尚之(2曲)、おもしろいところではサザンの関口和之の曲も取り上げていますが、いろんな人が作曲しているにもかかわらず、統一感はあります。余裕のある曲調と、アーシーなサウンドのせいでしょうか。

小泉今日子の若く優しい歌声に癒されます。

  1. 君はSunshine     作詞・作曲 EBBY
  2. 夜を駆けぬけて     作詞 小泉今日子、作曲 EBBY
  3. あなたに会えてよかった 作詞 小泉今日子、作曲 小林武史
  4. プロセス       作詞 小泉今日子、作曲 藤井尚之
  5. Afropia       作詞 小泉今日子、作曲 OTO
  6. あなたがいた季節   作詞 小泉今日子、作曲 鈴木祥子
  7. 最後のkiss       作詞 小泉今日子、作曲 EBBY
  8. Endless…       作詞 小泉今日子、作曲 藤原ヒロシ
  9. 休日の過ごし方     作詞 小泉今日子、作曲 藤原ヒロシ
  10. 君に届くかな?     作詞 小泉今日子、作曲 OTO
  11. 風になりたい     作詞 小泉今日子、作曲 藤井尚之
  12. 海を見ていた     作詞 小泉今日子、作曲 関口和之