2020年10月31日土曜日

I Heard That! / Quincy Jones (1976)

"The Musical World of Quincy Jones"

2枚組LPで、1枚目は新曲、2枚目は過去発表曲のコンピレーションという変則アルバムです。
それって、Michael の "HIStory" と同じ手じゃん。Michael にこんなやり口あるよ、と Quincy が耳打ちしたのか。
確かに一石二鳥だと思うし、入り口としては入りやすいし、買いやすい。
でも、アルバムとしての評価はイマイチになっちゃうのは何でやろうね。アルバムとして認められない、というか。

それでも、この "I Heard That!" の新譜盤だけでもいいと思います。

70年代初め以降のブラック・コンテンポラリー路線をまた1つ推し進め、次の "Sounds...And Stuff Like That!!" へのブリッジとなっています。

ポップR&B "Things Could Be Worse For Me"
ゴスペル調の "What Good Is A Song"
TV Show "Rebop" の曲 "You Have To Do It Yourself"
O'jays のような "There's A Train Leavin'"
弾むシンセとホーンが絡むインスト "Midnight Soul Patrol" 最高です。
Toots Thielemans のハーモニカがほっこりさせる "Brown Soft Shoe"

と、まあいろんなタイプの曲が入り乱れてますが、なんとなく統一感があるのは Quincy のすばらしいところです。

  1. I Heard That!!
  2. Things Could Be Worse For Me
  3. What Good Is A Song
  4. You Have To Do It Yourself
  5. There's A Train Leavin'
  6. Midnight Soul Patrol
  7. Brown Soft Shoe
  8. Superstition
  9. Summer In The City
  10. Is It Love That We're Missin'
  11. Body Heat
  12. If I Ever Lose This Heaven
  13. Killer Joe
  14. Gula Matari
  15. Theme From "The Anderson Tapes"
  16. Walking In Space

Side C(#9-12) is the Award Winning Side
Side D(#13-16) is the Grammy Winning Side


2020年10月25日日曜日

MONOCHROME / 吉田美奈子 (1980)

アルファレコードができて契約条件が緩くなったので、前作から2年開いたそうです。

初のセルフプロデュースですが、非常によくできた傑作です。

ピアノを基調に、ベースが強調され、シンセが特徴的です。

1曲目 "TORNADO" や "MIDNIGHT DRIVER" などは、独特のファンクになってます。

アメリカのディスコやソウルの真似ではなく、日本人として昇華して別物を作ったような感じです。

サウンドも、ウェストコーストのような乾いた感じではなく、少し湿度が高いです。

あいかわらず松木恒秀のギターはカッコいいし、時折入ってくる Mike Mainieri のヴィブラフォンも心地いい。


  1. TORNADO
  2. RAINY DAY
  3. BLACK MOON
  4. SUNSET
  5. AIRPORT
  6. MIRAGE
  7. MIDNIGHT DRIVER
  8. 午後 (AFTERNOON)


Musician:吉田美奈子(key)、松木恒秀(G)、岡沢章(B)、渡嘉敷祐一(D)、清水靖晃(Sax)、Mile Mainieri(Mallets)
Produced by 吉田美奈子
Sound by 吉田保
All songs written by 吉田美奈子 except #2 by 山下達郎


2020年10月11日日曜日

M.V.P. / Harvey Mason ‎(1981)

ジャズ、フュージョンのミュージシャンを使っていますが、これはジャズとかではなく、ディスコ、R&B のジャンルに入るべき音楽です。

ほとんど Earth, Wind & Fire ですね。1981年ですから、 Earth, Wind & Fire が "Let's Groove" を出したあたり。

盟友 Herbie Hancock で言えば "Magic Windows" を出してます。

  • Kool and the Gang "Celebration"
  • Rick James "Give It to Me Baby"
  • Evelyn "Champagne" King "I'm In Love"

ディスコのブームは定着しつつ、ファンク色が強くなってきたような時代でしょうか。

Harvey Mason と周辺のミュージシャンは持てるテクニックを駆使して(それほど駆使しなくても大丈夫でしょうが)、そのど真ん中にストレートを投げ込んだ感じです。

どの曲もすばらしい。彼のソロ・アルバムを聴くのはこれが初めてなので、他とは比べられませんが、スキのないタイトなポップ・ディスコ・サウンドを作り上げてます。スローな曲もいいんですがね。

翌年、Marvin Gaye が "Sexual Healing" を出し、ブラック・ミュージックでは火がついたようにシンセによるサウンドづくりが盛んになり、懐かしのブラコン時代に入っていきます。

  1. How Does It Feel
  2. We Can Start Tonight
  3. Universal Rhyme
  4. Spell
  5. On And On
  6. Going Through The Motions
  7. You And Me
  8. Don't Doubt My Lovin'

  • Drums – Harvey Mason
  • Bass – Deon Estus
  • Guitar – Lee Ritenour, Mike Levin*, Spencer Bean
  • Synthesizer – Michael Boddicker
  • Producer – Harvey Mason
  • Co-producer – Kenny Mason

2020年10月4日日曜日

Pick Me Up Off the Floor / Norah Jones (2020)

前作 "Day Breaks" はすばらしいアルバムで、好きでした。

ミニアルバム "Begin Again" を挟み、フルアルバムとしては4年ぶりとなるそうです。

イメージ的には、前作よりさらに落ち着いて、スローになって、かつプライベートになったような気がします。

バンドの構成がシンプルだからでしょうか。ピアノとドラムス、ベースに、静かにホーンやストリングス、ハーモニカ、オルガン、スティールギターが絡んでくる。

編成はジャズなのですが、ジャズのくくりに入れるにはあまりにユニークです。

Norah Jones ミュージックというものを完全に確立しています。オリジナルです。

カントリー、オルタナティブロック、ポップスを通過してきたことが大きいのかもしれません。

初め聴いたときは、ジャケットのようにモノクロームで単調な感じを受けたのですが、曲が際立ってくると少しずつカラーが感じられる、そんなアルバムです。アルバムトータルとして統一感があります。

"Hurts To Be Alone", "Heartbroken, Day After", "This Life", "Were You Watching?" あたりがお気に入りです。


  1. How I Weep
  2. Flame Twin
  3. Hurts To Be Alone
  4. Heartbroken, Day After
  5. Say No More
  6. This Life
  7. To Live
  8. I’m Alive
  9. Were You Watching?
  10. Stumble On My Way
  11. Heaven Above