2020年3月29日日曜日

Nocturne / Charlie Haden (2001)

Gonzalo Rubalcaba を聴いてみようと思って、このアルバムを手にしました。
結果、これが Rubalcaba の魅力がいっぱい詰まったアルバムなのかどうかは分かりませんでした。

ベーシストの Charlie Haden と、ピアニストの Rubalcaba 、ドラムの Ignacio Berroa を基本として、曲によってサックス、バイオリン、ギターを組み合わせた編成となっています。
Rubalcaba 作曲などの数曲はピアノが前面にフィーチャされていますが、それ以外はサックス、バイオリン、ギターの音色が「いい感じ」を出しています。特に Pat Metheny アコースティック・ギターの #2 はいいですね。

ボレロをやらないか、ということで Haden が Rubalcaba に声を掛けていて、忙しい2人がやっと2000年に録音できたものらしいです。メキシコとキューバのボレロ・クラシックから8曲、Haden 2曲、 Rubalcaba 1曲の計11曲が録音されています。
ボレロというのは、スペインで18世紀に始まったダンス音楽ですが、南米に渡ってからは様相を変え、ゆっくりとしたバラード音楽になります。まずキューバから広まり、メキシコに移りました。そういう意味ではスペイン語圏の音楽ですかね。僕の大好きな"Buena Vista Social Club" で再発掘された Ibrahim Ferrer も「ボレロ歌手」ということになっています。

全曲スロー・バラード。アルバムタイトルのとおり、夜を思わせる落ち着いた雰囲気を醸し出していて、バーなどでは最適の BGM でしょうね。

2020年3月22日日曜日

Roberta Flack & Donny Hathaway (1972)

Roberta Flack と Donny Hathaway は当時のニュー・ソウルと言われる音楽運動の中では、かなり近い音楽性を持っていると思うので、ベスト・マッチだと思います。
Roberta Flack の音楽は、それまでのいわゆる黒人音楽、Black Music のカテゴリーからはかなり逸脱した、リリカル、フォーキー、クラシカルなものなので、その当時の人は驚いたことでしょう。

The Beatles 以降のロックの隆盛とともに、R&B ×ロック、ジャズ×ロック、ラテン×ロック、クラシック×ロックの掛け算ムーヴメントが起こり、一気にポピュラー・ミュージックの可能性が広がりました。Roberta Flack の音楽はその一形態であり、残念ながら十把一絡げにニュー・ソウルにカテゴライズされてしまいましたが、かなりユニークです。

Roberta Flack 自身はあまり曲を書かないので、当然アルバムも他人の曲、あるいはカバーが中心になります。
このアルバムでは、Carole King の "You've Got a Friend" や "Where Is the Love" あたりが有名ですが、僕は黒人アイデンティティーを強調した、"Be Real Black for Me" や "I (Who Have Nothing)" が好みです。Nina Simone にも通ずるところがあります。
それと、"You've Lost That Lovin' Feelin'" ですよね。僕の世代では、なんと言っても、Hall & Oates のカバーですが、この The Righteous Brothers の名曲を見事に自分流にアレンジしているのは素晴らしいです。

全体に、フュージョンの香りのする、気持ちのいいアルバムです。

2020年3月15日日曜日

北極星 / 藤巻亮太 (2017)

ソロ3作目ですが、僕がソロを聴くのは初めてです。
なぜ聴こうかと思ったかと言えば、レミオロメンの"3月9日"のアコースティック・ギターをちょうど練習してるからです。
期待してましたが、まあ、そんなに名曲はポンポン出てこないですよね。

全体的には、無理がない、自然体な感じがします。

いっときは、登山家になったのかと思いましたが、こうやって歌い続けていくんでしょうね。

2020年3月7日土曜日

Chasing Summer / SiR (2019)

スロウというよりはスムーズ。オーガニックな感触があります。
エンジニア出身だけあって、音の作りが丁寧で、安心感があります。

アルバム・ジャケットは、バゲージ・クレーム・タグを集めたもので、曲の大半はツアー中にレコーディングしたものだといいます。
"Chasing Summer" というのは、夢や自由を追いかける、ということを表しているらしく、「追う」「ツアー」「飛行機」というのがつながってるみたいです。

所属レーベルから Kendrick Lamar が参加した "Hair Down" がリード・シングルで、1曲めからいきなりハイライトです。

その後も一貫して、ギミックが多くない、スムーズ R&B。好感が持てます。

途中で、いきなり日本語が出てきてびっくりしましたが、こういうのが LA なんですかね。

2020年3月1日日曜日

Dancer in Nowhere / 挾間美帆 (2018)

グラミー賞にノミネートされたということで(残念ながら受賞は逃しましたが)聴いてみました。不勉強でそれまでは名前も知りませんでした。
ラージ・ジャズ・アンサンブル部門は、基本的には僕の好きなタイプのジャンルです。

聴いてみると、素晴らしくいい!
ジャズ、クラシックというジャンルを超えた、別の次元にあるかなりオリジナリティの高い音楽だと思いました。ストリングス、ボイス(コーラス)、フレンチホルン、ヴィブラホン、クラリネット、フルートなどの多用が特徴的なのか、古典的なジャズのスイングが表に出ていない曲調がそう感じさせるのか。とにかくすべての曲が単調では終わりません。テーマは繰り返されるのですが、ダイナミックに曲調が変わっていくのが面白いところです。一方でジャズらしく、インプロビゼーションもあります。

アルバムの冒頭は、"Today, Not Today"。最初のピアノとクラリネットがゆるい感じで、女性的です。重層的な金管楽器の重なりに弦楽器。不思議な感触です。
一転、2曲目は激しく始まります。"The Cyclic Number" は「整数を掛けると各桁の数字を巡回させた数になる整数」という数学用語のようですが、その趣向を曲にも込めているのが面白いところです。
ラストのタイトル曲は元々、“いま、ここに立って風を感じるの” だったのを英語に上手く訳しきれず、"Dancer in Nowhere" になったとのこと。そう思って聴くと、そんな風にも聴こえます。いい風なのか悪い風なのかは分かりませんが。

昨年から The Danish Radio Big Band の指揮者になっている彼女。今後の活躍にも期待したいです。