2019年11月23日土曜日

The Magazine / Rickie Lee Jones (1984)

Rickie Lee Jones 3枚目のアルバムですが、全体的な感じとしては、1枚目 "Rickie Lee Jones" と2枚目 "Pirates" を足して2で割ったような印象です。
1枚目、2枚目と比べてそれほど評価は高くないようですが、僕は好きです。
それまでの、ジャズ、フォーク、ロック、ポップを混ぜた、独特のサウンドは際立ってはいませんが、70年代にレイドバックしたようなメロディとサウンドが心地よいです。もちろんブラスも入れて、ジャズテイストも忘れていません。

麻薬と酒のアディクションから逃れて、パリで作った曲を完成させたようで、やはり女性にしてはかなり飛んだ人ですよね。

1984年は、ブリティッシュインベイジョンの真っ最中で、エレクトロニカ、ファンカラティーナといったポストパンクの中では埋没したのでしょう。僕自身当時は正直眼中にありませんでした。
でも、いい曲、いいアルバムというのは普遍性があるんですね。

2019年11月13日水曜日

vivid / kiki vivi lily (2019)

今年聴いたアルバムの中でベストじゃないでしょうか。
こういうの好きです。
テクノでもあり、ディスコでもあり、ポップでもあり。
けだる系のヴォーカルとコーラスとラップもよし。

以前の彼女のミニアルバムと比べると、歌詞に重点が置かれているように思います。キラキラ大人女子的なところは、僕にとっては異次元ですが、あまり聴いたことのない類の歌詞です。"デニールの意味"とか、"カフェインの中毒"とか、"アイスみたいに溶ける"とか、"52分だけ"とか。

サウンドはソフト、スカスカ感がちょうどいいですね。松任谷由美や土岐麻子が好き、というのも分かります。

本人のヴィジュアルが意外と素朴なのが少し驚きでした。

2019年11月3日日曜日

孤軍 / 秋吉敏子 & Lew Tabackin Big Band (1974)

この時代にビッグバンド形式でジャズをやるということがどういう風に捉えられていたかは知りませんが、時代を超越してよくできています。

セルフカバーになる "Elegy" から始まり、いきなりアルバムに引き込まれます。もちろんビッグバンドなのですが、彼女のピアノソロ、Lew Tabackin のサックスソロもモダンな味わいを出しています。いい曲ですよね。
2曲目の "Memory" ではのっけからヴォイスが入っているのが面白いです。

ハイライトは、表題曲 "孤軍” で、彼女の日本人としてのアイデンティティが十分に表現されています。アメリカ暮らしが長くなり、外から日本とは、日本人とは、ということを考えさせられたのでしょう。
鼓の音、尺八的なフルートなどを使い、日本的なものを取り入れただけにとどまらず、それがビッグバンドジャスの中でうまく消化されていると思います。
テーマは小野田少尉。僕が小学生の時の事件ですが、大騒ぎになったのをよく覚えています。そういう意味では、まだ戦後だったんでしょうね。

新しい音楽に挑戦をした、彼女の勝負アルバムであり、快作です。