2016年10月30日日曜日

Fantôme / 宇多田ヒカル (2016)

以前より、より生身感が出ています。
この6年間の経験が生きているのか、曲調、歌詞とも、以前には見られなかったものが多いように感じました。
何か、ジョン・レノンか桑田佳祐のソロを聞いているような感じ。

アルバムを聴こうと思ったきっかけは「ともだち」を聴いたから。同性愛者の歌ですが、歌詞に共感したわけではなく、珍しくホーン・セクションを使ったアレンジが面白いなあと思ったからです。アルバムの前半はストリングス・レンジが多いのですが、後半はホーンも使っています。

以前のような、メロディーラインと歌詞で決める、というのではなく、なんでしょうね、アプローチの幅が広がったというか、私的で生なものを表現できるようになった、というか。
従来路線のハイライトは「花束を君に」です。名曲です。

いずれにせよ、売れることを狙ったわけではないような気がするので、これだけ売れているのが不思議に思います。

2016年10月22日土曜日

You've Got It Bad Girl / Quincy Jones (1973)

ハーモニカのサウンドが印象に残ります。
Toots Thielmans だけではありませんが、ほとんどの曲でハーモニカが使われています。

アルバムの前半は、ゆっくりしたペースで始まりますが、終盤にかけてカラフルな曲が多くなるところは、アルバム全体でゴスペルの構成になっているかのようです。

終わりの2曲 "The Streetbeater" と "Chump Change" が Quincy Jones らしいなって感じます。
'70年代を通じて、Pop / R&B路線を深化させてきたわけですが、ここでは途中経過といったところでしょうか。今になって思えば、発展途上のようです。

2016年10月16日日曜日

Something to Believe In / Curtis Mayfield (1980)

前作 "Heartbeat" に続く、'80年代最初の作品。前作ほどシンセサイザーは多用していません。
あいかわらず、すばらしい出来です。

1曲目のベースラインが特徴的でダンサブルな "Love Me, Love Me Now" 、スローナンバーの2曲目を挟んで、 Bunny Sigler のフィリー・ソウル "Tripping Out" につながるあたりは、カッコいいですね。

ジャケットもなかなかです。女性DJが、 "And Here's..." と紹介するのが、このレコード。これからターンテーブルに乗せようとしています。

社会的メッセージをバリバリ出していた’70年代前半から後は、商業的には成功せず、苦しい時期だったと思いますが、'76~'80のアルバムはいい曲ばかりで、マチュア・イヤーズのようにも思います。

2016年10月9日日曜日

Free / Free (1969)

記念すべき1969年作。

何と言ってもジャケットが素晴らしい。
Ron Raffaelli の写真だそうです。
対角線に女性の足を配置して、背景に青空と雲。飛び上がるような手の先には "Free" の文字。しかも、体には星空まで表現しています。
Ron Raffaelli という人は、Jimi Hendrix のツアー写真で有名で、ロックミュージックのジャケットもいくらか手掛けているようですが、ダントツでこのジャケットがいいですね。

肝心の音楽の方も、ブリティッシュ・ブルーズ全開、という感じですが、売れた次作よりいいんじゃないでしょうか。
派手ではなく、ハードすぎず、ブルーズ傾向が強く、好感が持てます。

2016年10月2日日曜日

This Is Sparrow / Mighty Sparrow (1958)

カリプソって、リトルマーメイドの音楽のイメージで、スティールパン=カリプソ、という間違ったイメージを持ってました。

Mighty Sparrow がトリニダードのカーニバルでカリプソ・キングになったのは1956年。その2年後になります。

サウンドがカッコいい。詩もカッコいい。