2025年10月12日日曜日

Flaco's Amigos / Flaco Jimenez (1988)

テックス メックスです。

Flaco Jimenez (フラコ ヒメネス)はアコーディオン奏者。テキサス州サンアントニオ出身ということですから、メキシコ国境に近く、人種的、文化的にメキシコと混じり合っている地域なんでしょう。
父親がコンフント(メキシコ音楽のバンド形式)のパイオニア Santiago Jiménez, Sr. ということで、7歳から父親のバンドで活躍していたそうです。
"Flaco" は父のあだ名で、彼はそれを引き継いだ形です。ちなみに "Flaco" は「痩せっぽっちの」といった意味のようですね。

テックス メックスは、つまりテキサス&メキシコという意味ですが、テハーノ ミュージックとも呼ばれます。
テハーノはスペイン語で「テキサスの人」という意味。
テハーノ ミュージックがスペイン系の音楽かと言えば、単純にそうにあらず。ドイツ系移民が演奏していたポルカやワルツを、メキシコ系住民が民族音楽に取り入れて生まれたようです。

このアルバムでは、そういったルーツ ミュージックに忠実に、かつ Ry Cooder との親交で得た新しいものを取り入れています。
Ry Cooder は "Paradise and Lunch" あたりからテックス メックスを取り入れ、"Chicken Skin Music" では Flaco Jimenez のアコーディオンをフィーチャし、その後のツアーでも Flaco Jimenez が参加しています。
このアルバムは3つのセッションでの録音をまとめたものですが、そのうちのセッションCと呼ばれるものは、Ry Cooder のバンドによるものになります。

セッションBはブルー グラスの Peter Rowan とのものになり、歌詞も概ね英語です。
そういう意味ではセッションAが一番ルーツ的であり、濃いのかな。


  1. La Tumba Sera El Final -Session A-
  2. The Free Mexican Air Force [Peter Rowan] -Session B-
  3. Lucerito [Santiago Jimenez] -Session B-
  4. Did I Tell You [A. Meyers, G. Povey] -Session B-
  5. Para Toda La Vida -Session A-
  6. Espero Tu Regresso [Daniel Garzes] -Session B-
  7. I'm Gonna Love You, Like There Is No Tomorrow [P. Rowan] -Session B-
    • Feature : Peter Rowan
  8. Jennette [Antoine Duroseau] -Session C-
    • Mandolin by Ry Cooder
  9. Mi Primer Amor [Jesus Ramos] -Session A-
  10. Yo Quisier A Saber [Gilberto Parra] -Session A-
  11. Poquita Fe -Session C-
    • Guitar by Ry Cooder
  12. Atotonilco -Session C-
    • Bajo Sexto by Ry Cooder
  13. Te Quiero Mas [Rafael Elizondo] -Session A-
  14. La Feria Polka -Session C-
    • Bajo Sexto by Ry Cooder


  • Session A
    • Accordion : Flaco Jimenez
    • Vocals : Fred Ojeda
    • Bajo Sexto : Fred Ojeda
    • Bass : Rubén Ovalle
    • Producer : Joe S. Lopez
    • San Antonio, Texas, 1986
  • Session B
    • Accordion : Flaco Jimenez
    • Vocals : Flaco Jimenez
    • Vocals : Oscar Telles
    • Vocals : Toby Torres
    • Vocals : Peter Rowan
    • Bajo Sexto : Oscar Telles
    • Guitar : Peter Rowan
    • Bass : Ruben Valle
    • Drums : Isaac Garcia
    • Producer : Chris Strachwitz
    • San Antonio, Texas, January 1988
  • Session C
    • Accordion : Flaco Jimenez
    • Piano : Van Dyke Parks
    • Bass : Jorge Calderon
    • Drums : Jim Seltner
    • Percussion : Miguel Cruz
    • Alto Saxophone : Don Garcia
    • Producer : Ry Cooder
    • Santa Monica, Ca. June 1987 


2025年10月4日土曜日

Live Under The Sky Tokyo '84 / Gil Evans & Jaco Pastorius (2016)

タイトルどおり 1984年のライブ アンダー ザ スカイでのライブです。

聴いて驚くのは、会場の盛り上がりです。ジャズのライブでこんなに盛り上がるのか、と。
日本でのフュージョン ブームの盛り上がりと、スーパー スター Jaco Pastorius の人気なんでしょうね。
客層が若そう。
映像を見ると確かに若い。女性も多い。いい時代だったんですね。

FM放送音源なので、アナウンサーの実況も入ってます。クレジットには NHK と書いてるのもありますが、FM東京?映像も日本テレビっぽい(映像の最初でなんと Peter Barakan 氏が解説されてます)。
映像にもあるし、アナウンスでも言ってますが、雨が降ってますね。ステージには屋根がありそうにも見えますが(2013に閉鎖されたよみうりランド野外音楽堂はドーム状の屋根があります)。
で、夜のステージです。

Gil Evans Orchestra に Jaco Pastorius が入りベースを弾いている、というもの。
3回ほど、彼のソロ・パートがあります。
その他、彼の持ち曲が2曲。それを Gil Evans Orchestra が演奏しているという点では貴重な音源です。
最後の "Dania" なんかは最高にカッコいいですね。僕はこれがハイライトと思います。

Gil Evans Orchestra には、Mark Egan というこれまた素晴らしいベース・プレーヤーがいるのですが、時に彼が前に出たり Jaco が前に出たり。いずれにせよ、Jaco のユニークな音色が混じることにより、Gil Evans Orchestra に新しい色がついているのは確かです。悪くないです。締まった感じもあります。

Jaco は 1981年にビッグ バンドの傑作 "Word of Mouth" を出し、’82年に Weather Report を脱退、自らのバンドを率いてソロ活動に入ります。この'82年、'83年あたりまでがピークで、そこからはドラッグ、アルコール、躁鬱病などでひどい状態になっていったようです。この'84年7月の段階ではどうだったんでしょう?このステージでも泥を被った姿でベースを弾いています。演奏は確かなように思えますが。

ちなみに、FMのアナウンスでは、"The Chicken" を Jaco のオリジナルと言っていますが、JB's のナンバー。いくつか曲も飛んでます。それとアナウンスの "Gone" は正しいように思いますが、なぜかクレジットは "Eleven" に。どうでもええけど。
アナウンスの最後に、次の日の放送予定で Herbie Hancock & Rockit Band の紹介がありました。そっちも気になるう。


  1. Stone Free [Jimi Hendrix]
  2. Up From The Skies [Jimi Hendrix]
  3. Orange Was The Color Of Her Dress, Then Blue Silk [Mingus]
  4. Jaco Solo
  5. Soul Intro / The Chicken [Pee Wee Ellis]
  6. Here Comes De Honey Man / Gone [Gershwin]
  7. Jaco Solo / Goodbye Pork Pie Hat [Mingus]
  8. Variations On The Misery [Gil Evans] / Jaco Solo
  9. Dania [Jaco]


  • Keyboards, Arranger : Gil Evans
  • Bass : Jaco Pastorius
  • Trumpet : Hannibal Marvin Peterson, Lew Soloff, Miles Evans
  • Saxophone : Chris Hunter, George Adams
  • Tuba, Baritone Saxophone : Howard Johnson
  • Trombone : George Lewis
  • Guitar : Hiram Bullock
  • Synthesizer : Peter Levin
  • Bass : Mark Egan
  • Drums : Adam Nussbaum


Recorded live at よみうりランド オープンシアターEAST(野外音楽堂), on "Select - Live Under The Sky, Gil Evans Orchestra With Jaco Pastorius" , 1984/7/28.