2025年8月25日月曜日

Love Power Peace - Live At The Olympia, Paris, 1971 / James Brown (1971)

これは貴重な音源です。
何が貴重かと言うと、Collins 兄弟が在籍した JB's の唯一のライブ音源だからです。
ベースの "Bootsy" Collins と兄でギターの Phelps "Catfish" Collins は1970年から71年の間の11か月だけ JB's に在籍していましたが、その間に  "Get Up (I Feel Like Being a) Sex Machine",  "Super Bad", "Soul Power", "Talkin' Loud and Sayin' Nothing" などの名曲を生み出しています。

と言って、このライブがその他のライブ音源に比べて特別な演奏か、というとそこまでは感じません。
JB's は James Brown のサウンドを形作る一つのピースではあるものの、James Brown の音楽は James Brown そのものが生み出すもの、だと思うからです。
そういう意味では、JB's はよく調教されたバンド、とも言えるかもしれません。

さて、"Love Power Peace" というヘンテコなタイトル名は、最初 LP の3枚組を想定して、それぞれの盤のタイトルが "Love" "Power" "Peace" になるはずだったことによるものらしいです。
1970年代の初頭の Love and Peace の時代らしいタイトルかもしれません。"Power" を挟むあたり JB らしいと言えばらしいのですが。

この LP 構想は、Collins 兄弟の脱退というか、レコード会社移籍により頓挫してしまいます。
元の3枚組LP(構想)は全31曲ですが、それをCD1枚分の17曲に再編成したのがこのアルバム。1992年版になります。
曲順は似たような感じですが、途中抜けてるパートもあります。当然ですが。
人によると、冗長な元の3枚組アルバムより、編集1992年版の方がいいという意見も。
オリジナルを聴いていないので何とも言えませんが、コンパクトにまとまっていていいのかも。

"Sex Machine" 当時のファンク路線で決めればいいのにと思いますが、アルバムは新旧取り混ぜた、オール・タイム・ベストの様相。
少しそこが残念ですが、コンサートではどうしてもそうならざるを得ないところもあるでしょう。

ファンク路線のダンス・チューンは最高、演奏も素晴らしい。
YouTubeで動画も一部見ることができますが、やはり JB は動きもセットで見ないと、というさすがのキレのあるダンスです。変なコスチュームは何だろな、と思いますが。
観客のノリもあわせて、ご機嫌なライブ・アルバムであることに間違いはありません。


  1. Intro
  2. Brother Rapp
  3. Ain't It Funky Now
  4. Georgia on My Mind [Hoagy Carmichael, Stuart Gorrell]
  5. It's a New Day
  6. Bewildered [Teddy Powell, Leonard Whitcup]
  7. Sex Machine [Brown, Bobby Byrd, Ron Lenhoff]
  8. Try Me
  9. Medley: Papa's Got A Brand New Bag / I Got You (I Feel Good) / I Got The Feelin'
  10. Give It Up Or Turnit A Loose [Charles Bobbit]
  11. It's A Man's Man's Man's World [Brown, Betty Jean Newsome]
  12. Please Please Please [Brown, Johnny Terry]
  13. Sex Machine (reprise) [Brown, Byrd, Lenhoff]
  14. Super Bad
  15. Get Up, Get Into It, Get Involved [Brown, Byrd, Lenhoff
  16. Soul Power
  17. Get Up, Get Into It, Get Involved (finale) [Brown, Byrd, Lenhoff]


  • James Brown : vocals, organ
  • Bobby Byrd : MC, vocals, organ
  • Darryl "Hasaan" Jamison : trumpet
  • Clayton "Chicken" Gunnells : trumpet
  • Fred Wesley : trombone
  • St. Clair Pinckney : tenor saxophone
  • Phelps "Catfish" Collins : lead guitar
  • Hearlon "Cheese" Martin : rhythm guitar
  • William "Bootsy" Collins : bass guitar
  • John "Jabo" Starks : drums
  • Don Juan "Tiger" Martin : drums


2025年8月17日日曜日

Gravy / BJ the Chicago Kid (2023)

"BJ the Chicago Kid" って言いにくい名前やな、と思ってましたが、「シカゴ小僧の Bryan James (Sledge)」てな感じだったんですね。
それにしてもミドルネームをイニシャルに入れる?

アルバムは、ソウル+ポップの絶妙なミックスって感じでしょうか。
完全ポップな曲もあれば、PJ Morton 的ソウルな曲もあるかと思えば、Prince 的あるいは Childish Gambino 的な曲、ギターサウンドの曲、ジャジーな曲等、かなりバラエティに富む曲の集まりになっています。
かと言って、散漫な印象ではなく、飽きさせない内容になっています。

ゲストも素晴らしい。中でも Philip Bailey は大御所を引っ張り出して来たな、と思います。
それと、女性ヴォーカルが光ってます。Coco Jones、Chlöe、 Andra Day。
彼女らが参加した曲はどれもいい。


  1. Best Night Of Your Life (Intro) [Charlie Bereal & Yeti Beats]
  2. Spend The Night (featuring Coco Jones) [Yeti Beats]
  3. Never Change (featuring Philip Bailey) [Yeti Beats]
  4. Forgot Your Name (featuring Cory Henry) [Charlie Bereal & Yeti Beats]
  5. Liquor Store In The Sky (featuring Freddie Gibbs) [Charlie Bereal & Yeti Beats]
  6. Get Loose [Yeti Beats]
  7. Who Cares [Yeti Beats]
  8. Honey (featuring Chlöe) [Yeti Beats]
  9. Long Time [Charlie Bereal & Yeti Beats]
  10. Smoke Break (featuring Robert Glasper) [Yeti Beats]
  11. Feel Something Do Something [Charlie Bereal & Yeti Beats]
  12. Feel Good [Yeti Beats]
  13. Crazy Love (featuring Andra Day [Yeti Beats]
  14. Nobody Knows [Charlie Bereal & Yeti Beats]
  15. We'll Be Alright (Outro) [Charlie Bereal & Yeti Beats]

[ ]:Producer


  • BJ the Chicago Kid : Arranger, Composer, Lyricist, Vocals
  • Yeti Beats : Producer, Programmer
  • Coco Jones : Vocals
  • Cory Henry : Composer, Keyboards, Lyricist
  • Alissia Benveniste : Co-Producer, Composer, Guitar, Guitar (Bass), Lyricist, Producer
  • Andra Day : Composer, Featured Artist, Lyricist
  • Boo Mitchell : Engineer, Piano, Producer
  • Charlie Bereal : Arranger, Composer, Guitar, Lyricist, Producer
  • Chloe Bailey : Composer, Featured Artist, Lyricist
  • Freddie Gibbs : Featured Artist
  • Philip Bailey : Composer, Featured Artist, Lyricist, Vocals
  • Robert Glasper : Featured Artist
  • Rogét Chahayed : Co-Producer, Composer, Keyboards, Lyricist, Producer, Strings

Recorded at Royal Studios in Memphis, Tennessee


2025年8月10日日曜日

Troubadour / J. J. Cale (1976)

「気だるい」サウンドを求めて、今年もまた J. J. Cale。
今年は格別に暑く、夏バテ気味によく合います。

4枚目のアルバムですが、サウンド的には色々試みをしているように思います。意外とバラエティに富んだ曲が集まっていますが、結局彼のやる気ミニマムな(に聞こえる)ヴォーカルで全てを包み込んでいます。
懐古趣味的なラグタイム調の曲もあれば、ロックな曲もあり、ブルーズあり、リズム中心の曲あり...なかなか一筋縄ではいきません。
Ry Cooder のようにルーツ・ミュージックに的を絞ったものではなく、あくまで「今」の時代の新たなサウンドなんですね。独特なので「タルサ・サウンド」と呼ばれるのも分かります。

Eric Clapton はこのアルバムから2曲カバーしています。
最初は、#6 "Cocaine"。このアルバムの翌年に出した "Slowhand" の1曲目で、今や Eric Clapton の代表曲のような扱いかも。ほぼオリジナル丸コピーですね。もちろんギター・ソロ部分は違いますが。
もう1曲は、#2 "Travelin' Light"。2001年 "Reptile" に収められています。こちらは、洗練されたアレンジが施されていて、J. J. Cale の曲とは気付きません。

1曲目 "Hey Baby" がまたいい。小気味のいいブラスと終盤の気持ちのいいギター・ソロがたまりません。
こういう曲を1曲目に持ってくる、というのは本人の意思なのか、プロデューサーの意図なのか。いずれにせよ、聴く側(特に僕のような)の求めるものを分かってる、ていう感じです。

"Troubadour" とは中世の宮廷を舞台とした恋愛抒情詩の詩人、作曲家、あるいは吟遊詩人のこと。タルサから離れない彼が何でそんなタイトルにしたのかは分かりませんが、確かに素朴な歌は吟遊詩人的でもあり、いくつかの曲はラブ・ソングです。


  1. Hey Baby
  2. Travelin' Light
  3. You Got Something
  4. Ride Me High
  5. Hold On
  6. Cocaine
  7. I'm A Gypsy Man [Sonny Curtis]
  8. The Woman That Got Away
  9. Super Blue
  10. Let Me Do It To You
  11. Cherry
  12. You Got Me On So Bad


  • Guitar : Doug Bartenfeld, Bill Boatman, Harold Bradley, Chuck Browning, J. J. Cale, Gordon Payne, Reggie Young
  • Steel guitar : Buddy Emmons, Lloyd Green
  • Bass : J. J. Cale, Tommy Cogbill, Charles Dungey, Joe Osborn, Bill Raffensperger
  • Keyboards : J. J. Cale, Bill Pursell, Don Tweedy, Bobby Woods
  • Drums : Kenny Buttrey, Buddy Harman, Karl Himmel, Jimmy Karstein, Kenny Malone
  • Percussion : J.I. Allison, Audie Ashworth, Farrell Morris
  • Saxophone : Billy Puett
  • Trumpet : George Tidwell
  • Trombone : Dennis Goode
  • Additional Vocals : Gary S. Paxton
  • Producer : Audie Ashworth


2025年8月3日日曜日

Awa Come / チャットモンチー (2010)

最近ホント、日本語の曲聴くと安心するわ。
洋楽大好きなんやけど、疲れるようになってきた。
なんでやろな。言葉がスッと入ってきて、サウンドと歌詞が相まった曲の世界を感じやすいからなんかな...
それとも単に歳なだけか...

チャットモンチーの "Awa Come" は「徳島」をテーマにしたミニアルバム。
ミニアルバムといっても、8曲なので、LP時代だとフルアルバムでしょう。
"Awa" は当然「阿波」のこと。ジャケットは阿波踊りです。
明確に「徳島」をテーマにしていると分かるのは「青春の一番札所」のみ。
一番札所は八十八ケ所巡りの霊山寺のこと。鳴門やったかな。ちなみに我が郷里には八十八番札所大窪寺があり、自慢でした。
あとは「また、近いうちに」も故郷を歌ったものですが、こちらは「徳島」のモチーフは出てきません。
ただ、このアルバム自体は、メンバーで1ヶ月かけて徳島のスタジオで録音したものですので、強く徳島を意識していたのは確かです。

一番、いい曲だなあ、と感心したのは「相変わらず」です。高橋久美子の詞の素晴らしさが炸裂しています。
「Tシャツの裾なびいて」「チャイム鳴らす」「おろしたてのサンダルつっかけて」「自転車飛ばす」
短い詞の中で、関係性や情景が生き生きと描写されていて、目に浮かぶようです。しかも、しみじみドラマチックな結末まであり、ストーリーテリングとして秀逸だと思いました。

橋本絵莉子は、詞先の曲作りと言われているので、これも詞にメロディをつけたんでしょうか。リズム、メロディがない中で、曲として成り立つ詞を書くのって、どんな感じなんでしょう。少なくとも、Aメロ、Bメロは意識しないといけないでしょうし、小節が合ってないと曲として成り立たないし、なんか難しそうな気がします。詞のモチーフから曲を作って、詞を完成、修正していくのであればまだマシでしょうが。
また、この曲は、ストリングスをうまく使っているのも特徴だと思いました。初めはストリングスがなく進行するのですが、後半に入ってからは、ストリングスが入り、そのリフが印象的です。大学の後輩によるものらしいです。


  1. ここだけの話 [作詞・作曲:橋本絵莉子]
  2. キャラメルプリン [作詞:高橋久美子、作曲:橋本絵莉子]
  3. 青春の一番札所 [作詞:高橋久美子、作曲:橋本絵莉子]
  4. 雲走る [作詞:高橋久美子 作曲:橋本絵莉子]
  5. あいかわらず [作詞:高橋久美子、作曲:橋本絵莉子]
  6. セカンドプレゼント [作詞・作曲:福岡晃子]
  7. My Sugar View [作詞:福岡晃子、作曲:橋本絵莉子]
  8. また、近いうちに [作詞:高橋久美子、作曲:橋本絵莉子]