2024年11月23日土曜日

Silky Soul / Maze Featuring Frankie Beverly (1989)

Frankie Beverly が死んだそうです。
不勉強な僕は、情けないことに訃報を聞いて初めて Frankie Beverly を認識しました。

で、聴いてみたわけですが、本当に素晴らしい!
80年代らしく、打ち込み中心のサウンドなんですが、意外と古臭さを感じさせません。十分に消化しているというか。
世の中的には、ブラコンの時代が終わり、New Jack Swing とか、Jam & Lewis が流行ろうとしている時代。
そんな流れに見向きもせずに、打ち込みにはトライしているものの、自分たちの音楽を実直にやっている感じです。

バンド名を "MAZE"  にしたら?と勧めたのは Marvin Gaye だったそうですが、タイトル曲の #1 "Silky Soul" はまさに Marvin Gaye へのオマージュと言っていいでしょう。
"What's Going On""Mercy Mercy Me" のサウンドエフェクトが垣間見れ、まんま Marvin Gaye の世界です。
Marvin Gaye は1984年に死んでますので、5年経って改めてリスペクトを表したんでしょうね。

#2 "Can't Get Over You" はファースト・シングルになった曲。ドラムのキックと、リズム・ギターが心地よいメロウ・ナンバーです。
アルバムのハイライトは、#1〜#4のスロウな曲の連続でしょうか。いやあメロウです。

LPだとA面全てがスロウな曲で、スロウ・ジャム・サイドということなんでしょうか。
ちなみに、LPは全8曲、A面4曲、B面4曲で構成されていますが、同時発売のCDは全10曲、ちょうどLP A面の最後と、B面の最後に1曲ずつインスト曲がプラスされています。

B面は一転ファンク・サイドと言うべき、ミッド・テンポの曲が並びます。
面白いのは、#9 "Mandela" でしょうか。”Mandela” とは言わずと知れた Nelson Mandela のこと。
1989年当時 Nelson Mandela はまだ獄中にいて、世界的に釈放が待ち望まれていました。それを応援する歌です。
アフリカン・アメリカンにとって、ルーツであるアフリカの黒人差別は我が身のことに感じられるんでしょうか。
続く曲はまさに "Africa" です。


  1. Silky Soul
  2. Can't Get Over You
    • Bass : Randy Jackson
    • Drums : Ricky Lawson
  3. Just Us
  4. Somebody Else's Arms
  5. Midnight
    • Mixed by Bill Thompson
  6. Love's On The Run
    • Synthesizer [Bass] : Wayne Linsey
  7. Change Our Ways
  8. Songs Of Love
    • Bass : Robin Duhe
  9. Mandela
    • Guitar : Ice
  10. Africa


  • Backing Vocals : McKinley "Bug" Williams, Roame*
  • Drums [Overdub] : Tony Beverly
  • Keyboards : Wayne Linsey
  • Executive-Producer : Benny Medina
  • Producer, Vocals, Synthesizer, Drum Programming : Frankie Beverly


2024年11月15日金曜日

Mountain Dance / Dave Grusin (1980)

Dave Grusin は過去に "West Side Story" だけ聴いたことがあります。1997年の作で、映画 "West Side Story" をジャズ・オーケストレーションで再現したアレンジは見事だったように記憶しています。

その印象しかなかったので、このアルバムを聴いた時は驚きました。
その美しいフュージョン・サウンドに。
というか、こっちが本業だったんですね!
ポップでファンキー、綺麗なメロディに、タイトなリズムセクション。
フュージョンのメインストリームといったところでしょうか。
Bob James に近いような気もしますが、Bob James に感じるジャズの気配はほとんどしません。

一番特徴があるのは、表題曲。De Niro と Meryl Streep の1984年の映画 "Falling in Love" にも使われたことでも有名のようです(観たとことありませんが)。美しいピアノの主旋律が特徴的ですね。

#1 "Rag-Bag"、#2 "Friends And Strangers" とも完璧です。メインのピアノが際立っているというのではなく、サウンド全体で曲が出来上がっている感じ。
"Friends And Strangers" は Ronnie Laws のカバーということで、"Allways There" が一緒にはいったアルバムを聴いたことがあるはずなんですが、覚えてませんでした。改めて聴いてみると、本家はメロディは一緒なものの、全く違った印象の曲でした。

これ、聴いたことあるやん、と思ったのは #7 "Captain Caribé"。1977年の Lee Ritenour のアルバム "Gentle Thoughts" の中の1曲。Dave Grusin 作なんですね。当時 Grusin はバンド The Gentle Thoughts のメンバーでもありました。
でも僕が聴いたことがあったのは、Earl Klugh の "Living Inside Your Love" でのカバー・バージョン。つい最近やね。覚えやすいメロディを Klugh がアコースティック弦で完璧に仕上げてます。

先ほど触れたリズムセクションは、若き Marcus Miller と Harvey Mason。まだ Marcus Miller は有名になる前でしょう。この2人がサウンドを締めてます。すばらしい!

ちなみに、レーベルの GRP は Grusin がエンジニアの Larry Rosen と作ったレーベル(会社)で "Grusin-Rosen Productions" の略だということを初めて知りました。GRP はよく見かけますよね。

アルバムジャケットは複数あるみたい。最初日本のJVCで製作されたものは、今のに近い構図ですが、後日CD化される時に、写真が差し替えられています。旧ニヒル→新笑顔。前のやつの方がええように思うけどなぁ。一方アメリカ版はカウボーイ風。こっちは全くいけてません。


  1. Rag Bag [Dave Grusin]
  2. Friends And Strangers [William Jeffery]
  3. City Lights [Dave Grusin]
  4. Rondo - "If You Hold Out Your Hand" [Dave Grusin]
  5. Mountain Dance [Dave Grusin]
  6. Thanksong [Dave Grusin]
  7. Captain Caribé [Dave Grusin]
  8. Either Way [Harvey Mason]


  • Steinway piano, Fender Rhodes electric piano, Minimoog synthesizer : Dave Grusin
  • Guitar : Jeff Mironov
  • Bass : Marcus Miller
  • Drums : Harvey Mason
  • Percussion : Rubens Bassini
  • Oberheim synthesizer : Edward Walsh
  • OBX / Prophet-5 synthesizer : Ian Underwood
  • Produced by Toshi Endo


2024年11月5日火曜日

Quincy Jones R.I.P.

僕が初めて Quincy Jones の音楽に触れたのは "11-PM" のはずです。
この前亡くなった桂朝丸(ざこば)らの事件簿の最初の入りに使われてたテーマです。
その時はもちろん Quincy Jones は知らなかったですが、後で "Ironside" のテーマ曲だと知りました。

11/3に91歳で亡くなったそうです。

一般的には "Thriller" のプロデューサーとして有名で、僕が初めて彼の名前を認識したのもこの "Thriller" だったと思います。煌びやかなサウンドと、ポップセンス、ギリギリのところでアートに踏みとどまる見極めも含めてすばらしいの一言でした。その前作の "Off the Wall" も大好きです。

1991年のモントルー・ジャズ・フェスティバルでの Miles Davis とのライブ(発売は1991年)も思い出深いです。友達との登山の帰りにCD買いました。Gil Evans と Miles が作った音楽を、Quincy のバンドで演るというもの。金にものを言わせた、成功した者の特権ですかね。ちなみに Miles は2ヶ月後に亡くなっています。

Miles と Gil は Quincy のアイドルだったんでしょうが、3人ともヒップな音楽を目指していたところは共通していると思います。ジャンルとしてのジャズを志向してたんじゃなくて、イカした音楽を志向してたところ。
そういう意味では、Quincy は Miles と Gil の後継者であるとも言えます。音楽性は後年ずいぶん違った方向に進みましたけど、僕にはおんなじことをやっているように思えました。

最後に、Quincy 名義のアルバムの、僕のお気に入りをあげときます。


2024年11月2日土曜日

No one / 汐れいら (2024)

EPって何だってことですが、全8曲、まぁそこそこ立派なアルバムのような感じです。

際立っているのが、スローな曲のグッド・メロディと、ひねりのある言葉の選択です。
#1「糸しいひと」、#6「Darling you」、#7「備忘ロック」あたりのギター弾き語り系の曲のメロディは素晴らしい。
かつてバラード・バンドと言われた Eagles みたい。
(逆に、ホップなポップはいるんか?って思うくらい)

語呂合わせ的要素のある言葉は、よく練られてます。
ストーリーが思い浮かぶような歌詞は、物語を創るのが好きなんやなあ、と思います。


  1. 糸しいひと
  2. 味噌汁とバター
  3. うぶ
  4. 踊り場のサーカスナイト
  5. グレーハートハッカー
  6. Darling you
  7. 備忘ロック
  8. 笑ってベイビー