2023年11月18日土曜日

Ni Es lo Mismo Ni Es Igual / Juan Luis Guerra y 4.40 (1998)

青と黄色のコンビネーションは最高の取り合わせです。
青い壁に青いトレーナーと青いパンツに深紫のキャップ。
白いジャケットの Juan Luis Guerra が持つのはギター。この木の色と肌の色が黄系で、バックとの調和が素晴らしい。
思わずジャケ買いしそうな、綺麗なジャケットです。

ジャケットに負けず劣らず、音楽も綺麗です。
アルバム全体を覆う、明るい感じ。メレンゲやバチャタの特徴でしょうか。
アップテンポの曲もいいですが、今回のアルバムではバラッドに美しい曲が多いように思います。
#6 "Palomita Blanca"、#7 "Testimonio"、#8 "Amapola"、ボーナストラックの #11 "Amor de Conuco" なんかはホント美しい。

シングルになったのは #1 "Mi PC"、#6 "Palomita Blanca"、#5 "El Niágara en Bicicleta"、#3 "La Hormiguita" の4曲。
サルサの1曲  #4 "Quisiera" も好きです。


  1. Mi PC
  2. Vale la Pena
  3. La Hormiguita
  4. Quisiera
  5. El Niágara en Bicicleta
  6. Palomita Blanca
  7. Testimonio
  8. Amapola
  9. El Primo
  10. Sobremesa
  11. Amor de Conuco (Bonus Track)


  • Juan Luis Guerra : Guitar, producer
  • Edwin Bonilla : Percussion
  • Luis Enrique : Percussion
  • Jimmy Morales : Conga
  • Charlie Sierra : Bongos, Timbales
  • Lee Levin : Drums, Programming
  • Arturo Sandoval : Trumpet, Flugelhorn
  • Juan Valdez : Piano
  • Ed Calle : Baritone
  • Audrey Campos : Vocals, coro
  • Frank Ceara : Vocals, coro
  • Mariela Mercado : Vocals, coro
  • Juan Rizek : Vocals, coro 

2023年11月12日日曜日

New Sensations / Lou Reed (1984)

1984年は何をしてたんやろう?
僕が大学に入学した年やから、第2次ブリティッシュインベイションの真っ只中、僕はネオアコに夢中だったはず。
The Pale Fountains の "Pacific Street" が一番のお気に入りで、目覚めの音楽だったはず。
Aztec Camera、Echo & the Bunnymen、The Smiths... そんな時代でした。
The Human League と Eurythmics がヒットし、Cuture Club、Thompson Twins、Wham!、Howard Jones らが続いた、いい時代でした。
ノーザンソウルが見直され、Billy Joel が "An Innocent Man" を出したのが1983年。
Ronald Reagan の強いアメリカ幻想の中、Bruce Springsteen は1984年に "Born in the U.S.A." を出します。
巷ではディスコが流行り、佐野元春はN.Y.へ。

そんな時代にこのアルバムは出ました。アルバムジャケットは覚えていますが、あまり売れなかった、あるいは話題にならなかったんではないでしょうか。ビルボードで最高56位。

でも確かに時代を映しています。
80年代初頭のある種の明るさがダンサブルな曲調に現れています。
シングルになった冒頭の "I Love You, Suzanne" なんかは典型です。今までの Lou Reed の詞世界にあるような、厳しい現実はなく、コアなファンから厳しい批評を得ています。
ブラスと女性コーラスの多用は音楽性の広がりを作り、スチールパンを使ったカリプソ調の曲("High In The City")まであります。(ブラスはなんと Brecker Brothers!)

そんな中で、出色の出来なのが、タイトル曲 "New Sensations" です。
Delaware Water Gap、a Burger and a Coke、hunters、Juke box、hillbilly、そしてGPZ(Kawasaki)。
そういう世界で、新しい感覚を追い求める。
パンクを経て、シンセポップやファンカラティーナが流行る世界と、アメリカの郊外の世界のギャップの中で、「新しい感覚」を探し求める姿は、当時の彼の心情だったのかもしれません。
"Walk on the Wild Side" の時もそうでしたが、ベースが素晴らしいグルーヴを出しています。ベースは Fernando Saunders。カッコいい!
僕が今まで聞いた中で、"New Sensations" は一番好きかもしれません。

当時は全く知りませんでしたが、MTV時代においてRCA は販促に力を入れ、"I Love You, Suzanne" のPVを作っています。音だけで聞くのと、映像を見るのとではかなり印象が違う曲で、Lou Reed は楽しんでやっているのかどうか分かりませんが、かなりハッスルしています。ビデオは "My Red Joystick" と続きになっていて、まあこちらも賑やかな作りです。
ちなみにビデオに出てくる Red Joystick は、アルバムジャケットで Lou Reed が握っているものです。


  1. I Love You, Suzanne
  2. Endlessly Jealous
  3. My Red Joystick
  4. Turn To Me
  5. New Sensations
  6. Doin' The Things That We Want To
  7. What Becomes A Legend Most
  8. Fly Into The Sun
  9. My Friend George
  10. High In The City
  11. The Great Defender (Down At The Arcade)


  • Lou Reed : guitar, vocals
  • Fernando Saunders : bass, guitar, backing vocal
  • Fred Maher : drums
  • Peter Wood : piano, synthesizers, accordion
  • Lakshminarayana Shankar : violin
  • Michael Brecker : tenor sax
  • Randy Brecker : trumpet
  • Jon Faddis : trumpet
  • Tom Malone -:trombone, horn arrangement
  • Jocelyn Brown, Rory Dodd, Connie Harvey, Eric Troyer : backing vocals


  • Produced by John Jansen, Lou Reed

2023年11月4日土曜日

Beyond Orbits / 挾間美帆's m_unit (2023)

ジャズは演奏するものという固定観念が強く、ジャズ作曲家って職業が成り立つのか、と思ってしまいます。
事実、彼女は楽器を演奏せず、指揮をするだけです。
それでも、バンドを率い、アドリブにも対応して指揮をするんだから大したものだと思います。

m_unit の特徴は弦楽器が入っていること。
ジャズに馴染みのない楽器を取り入れることで、何か特別な感触を獲得しています。
僕はジャズに弦楽器が入ることはあまり好きではないのですが、クラシックを源流に持つ彼女としては、アイデンティティなんだろうと思います。

「軌道」がタイトルになってますが、これは Exoplanet 組曲がアルバムの芯になっているからだと思います。
"Exoplanet" は太陽系外の惑星こと。太陽を回るのではなく、太陽以外の恒星を回る惑星のこと。
"Elliptical Orbit" = 楕円軌道、"Three Sunlights" = 3つの太陽光、"Planet Nine" = 太陽系外縁にあると言われている大型惑星、の組曲で、いずれも宇宙空間の星をイメージさせるタイトルです。
モントレージャズフェスティバルの委嘱作品として作ったものを大幅に改変した曲。コロナのロックダウンを経験して、閉鎖された環境から目を大きく外に向けてみた作品とのこと。

アルバムに先駆けて発表された #1 "Abeam" は疾走感を表現した曲。

#2 "A Monk In Ascending And Descending" はエッシャーの騙し絵をモチーフにした面白い作品で、後半盛り上がります。前作でも数学をモチーフにしてたと思いますが、何か似たアプローチですね。

#6 "Can't Hide Love" は Earth Wind & Fire のカバー。Earth の数ある名曲群の中で、なぜこの曲を選んだのかは分かりませんが、原曲からかなりかけ離れたアレンジを施しています。特徴的なホーンパートも違ってますし。これも後半やたら盛り上がります。

ラストの "From Life Comes Beauty" は資生堂150年記念のための曲を拡大したもの。原曲の部分は後半に持ってきているようです。


  1. Abeam
    • Soloist – Billy Test, Jake Goldbas, Jonathan Powell
  2. A Monk In Ascending And Descending
    • Soloist – Jake Goldbas, Jason Rigby
  3. Exoplanet Suite: I. Elliptical Orbit
    • Featuring – Christian McBride
    • Soloist – Christian McBride, James Shipp, Jonathan Powell
  4. Exoplanet Suite: II. Three Sunlights
    • Soloist – Billy Test, Steve Wilson
  5. Exoplanet Suite: III. Planet Nine
    • Soloist – Andrew Gutauskas, Jeremy Powell
  6. Can't Hide Love
    • Composed By – Skip Scarborough
    • Soloist – Atsuki Yoshida, Steve Wilson
  7. Portrait Of Guess
    • Soloist – Jason Rigby, Sam Anning
  8. From Life Comes Beauty
    • Featuring – Immanuel Wilkins
    • Soloist – Immanuel Wilkins, Steve Wilson


  • Violin – Ben Russell (4), Maria Im (3), Tomoko Akaboshi
  • Cello – Meaghan Burke
  • Viola – Atsuki Yoshida, Matt Consul (3)
  • Drums – Jake Goldbas
  • Bass – Christian McBride (t3), Sam Anning (1, 2, 4 to 8)
  • Piano – Billy Test
  • Alto Saxophone – Immanuel Wilkins (8)
  • Alto Saxophone, Soprano Saxophone, Flute – Steve Wilson (2)
  • Tenor Saxophone, Clarinet – Jason Rigby (2, 6 to 8), Jeremy Powell (1, 3 to 5)
  • Baritone Saxophone, Bass Clarinet – Andrew Gutauskas
  • French Horn – Adam Unsworth (2)
  • Trumpet, Flugelhorn – Jonathan Powell
  • Vibraphone – James Shipp
  • Conductor – Miho Hazama

  • Executive-Producer – Dave Stapleton
  • Producer – Miho Hazama
  • Co-producer – Hiroaki G Muramatsu, Masu H. Masuyama

  • Recorded on February 4, 5 & 7, 2023.