1984年は何をしてたんやろう? 僕が大学に入学した年やから、第2次ブリティッシュインベイションの真っ只中、僕はネオアコに夢中だったはず。 The Pale Fountains の "Pacific Street" が一番のお気に入りで、目覚めの音楽だったはず。 Aztec Camera、Echo & the Bunnymen、The Smiths... そんな時代でした。 The Human League と Eurythmics がヒットし、Cuture Club、Thompson Twins、Wham!、Howard Jones らが続いた、いい時代でした。 ノーザンソウルが見直され、Billy Joel が "An Innocent Man" を出したのが1983年。 Ronald Reagan の強いアメリカ幻想の中、Bruce Springsteen は1984年に "Born in the U.S.A." を出します。 巷ではディスコが流行り、佐野元春はN.Y.へ。
でも確かに時代を映しています。 80年代初頭のある種の明るさがダンサブルな曲調に現れています。 シングルになった冒頭の "I Love You, Suzanne" なんかは典型です。今までの Lou Reed の詞世界にあるような、厳しい現実はなく、コアなファンから厳しい批評を得ています。 ブラスと女性コーラスの多用は音楽性の広がりを作り、スチールパンを使ったカリプソ調の曲("High In The City")まであります。(ブラスはなんと Brecker Brothers!)
そんな中で、出色の出来なのが、タイトル曲 "New Sensations" です。 Delaware Water Gap、a Burger and a Coke、hunters、Juke box、hillbilly、そしてGPZ(Kawasaki)。 そういう世界で、新しい感覚を追い求める。 パンクを経て、シンセポップやファンカラティーナが流行る世界と、アメリカの郊外の世界のギャップの中で、「新しい感覚」を探し求める姿は、当時の彼の心情だったのかもしれません。 "Walk on the Wild Side" の時もそうでしたが、ベースが素晴らしいグルーヴを出しています。ベースは Fernando Saunders。カッコいい! 僕が今まで聞いた中で、"New Sensations" は一番好きかもしれません。
当時は全く知りませんでしたが、MTV時代においてRCA は販促に力を入れ、"I Love You, Suzanne" のPVを作っています。音だけで聞くのと、映像を見るのとではかなり印象が違う曲で、Lou Reed は楽しんでやっているのかどうか分かりませんが、かなりハッスルしています。ビデオは "My Red Joystick" と続きになっていて、まあこちらも賑やかな作りです。 ちなみにビデオに出てくる Red Joystick は、アルバムジャケットで Lou Reed が握っているものです。