2022年12月26日月曜日

Anomie & Bonhomie / Scritti Politti (1999)

前作 “Provision” からなんと11年のブランクを経て出された彼らの4作目。

今回は前作までから大幅に路線変更し、ラップを全面に出しています。
それとシンセポップ的なサウンドから、ギターサウンドにも変わっています。グランジって言うんでしょうか。
“Provision” は前作踏襲型でしたが、この “Anomie & Bonhomie” はチャレンジングですね。
成功するかどうかは賭けですが、こういう姿勢は素晴らしいと思います。

変わっていないのは美しいメロディラインと独特な Green の歌声です。
“Cupid & Psyche 85” では Green のヴォーカルとソウルが絶妙に融合していましたが、ラップとではなかなか難しいものです。

それでもこの歌声好きだなあ。ファルセットや中性的な声が好きなんですよね。

ラップなしのアコースティックな  "First Goodbye", "Brushed With Oil, Dusted With Powder" はいい曲です。

それと、ジャケット・デザインがシンプルでアート!


  1. Umm (Gartside, Lee Majors)
  2. Tinseltown to the Boogiedown (Gartside, Majors, Mos Def)
  3. First Goodbye
  4. Die Alone
  5. Mystic Handyman
  6. Smith 'n' Slappy" (Gartside, Mos Def)
  7. Born To Be
  8. The World You Understand (Is Over + Over + Over)
  9. Here Come July
  10. Prince Among Men (Gartside, Majors)
  11. Brushed With Oil, Dusted With Powder


  • Green Gartside – vocals, guitars, Ebow, vinylism (scratches), noises
  • Allen Cato – guitars
  • Wendy Melvoin – guitars
  • David Dyson – bass
  • David Gamson – bass
  • Vere Isaacs – bass
  • Me'Shell NdegéOcello – bass, backing vocals (4, 8), rap (4, 8)
  • Abe Laboriel Jr. – drums
  • William "Juju" House – drums
  • Steve Pigott – string arrangements
  • Paul Riser – string arrangements
  • Brent Fischer – string contractor
  • Patrick "Red Cloud" Mah – backing vocals
  • Lee Major[7] – backing vocals (1, 2, 10), rap (1, 2, 10)
  • Mos Def – rap (2, 6)
  • Jimahl – backing vocals (4), rap (4)

Produced by David Gamson

2022年12月17日土曜日

Rumba Caliente / Típica '73 , Canta Tito Allen (1976)

Ray Barretto バンドのメンバーを母体とする70年代の人気グループの4枚目のアルバムになります。
Johnny Pacheco の FANIA の兄弟レーベルの Inca レーベルから。
プロデューサーは Louie Ramirez。ミュージシャンとして活躍後、75年から FANIA のスタッフとなった名プロデューサー。サルサ界の Quincy Jones とも。

Típica '73 は72年にデビューしたキューバン・ルーツを取り入れたサルサ・コンボです。
チャランガをベースとして、ブラスとパーカッションを強力に押し出したサウンドらしく、バイオリンがメインどころでフューチャされています。
#1熱いルンバ、#2典型的グアヒーラ、#4タンボ・スティックを鳴らす、#8暴力的グワグワンコ、と確かにキューバ音楽に関連した曲名でもあります。
キューバンといっても懐かしさや牧歌的なところはあまり感じさせず、ベースはやはりニューヨーク・サルサです。
ルーツ・ミュージックをうまくブレンドしたところが新しいんでしょうね。

#1の Sonny Bravo のピアノが印象的。リーダーの Johnny Rodriguez Jr. がボンゴ。
ちなみに "Canta" とは Sings、メイン・ヴォーカルは Tito Allen です。

代表曲#4を収録の名盤です。


  1. Rumba Caliente ["Hot Rumba"]
  2. Guajira Tipica ["Typical Guajira"]
  3. Si Me Pudieras Querer ["If you could love me"]
  4. Sonaremos El Tambo ["We will sound the Tambo"]
  5. Pare Cochero ["Stop coach"]
  6. Gandinga
  7. Los Sitios Llaman ["Sites call"]
  8. Guaguanco De Los Violentos ["Guaguanco of The Violent"]


  • Lead Vocals : Tito Allen
  • Timbales : Jose Grajales
  • Bongos : Johnny Rodriguez Jr.
  • Piano : Sonny Bravo
  • Guiro : Ismael Quintana
  • Bata : Cachete
  • Trumpet : Lionel Sanchez, Rene Lopez
  • Trombone : Leopoldo Pineda
  • Saxophone : Don Gonzalo
  • Bass : Dave Perez
  • Violin : Alfredo De La Fe
  • Producer : Louie Ramirez

Recorded at Bell Sound Studios, N.Y.C. 


Amazon Music Link

2022年12月11日日曜日

The Brasil Project / Toots Thielemans (1992)

ベルギーのハーモニカ・プレイヤー Toots Thielemans が、ブラジル音楽の豪華ゲストと組んだ1枚になります。

僕はクロマチック・ハーモニカというのを吹いたことがないので、どれだけ難しいのか分かりませんが、難しいようなことをよく聞くので、難しいんでしょう。
Toots Thielemans の音色は、難しいかどうかを超えて、独特の色合いを持っています。
安心感を与えるような。
これをよくジャズに当てはめようと思ったなと思いますが、実際ジャズというカテゴリーは超越していると思います。

で、このアルバムですが、ハーモニカとボサ・ノヴァはよく合いますね。
過去にボサ・ノヴァを幾度か取り入れているようですので、お気に入りの音楽なんでしょう。
自分のハーモニカの音色によく合うというのを熟知しているのかもしれません。

Toots の音楽をブラジルの人たちが演奏する、というよりは、ブラジル音楽に Toots が参加するような形となっており、基本的にはブラジル音楽のアルバムです。
ゲストは、Ivan Lins, Djavan, Oscar Castro-Neves, Dori Caymmi, Ricardo Silveira, João Bosco, Gilberto Gil, Milton Nascimento, Caetano Veloso, Luiz Bonfá, Edu Lobo, Eliane Elias で、ちょこっと参加するのではなく、がっつり彼らの曲をやっています。
まさに豪華。

翌年には同じようなゲストで "Brasil Project 2" を出していますので、2コイチなんでしょうね。そっちも聴かせてもらいます!


  1. Comecar de Novo [Featuring Ivan Lins]
  2. Obi  [Featuring Djavan]
  3. Felicia and Bianca  [Featuring Oscar Castro-Neves]
  4. O Cantador  [Featuring Dori Caymmi]
  5. Joana Francesca  [Featuring Chico Buarque]
  6. Coisa Feita  [Featuring João Bosco]
  7. Preciso Aprender a So Ser  [Featuring Gilberto Gil]
  8. Fruta Boa [Featuring Milton Nascimento]
  9. Coração Vagabundo [Featuring Caetano Veloso]
  10. Manha de Carnaval [Featuring Luiz Bonfá]
  11. Casa Forte [Featuring Edú Lobo]
  12. Moments [Featuring Eliane Elias]
  13. Bluesette


  • Brian Bromberg (b)
  • Michael Lang (key)
  • Mark Isham (tp)
  • Dave Grusin (p)
  • Teo Lima (ds)
  • Lee Ritenour (g)



2022年12月5日月曜日

Release Some Tension / SWV (1997)

こういうサウンドを聴くと、年代的に安心します。
80年代 R&B からの発展形として、新しいサウンドやラップを取り入れて、本当に心地よい。聴きやすい。

SWV は TLC と並んで、90年代を代表するガール R&B ヴォーカル・グループですよね。
ちゃんとしたオリジナル・・アルバムという意味では、わずか3枚を出しただけで解散してしまいました(その後再結成はしてますが)。

このアルバムは、その3枚目。
名作であるセカンドからの脱皮なのか、飛躍なのか、を狙って少し路線変更しています。
アーバン一辺倒から、大々的にラップを取り入れて、ストリート系を強調しています。
それが成功しているのかどうかは聴く人によるんでしょうが、まぁ悪くない感じです。

意地の悪い批評家には、「Hip Hop All Stars with SWV」と揶揄されるほど、有名ラッパーを多数ゲストに招き、ほとんどの曲でラップをフィーチャしています。
ゲスト(ラッパー)は、Puff Daddy, Lil’ Cease, Snoop Dogg, Redman, Lil’ Kim, E-40, Foxy Brown, Missy Elliott, Timbaland。豪華ですね。

そんな中でも、僕がお気に入りなのは、スローな歌ももの、"Rain" と "Here For You" ですかね。いずれも残念ながらラップなしです。
"Rain" はシングルにもなりましたので、このアルバムの一番の曲ということになるのでしょうか。
どこかで聴いたことあるメロディだなと思ったら、なんと Jaco Pastorius の "Portrait of Tracy" の一部を使用していました。驚きの選曲です。"Rain" に使われているフレーズは、"Portrait of Tracy" の最初と最後にちょろっと出てくるのですが、ジャズでいうところのテーマにしては短すぎ、それでも印象的なメロディです。

アルバム全体としては、絶対的なキラーチューンはないものの、サウンドの心地よさは抜群です。


  1. Someone [featuring Puff Daddy]
  2. Release Some Tension [featuring Foxy Brown]
  3. Lose My Cool [featuring Redman]
  4. Love Like This [featuring Lil' Cease]
  5. Can We [featuring Missy Elliott]
  6. Rain
  7. Give It Up [featuring Lil' Kim]
  8. Come and Get Some [featuring E-40]
  9. When U Cry
  10. Lose Myself
  11. Here For You
  12. Gettin' Funky [featuring Snoop Dogg]