2022年11月20日日曜日

High Life / Wayne Shorter (1995)

Weather Report を脱退してから10年。このアルバムはアフター・Weather Report の最高傑作にたどり着いた感じです。
Miles Davis がこの世を去って、その偉業をどう継ぐか、というのが同時代を生きたミュージシャンに課された課題だったのかもしれませんが、見事に答えを出して見せました。
復活してからの Miles はジャズをいかにコンテンポラリーにするか、ということに主に取り組んできたと思いますが、このアルバムはコンテンポラリー・ジャズのメインストリームと言ってもいいと思います。

テーマからパート・ソロへ、そしてテーマへ、といったクラシック・ジャズとはまた違い、曲を曲として完成させようという意思を感じます。もちろん、インプロビゼーションも織り交ぜてのことですが。
思えば、Weather Report で挑戦していたのもそういうものだったのかもしれません。

それにしてもソプラノが美しい。
軽やかにそして滑らかに移り行く旋律。
そしてそれを支えるバンド。
フュージョンといえばそれまでですが、ジャンルを超えた奥深さがあります。


  1. Children of the Night 
  2. At the Fair  
  3. Maya
  4. On the Milky Way Express 
  5. Pandora Awakened
  6. Virgo Rising
  7. High Life  
  8. Midnight in Carlotta's Hair 
  9. Black Swan (in Memory of Susan Portlynn Romeo)


  • Wayne Shorter (ss,ts,bs)
  • Rachel Z (p,syn,sound design,sequencing)
  • David Gilmore (g)
  • Marcus Miller (b,b-cl,rythm programming)
  • Lenny Castro (per)
  • Airto Moreira (per)
  • Munyungo Jackson (per)
  • Kevin Ricardo (per)
  • Will Calhoun (ds)
  • Terri Lyne Carrington (ds)
  • David Ward (additional sound design)
  • Orchestra
    • Daniel Kelly (frh)
    • Joseph Meyer (frh)
    • Brad Warnaar (frh)
    • Jon Lewis (tp)
    • Rob McGregor (tp)
    • Steven Holtman (tb)
    • Robert Payne (tb)
    • Kazue McGregor (fl)
    • Annarenee Grizell (fl)
    • Sarah Weisz (fl)
    • Emily Bernstein (cl)
    • Ralph Williams (cl)
    • Joyce Kelly-Clark (oboe)
    • Linda Muggeridge (english horn)
    • Leslie Reed (english horn)
    • Ronald Jannelli (bassoon)
    • Julie Feves (contrabassoon)
    • Michele Grego (contrabassoon)
    • Bruce Dukov (vln)
    • Armen Garabedian (vln)
    • Suzie Katayama (vln)
    • Edith Markman (vln)
    • Sid Page (vln)
    • Michele Richards (vln)
    • Robert Becker (viola)
    • Denyse Buffum (viola)
    • Ralph Fielding (viola)
    • Harry Shirinian (viola)
    • Evan Wilson (viola)
    • Larry Corbett (cello)
    • Marcus Miller (conducter)



2022年11月13日日曜日

Mezzanine / Massive Attack (1998)

30年ほど前に聴いたのは、彼らのファースト・アルバム "Blue Line" だったか。
レイヴの流れの1組と思っていて、どちらかというと、イギリスらしいインディ・ロック・バンドと言う感じだったと記憶しています。

で、今回サード・アルバムを聴いてみたわけですが、全く印象が違ってました。
ひたすらダークで、ミニマルで、ダウン・テンポ。
ミニマル・ミュージック、ミニマル・ハウスの源流でしょうか。
暗いのはあまり得意じゃありませんが、音数少なく、テンポを落とした音楽は好きです。

そう言う意味じゃ、このアルバムはいい音楽が多く入っています。
例えばラストの曲 "(Exchange)"。#5 "Exchange" のベース音を少し抑え、レゲエ・シンガー Horace Andy のヴォーカルを被せてます。ゆったりとしたテンポにハイトーン・ヴォーカルが合います。
それに代表曲 "Teardrop"。ヴォーカルと作詞に Cocteau Twins の Elizabeth Fraser を迎え、アルバムの中でも唯一ポップに仕上がっています。"Mezzanine" は Massive Attack の一番売れたアルバムということになっていますが、ほぼ全て "Teardrop" のおかげでしょうね。これ以外「売れる」という要素ゼロですから。
同じく Elizabeth Fraser をフィーチャした "Black Milk" もアンニュイ感半端なく、いい感じです。
Horace Andy といい、Elizabeth Fraser といい、このサウンドには細いヴォーカルが合いますね。

ロンドンの西170kmの港湾都市ブリストル、Massive Attack を中心としたブリストル・サウンドを Trip Hop と言うのだそうです。音数の少ないダウン・テンポはトリップそのものかもしれません。

ちなみに、メイン・メンバーの 3D は、Banksy かもと言われてますが、真偽の程はわかりません。この音楽世界と Banksy の絵画世界はちょっと違うような気もします。

  1. Angel
    • feat. Horace Andy
    • sampling : "Last Bongo in Belgium" by The Incredible Bongo Band
  2. Risingson
    • sampling : "I Found a Reason" by The Velvet Underground
  3. Teardrop
    • feat. Elizabeth Fraser
    • sampling : "Sometimes" by Les McCann
  4. Inertia Creeps
    • sampling : "Rockwrok" by Ultravox
  5. Exchange
    • sampling : "Summer in The City" by Quincy Jones and "Our Day Will Come" by lsaac Hayes
  6. Dissolved Girl
    • feat. Sara Jay
  7. Man Next Door
    • feat. Horace Andy
    • sampling : "When The Levee Breaks" by Led Zeppelin and "10:15 Saturday Night" by The Cure
  8. Black Milk
    • feat. Elizabeth Fraser
    • sampling : "Tribute" by Manfled Manns Earth Band
  9. Mezzanine
    • feat. Daddy G
    • sampling : "Heavy Soul Slinger" by Bernard Purdie
  10. Group Four
    • feat. Elizabeth Fraser
  11. (Exchange)
    • feat. Horace Andy
    • sampling : "Summer in The City" by Quincy Jones and "Our Day Will Come" by lsaac Hayes


  • Massive Attack are 3D, Tricky, Mushroom
  • Additional Musician
    • Angelo Bruschini : guitar
    • Jon Harris, Bob Locke, Winston Blissett : bass
    • Andy Gangadeen : drums
    • Dave Jenkins, Michael Timothy : keyboard
  • Producer : Neil Davidge



2022年11月6日日曜日

そばのかす / 矢野真紀 (2001)

聴けば聴くほどいい音楽です。

初めは、亀田誠治のアレンジがかっこいいなと思ったのと、メロディの割に歌詞がぎこちないと感じました。

椎名林檎の "無罪モラトリアム" が出たのが1999年。アレンジで名を上げた亀田誠治にプロデュースを頼んだのは正解でしょう。もろ椎名林檎的アレンジも1曲ありますが、基本的には曲の良さを引き出すようなアレンジで、さすがだなと思います。
ロックをベースにしながら、打ち込みをメインにしたり、オーケストラを使ったり、フルート、口笛、なかなか多彩です。
"オアシス"、"ネジと愛" なんかのドラム・パターンとサウンドも素晴らしい。

違和感を感じた歌詞は、聴き込むと味が出ていいです。
硬派なんですね。
恋愛をテーマにしているように思える歌でも、間接的に表現するような感じで、風景、事象を羅列するような。
というか、事象を語っている中に、急に恋愛的な言葉が挟み込まれて面食らう感じでしょうか。
金魚、洗濯機などの日常を歌詞にしているところも面白いです。洗濯機の歌なんかはクセになります、

"真夜中の国道"、"タイムカプセルの丘" はいい曲です。


  1. オアシス
  2. 真夜中の国道
  3. お天気
  4. 大きな翼
  5. うず
  6. タイムカプセルの丘
  7. ネジと愛
  8. 青空に浮かぶは白い月
  9. 夢を見ていた金魚
  10. 君の為に出来ること
  11. 明日 (MAKIGAME Ver.)


  • 作詞・作曲:矢野真紀
  • プロデュース・編曲:亀田誠治