2022年10月31日月曜日

Damn Right, I've Got the Blues / Buddy Guy (1991)

Buddy Guy はブルーズ・マンとしては若手で、60年代から70年代にかけて活躍しました。
1972年には、盟友 Junior Wells と名盤 "Play the Blues" を出しています。
80年代はライブ中心の活動でしたが、心機一転91年に出したのが本作です。

モダン・ブルーズが、90年代の録音技術で、さらにモダンになった感じ。
ストレートなブルーズとテンションの高いギター・サウンドがホント素晴らしい!
ブルーズ・ロックを経て、もう一回ブルーズに回帰したような。

ゲスト・ミュージシャンに Mark Knopfler、Jeff Beck、Eric Clapton と豪華。イギリスのブルーズ好きが分かります。彼らが参加する意味があったのかどうかは分かりませんが、少なくとも彼らが Buddy Guy を敬愛しているのは分かりますし、おそらくレコード・セールスにも役に立ったでしょう。

当時僕はこのあたりの音楽を聴いてなかったので、残念ながら本作の存在も知りませんでした。
ビルボードで138位。そりゃ知らんわな。
でも Buddy Guy としては初のビルボード200位以内だったそうです。

ボーナス・トラックを除いてラストの "Rememberin' Stevie" は前年に死んだ Stevie Ray Vaughan に捧げられたもの。
事故の直前にライブで共演していたようです。
本当に惜しい人を亡くしました。


  1. Damn Right, I've Got the Blues [Buddy Guy]
  2. Where Is The Next One Coming From? (faet, Mark Knopfler) [John Hiatt]
  3. Five Long Years [Eddie Boyd]
  4. Mustang Sally (faet, Jeff Beck) [Sir Mack Rice]
  5. There Is Something On Your Mind [Big Jay McNeely]
  6. Early In The Morning (faet, Jeff Beck, Eric Clapton) [Leo Hickman, Louis Jordan, Dallas Bartley]
  7. Too Broke To Spend The Night [Buddy Guy]
  8. Black Night [Jessie Mae Robinson]
  9. Let Me Love You Baby [Willie Dixon]
  10. Rememberin' Stevie [Buddy Guy]
  11. Doin' What I Like Best [Buddy Guy]
  12. Trouble Don't Last [Eddie "Guitar Slim" Jones]


  • Buddy Guy : lead vocals & lead electric guitar
  • Greg Rzab : bass guitar
  • Richie Hayward : drums
  • Mick Weaver : Hammond B-3 organ, piano, electric piano
  • Pete Wingfield : piano
  • Neil Hubbard : rhythm guitar
  • John Porter : bass guitar
  • Tessa Niles, Katie Kissoon, Carol Kenyon - backing vocals
  • Mark Knopfler : electric guitar on 2
  • Jeff Beck : electric guitar on 4 & 6
  • Eric Clapton : electric guitar on 6


2022年10月23日日曜日

Thrust / Herbie Hancock (1974)

 ジャズ・ファンクの名盤の誉れ高い本作は、’73年の "Head Hunters" の次作になります。
従って、基本的には "Head Hunters" を踏襲しつつ、よりファンク色を強めた感じでしょうか。

メンバーは "Head Hunters" とほぼ同じ。ドラムスが、 Harvey Mason から Mike Clark に替わっています。
キーパーソンのベース Paul Jackson とバス・クラリネットの Bennie Maupin は健在ですから、そこに Herbie Hancock のエレピが加われば、もう "Head Hunters" でしょう。

一番好きなのは、#1 "Palm Grease" です。
分かりやすい。ルーズさがたまりません。
こういうのが、大名盤 "Secrets" (1976) につながるんでしょうね。

#1以外でも、アクション映画 "The Spook Who Sat by the Door" 用に作られ、Fender Rhodes が使われた #2 "Actual Proof"、ライブでの定番 #3 "Butterfly"、スピード感あふれるファンク・ナンバー #4 "Spank-a-Lee" と全4曲ながらも、捨て曲なしで一気に聴かせます。


  1. Palm Grease
  2. Actual Proof
  3. Butterfly
  4. Spank-a-Lee


  • Herbie Hancock : Fender Rhodes electric piano, Hohner D6 clavinet, ARP Odyssey, ARP Soloist, ARP 2600, ARP String Ensemble
  • Bennie Maupin : tenor saxophone, soprano saxophone, saxello, bass clarinet, alto flute
  • Paul Jackson : electric bass
  • Mike Clark : drums
  • Bill Summers : percussion


2022年10月16日日曜日

Live It Up / The Isley Brothers (1974)

Ernie Isley、Marvin Isley、Chris Jasper が加わってから2作目。
つまり "3+3" の次作ということになります。

キラー・チューンこそないものの、やはり3人が加わっての、ファンク・サウンドの厚みが増したように思います。
特に表題曲は、Chris Jaspe の弾くクラビネットが曲を特徴づけ、Ernie Isley の叩くドラムがホントかっこいい。
ちなみに、"Live It Up Part 1 & 2" となっているのは、前半のヴォーカル中心部分が "Part 1" で後半のインストゥルメンタル部分が "Part 2" ということです。
"Part 2" の宇宙的なアレンジもいい感じです。

結構このアルバム、"Part 1 & 2" が多い。
シングル・カットする際にボーカル部分だけを切り取りたいということなんでしょうけど、アルバムではあえてインスト部分を重要視するところに演奏3人組をフィーチャーしようという意図が感じられます。

バラッド・サイドもいつものように素晴らしい。
#2 "Brown Eyed Girl" が一番お気に入りです。
初めはサビで "Brown Eyed Girl" の発音が分かりませんでしたが。

面白いところでは、#6 "Hello It's Me"。
Todd Rundgren のカバーなんですね。
72年の名作 "Something/Anything?" に入ってます。
大胆にアレンジ・チャンジしてませんので、曲自体を気に入ったんでしょうね。

アルバム全体を通して、グッド・サウンドです。


  1. Live It Up (Part 1 & 2)
  2. Brown Eyed Girl
  3. Need a Little Taste of Love
  4. Lover's Eve
  5. Midnight Sky (Part 1 & 2)
  6. Hello It's Me
  7. Ain't I Been Good to You (Part 1 & 2)


  • Ronald Isley : lead vocals
  • O'Kelly Isley, Jr. : background vocals
  • Rudolph Isley : background vocals
  • Ernie Isley : electric guitar, acoustic guitar, drums, percussion
  • Marvin Isley : bass guitar
  • Chris Jasper : electric piano, clavinet, ARP synthesizers, T.O.N.T.O., piano
  • George Moreland : drums
  • Karl Potter : percussion
  • Truman Thomas : organ


2022年10月9日日曜日

Funky Kingston / Toots and the Maytals (1975)

Toots and the Maytals の "Funky Kingston" にはオリジナル1973年の UK 版と、1975年のコンピレーション USA 版があり、これは USA 版の方です。

スカ、ロックステディ時代から活躍していた3人組ヴォーカル・グループの The Maytals を Toots and the Maytals としてイギリスデビューさせたのは、アイランド・レコードの Chris Blackwell。
当時イギリスではスキン・ヘッド・レゲエとして不良グループに人気となったようです。

同じ時期にイギリスに紹介された Bob Marley & The Wailers は、ソリッドなヴォーカルとロック寄りのサウンドですが、The Maytals のサウンドはスカをベースにしながら、非常にファンキーというか R&B 色を強く感じます。
アメリカの評論家が、The Wailers を The Beatles に、The Maytals を The Rolling Stones になぞらえたのが分かりやすいかもしれません。
なかなか味があっていい感じです。

このアルバムで一番いいのは表題曲の "Funky Kingston" でしょうか。
速い16ビートに性急なヴォーカル。パンキッシュでもあります。

それと、"Pressure Drop"。
こちらは、超有名既発の "The Harder They Come" から。
The Clash のカバーが有名ですが、やっぱ僕は Robert Palmer かな。セカンド・アルバムのタイトルですね。

1973年の UK 版は、8曲入り37分ですが、USA 版はそこから3曲、次のアルバム "In the Dark" から6曲、そして "The Harder They Come" から1曲の変則10曲入りとなっています。
同じアルバム・タイトルで同じジャケット。でも中身は全然違う。
アメリカのプロデューサーは結構勝手なことをやりますよね。
おかげで、小ベスト盤的に楽しめるのでそれはそれでいいですが。


  1. Time Tough [from "In the Dark" #4]
  2. In the Dark [from "In the Dark" #2]
  3. Funky Kingston [from "Funky Kingston #7]
  4. Love's Gonna Walk Out on Me  [from "In the Dark" #9]
  5. Louie Louie [from "Funky Kingston #3]
  6. Pomp and Pride [from "Funky Kingston #2]
  7. Got to Be There [from "In the Dark" #1]
  8. Take Me Home, Country Road [from "In the Dark" #7]
  9. Pressure Drop [[from "The Harder They Come" #9]
  10. Sailin' On [from "In the Dark" #12]


  • Frederick "Toots" Hibbert : vocals
  • Ralphus "Raleigh" Gordon : vocals
  • Nathaniel "Jerry" Matthias : vocals
  • Radcliffe "Dougie" Bryan : guitar
  • Neville Hinds : keyboards
  • Jackie Jackson : bass
  • Paul Douglas : drums
  • Winston Grennan : drums
  • Sons of the Jungle : horns


2022年10月6日木曜日

David Byrne's AMERICAN UTOPIA -film- (2019)

感激しました!
これこそアート。
Pink Floyd の "The Dark Side of the Moon" を初めて聴いた時と同じ感覚です。
日本人は平気でミュージシャンのことを「アーティスト」と言いますが、本物の「アーティスト」とは、こういったことをする人のことを言うのだと思います。

ブロード・ウェイで上演されたとのことですので、通常のミュージック・コンサートとは違うのかもしれませんが、今までこんなの見たことがありませんし、非常に芸術的です。
独創というのはこういうことかと。

グレーのスーツで裸足の11人のメンバーが、演奏すると同時にダンスする。
楽器は全てコードレス。なので、ステージ上を自由に動き回れると同時に、マス・ダンスも形成できる。
通常持ち運びできないドラムスはマーチング・バンドよろしく担ぐ形にして、パーカッションも含めてかなりの人数を割いています。
それでもやっぱり、ロック・ミュージックなんですね。ダンスと音楽が融合して、素晴らしいショーとなっています。

David Byrne のソロ・アルバム "AMERICAN UTOPIA" のツアーですが、Talking Heads 時代の曲も多く、オールタイム・ベストの様相を呈しています。
そして、曲間のウィットに富んだ MC。サウンド・トラックではなく、映像を見るべきです。
字幕があるのも意外とよかったです。シニカルな歌詞とアフリカン・ベースのニュー・ウェイヴ・サウンドとユニークなダンス。どれ一つ欠けてもこのアートにはなりません。

監督は Spike Lee。同じニュー・ヨークがベースの David Byrne から依頼があったそうです。
映像化も見事。カメラ・クルーは一切映っておらず、客席側、ステージ横・裏・上から、彼らのパフォーマンスが一番活きるショットを選んでいるのは驚嘆です。
しかも観客との一体感もうまく切り取っていて、こんなにスキルが高かったのかと、改めて感心しました。


  1. Here (from “American Utopia”)
  2. I Know Sometimes a Man Is Wrong (from “Rei Momo”)
  3. Don’t Worry About the Government (from “Talking Heads:77”)
  4. Lazy (Muzikizum by X-Press 2) (from “Grown Backwards”)
  5. This Must Be the Place (Naïve Melody) (from “Speaking in Tongues”)
  6. I Zimbra (from “Fear of Music”)
  7. Slippery People (from “Little Creatures”)
  8. I Should Watch TV (from “Love This Giant”)
  9. Everybody’s Coming To My House (from “American Utopia”)
  10. Once in a Lifetime (from “Remain in Light”)
  11. Glass, Concrete & Stone (from “Grown Backwards”)
  12. Toe Jam <David Byrne and Dizzee Rascal> (from “I Think We’re Gonna Need a Bigger Boat” by The Brighton Port Authority)
  13. Born Under Punches (The Heat Goes On) (from “Remain in Light”)
  14. I Dance Like This (from “American Utopia”)
  15. Bullet (from “American Utopia”)
  16. Every Day Is a Miracle (from “American Utopia”)
  17. Blind (from “Naked”)
  18. Burning Down the House (from “Speaking in Tongues”)
  19. Hell You Talmbout (from “The Electric Lady” by Janelle Monae)
  20. One Fine Day (from “Everything That Happens Will Happen Today”)
  21. Road To Nowhere (from “Little Creatures”)


  • David Byrne : lead vocals, occasional guitar
  • Chris Giarmo : dancing, melodica
  • Tendayi Kuumba : dancing
  • Karl Mansfield : keyboards, musical director
  • Angie Swan : electric guitar
  • Bobby Wooten III : bass
  • Mauro Refosco : Percussion, musical director
  • Tim Keiper : percussion
  • Gustavo Di Dalva : percussion
  • Jacquelene Acevedo : percussion
  • Daniel Freedman : percussion
  • Stephane San Juan : percussion

監督:Spike Lee

https://americanutopia-jpn.com/


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2022年10月3日月曜日

The Gap Band III / The Gap Band (1980)

The Gap Band はオクラホマ州タルサで結成された、Wilson 3兄弟によるファンク・バンドですね。
タルサと言えば、この夏よく聴いた J. J. Cale です。彼の音楽はタルサ・サウンドと呼ばれました。
1901年に油田が発見された油田都市なので、それ目当てにいろんな人が集まってきたんでしょうね。

アルバムは、ファンクとスロー・テンポが交互に入って全9曲。
ファンクは #1 "When I Look in Your Eyes", #3 "Burn Rubber (Why You Wanna Hurt Me)", #5 "Are You Living", #7 "Humpin'", #8 "The Way", #9 "Gash Gash Gash"、スローが #2 "Yearning for Your Love", #4 "Nothin' Comes to Sleepers", #6 "Sweet Caroline" といった具合です。

僕はどっちかというと、スローの方が好きやね。
特にこのアルバムではスローな曲の代表 #2 "Yearning for Your Love" が入ってます。
極上のメロウ・チューン。
とろけるようなカッティング・ギターが効果的。
この1曲だけでもアルバムを買う価値ありです。

なお、シングルで一番売れたのは #3 "Burn Rubber (Why You Wanna Hurt Me)"。
こちらも The Gap Band を代表する1曲です。


  1. When I Look in Your Eyes [Lonnie Simmons, Rudy Taylor, Wilmer Raglin]
  2. Yearning for Your Love [Oliver Scott, Ronnie Wilson]
  3. Burn Rubber (Why You Wanna Hurt Me) [Charlie Wilson, Lonnie Simmons, Rudy Taylor]
  4. Nothin' Comes to Sleepers [Oliver Scott, Ronnie Wilson]
  5. Are You Living [Charlie Wilson, John Black]
  6. Sweet Caroline [Charlie Wilson, Malvin Vice]
  7. Humpin' [Charlie Wilson, Lonnie Simmons, Ronnie Wilson, Rudy Taylor]
  8. The Way [Oliver Scott, Ronnie Wilson]
  9. Gash Gash Gash [Robert Wilson]


  • Charlie Wilson : Keyboards, Synthesizer, Percussion, Lead Vocals
  • Ronnie Wilson : Trumpet, Keyboards
  • Robert Wilson : Bass, Lead vocals on "Gash Gash Gash"
  • Oliver Scott : Horns, Keyboards, Synthesizer
  • Raymond Calhoun : Drums, Percussion
  • Melvin Webb : Drums
  • Ronnie Kaufman : Drums
  • John Black : Keyboards
  • Malvin "Dino" Vice : String Arrangements
  • Cavin Yarbrough : Synthesizer
  • Robert "Goodie" Whitfield : Keyboards
  • Fred Jenkins : Guitar
  • Glen Nightingale : Guitar
  • Marlo Henderson : Guitar
  • Wilmer Raglin : Horns
  • Earl Roberson : Horns
  • Katie Kilpatrick : Harp