2020年2月22日土曜日

CEREMONY / King Gnu (2020)

はじめて友人から勧められて聴いたときは、正直なんだか真面目な音楽だなあ、とあまり共感できませんでした。
改めて聴こうと思ったのは、"白日"を聴いたからです。
「後悔ばかりの人生だけど、地続きの今を歩いて行かないといけない。」
なんか、刺さりました。

基本的にはバンド・ロックなんですが、ツイン・ボーカルと詰め込み系の歌詞と、R&B テイストが時折混じるギターが特徴的ですね。
こんだけファルセットを使うロック・バンドはそうはいないでしょう。

"Teenager Forever" や "傘" といったポップチューンもけっこうイケてます。

2020年2月15日土曜日

Rare / Selena Gomez (2020)

Selena Gomez のセンスがいいのか、彼女のプロダクション・チームが能力があるのか。
前作もそうでしたが、とにかくアイドルとは思えない素晴らしいプロダクトだなあと感心しています。
サウンドがクールでタイトです。
Billie Eilish のサウンドもけっこうクールですが、それほどダークじゃないところが "Rare" のサウンドのいいところだと思います。

表題曲の "Rare" は "Why don't you recognize I'm rare?" という失恋ソングですが、このサウンドが一番カッコいい。
2曲目の "Dance Again" もいい。いいアルバムは、2曲目にいい曲を持ってきますね。"Feel so, feel so, feel so good to dance again" 軽快なポップ・ダンス・チューンです。
エレクトロの色彩が強いですが、単純なサウンドではなく、重層的な立体感のあるサウンドなのがいいんでしょうね。そんなことを思わせるのが、ミッドテンポの "Vulnerable" という曲です。

2020年2月9日日曜日

Magic Windows / Herbie Hancock (1981)

これは、ジャズでもフュージョンでもありません。100% R&B アルバムです。
"Monster (1980)" から始まり、"Lite Me Up (1982)" で完結した R&B イヤーズの真ん中くらいにあたります。R&B イヤーズというより、Quincy 路線といった方が合っているかもしれません。

この時代、なぜここまで R&B / ブラック・コンテンポラリーにこだわったのかは分かりません。彼の卓越したピアノプレイは全く生かせず、高度な音楽理論も通用しない世界のはずです。時代に敏感だからなのか、ポピュラリティが音楽の本質と理化していたからなのか、はたまた Quincy Jopnes のアプローチに強くシンパシーを感じていたのか。
一方で、この1981年というのは、純正ジャズ・バンド(Ron Carter, and Tony Williams, Wynton Marsalis)でツアーを忙しく回っていた時期なので、そういったジャズ的なものは、そっちで満足していたのかもしれませんね。

"Magic Number"、"Help Yourself" といった R&B、”Everybody's Broke"のファンク(ベースラインが心地よい)、メロウな "Tonight the Night"、"Satisfied with Love" など、極上のR&B が並んでいます。Herbie Hancock という色眼鏡を外せば、素晴らしいブラック・コンテンポラリー・アルバムの快作です。

ヴォコーダーは使わず、多彩なゲストで脇を固めています。また、作曲の共作に Ray Parker, Jr., Adrian Belew などが参加してるのも面白いところです。

  • Ray Parker, Jr. (Guitar)
  • Freddie Washington (Bass)
  • Michael Brecker (Saxophone)
  • Brothers Johnson (Guitar, Bass)
  • Wah Wah Watson (Guitar)
  • Adrian Belew (Guitar)


https://www.herbiehancock.com/music/discography/album/694/

2020年2月2日日曜日

I’m Just Like You: Sly’s Stone Flower 1969-1970

Sly Stone と彼のマネージャーの David Kapralik が1969年に立ち上げた "Stone Flower Records"。Sly Stone の末妹の  Vet Stewart のグループ Little Sister、Joe Hicks、ブルース・ハープ・プレーヤー Marvin Braxton を中心とした白人黒人混合バンド 6ix の3組のアーティストを擁し、彼らが出した5枚のシングルに、その他の曲、その当時録音された Sly Stone の音源をプラスした、計18曲のコンピレーションです。

この時期は、Sly & the Family Stone にとっては、"Stand!" と "There's a Riot Goin' On" の両傑作アルバムの間にあたり、ある意味で言えば一番充実していた時期とも言えます。ただ、 Sly Stone 自身はドラッグでボロボロだったらしいですが。2つのアルバムの間にあたるだけに、"Stand!" 的な曲もあれば、"There's a Riot Goin' On" 的な曲もあり、間を繋いでるな、という感じはします。

興味深いのは、"Just Like a Baby"、"Africa" といった "There's a Riot Goin' On" 収録曲のデモ版です。"There's a Riot Goin' On" は、リズムとベースを極端にフィーチャし、ローファイというか、未完成度というか、そういったところが魅力ですが、デモの分、さらにそれらが増幅されているように思います。

また、今のアルバムの主役は、フィーチャ・アーティストではなく、その頃 Sly Stone が使っていたリズム・ボックス "Rhythm King" だと言う人もいます。チープな音がたまりません。6ix の "I'm Just Like You" は、Rhythm King バージョンと、バンド・バージョンが収録されていて、その対比が面白いです。結構曲の色合いが違ってくるんですね。Sly Stone 名義の "Scared" も Rhythm King が大きくフィーチャされ、ミニマル・ファンク度大です。