2018年3月31日土曜日

HITnRUN: Phase Two / Prince (2015)

Phase One を聴かずして Phase Two から聴くのもどうかと思いますが、Phase One から3か月のインターバルで発表されたという意味では、兄弟アルバムなのでしょう。

全体的な印象は、明るい曲調が多いこと、そしてブラスが効いていること。
そういう意味では、伝統的なソウルに根ざした曲を集めたのかもしれません。

生前に発表したアルバムでは、最後のアルバムになりますが、まだまだ衰えないアイデアと才能を見せつけており、これからの発展の期待が十分にあるアルバムです。

最初の4曲 "Baltimore", "Rock and Roll Love Affair", "2 Y. 2 D.", "Look at Me, Look at U" や "Black Muse" などは後期 Prince を代表する曲といってもいいくらいだと思います。

全く惜しい限りです。

2018年3月24日土曜日

青春のエキサイトメント / あいみょん (2017)

これはすばらしいです。
ファースト・フル・アルバムらしく、いろいろな可能性を保留した、いろいろなタイプの曲が詰め込まれています。
ロック、ファンク、フォーク、はたまた70年代歌謡曲まで。ギタリストらしく、基本的にはロックの人だと思いますが。

耳について離れない曲がいくつかあります。
「君はロックを聴かない」「愛を伝えたいだとか」「風のささやき」...
中でも、打ち込みが冴えわたる「愛を伝えたいだとか」の、チープで単調なドラム・パターンがたならなく心地く、いつまでも聴いていたい気にさせます。

曲調のバラエティもすばらしいのですが、やはり彼女を特徴づけているのは、その歌詞でしょう。
男の側に立った歌詞だったり、何気ない今の日常を等身大で描いた歌詞だったり、死やどうしようもない閉塞感を表していたり、普通は使わないようなハッとするフレーズが多くあったり。

これからどう発展していくんでしょう。

2018年3月18日日曜日

Some People Can Do What They Like / Robert Palmer (1976)

オープニングの "One Last Look" は、まるで Steely Dan サウンド。今回はスタイリッシュに仕上げてるな、と思いましたが、あとは R&B、サザン・サウンドのオンパレード。ゴキゲンナンバーが揃っています。

ちなみに、僕が好きなのは、"Gotta Get a Grip on You, Pt. II" と "What Can You Bring Me"。いずれもタイトなリズムセクション(Jeff Pocaro と Chuck Rainey)です。

シングルになった "Man Smart (Woman Smarter)" や "Off the Bone" では、スチール・パンを使ったりして、後のワールド・ミュージック趣向の先駆けともなっています。

いつも入っている Little Feat のカバーは、今回は "Feats don't fail me now" の中の1曲 "Spanish Moon"。こちらもオリジナルよりソウルフルに仕上がっています。

2018年3月10日土曜日

JuJu / Wayne Shorter (1965)

この頃は、Miles Davis クインテットが最もノッていた時期で、Miles もスタジオアルバムよりもライブアルバムが多くなっています。

60年代前半に Jazz Messengers で名を上げて、Miles バンドに引き抜かれた後ですので、おのずとソロへの期待は高かったでしょう。
その中で、Blue Note での2作目。

Miles クインテットとは一味違う傑作です。トランペットがいないのは大きな違いですが、McCoy Tyner のピアノが冴えわたっています。表に出過ぎることなく、かといってバックとして支えるだけでなく、美しく締めています。

Shorter のソロ作としては、(今まで聴いたものの中では)一番まとまっているように思います。

2018年3月4日日曜日

Celia & Johnny / Celia Cruz, Johnny Pacheco (1974)

Johnny Pacheco が副社長をつとめていた Fania レコードは、新レーベル Vaya を立ち上げて、実力ラテン歌手 Celia Cruz の獲得に成功します。
Celia Cruz は Fania に加わることにより、新たにサルサ・ムーブメントの中心に躍り出ることができました。

タイトルは、デュエットかのようですが、ベテランと新興がガッツリ手を組んで、これからのラテン音楽界を盛り上げて行きまっせ、という決意の表れですし、そういう意味のジャケット での硬い握手なんですね。

音楽的には、Johnny Pacheco 楽団の奏でる、軽快かつエネルギッシュなサルサ・サウンドと、Celia Cruz のベテランの味が見事に融合しています。
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70年代前半の、Fania が最も輝いていた時代を反映した傑作です。