2017年3月29日水曜日

The Clones of Dr. Funkenstein / Parliament (1976)

これもコンセプトアルバムと言うんでしょうか。

Clinton 流ファンクを、 Fred Wesley 率いるホーン・セクションが強力にバックアップしている、"Mothership Connection" に続く見事な傑作です。
ミドル・テンポのグルーブをループするお得意のパターンのオンパレードですが、中にはソウルフルな曲もあり、割とバラエティに富んでいるようにも思います。

オリエンタルなイントロで始まり、ホーンにつながる#2 "Gamin' on Ya" 、Collins のベースが印象的でほとんど"語り"な #3 "Dr. Funkenstein" 、一転メロディアスでホーン・アレンジがカッコいい#4 "Children of Productions" と #5 "Getten to Know You"、 バカ明るくシングルにもなった#6 "Do That Stuff" 、 Sly の曲のような#8 "I 've Been Watching You" 、ラストを飾る強力なファンク・ナンバー "Funkin' for Fun"。

全体的には Sly の影響下にあるというか、 Sly のファンクの部分を抽出してマッシブに発展させた感じですね。
ジャケットのバカ丸出しなところもまたよし。

2017年3月19日日曜日

Covers / Norah Jones ‎(2012)

デビューしてからの10年間の、カバー曲を集めたコンピレーションになります。
アルバムのボーナストラックに入っていたり、ライブアルバムに入っていたり、シングルのカップリングに入っていたりしたものを集めたもので、元はボックスセットのボーナスCDですが、日本では単独CDで発売されました。
オールディーズもありますが、面白いところでは2002年の Wilco の曲もあります。
数多くのカバーからの選りすぐりだと思います。

2004年の "Feels Like Home" から 2009年の "The Fall" の間のものが多いだけに、やはりカントリーが多くなっています。

オリジナルとはまた違い、Norah ワールドの曲調になっているのがさすがです。
  1. Sleepless Nights - 2004 (The Everly Brothers 1960)
  2. I'll Be Your Baby Tonight - 2002 (Bob Dylan 1967)
  3. Jesus, Etc. - 2009 (Wilco 2002)
  4. Sweet Dreams - 2003 (Patsy Cline 1963)
  5. Cry, Cry, Cry - 2009 (Johnny Cash 1957)
  6. Picture In A Frame - 2001 (Tom Waits 1999)
  7. Hands On The Wheel - 2008 (Willie Nelson 1975)
  8. She - 2004 (Gram Parsons 1973)
  9. My Blue Heaven - 2007 (Fats Domino 1971)
  10. Peace - 2001 (Horace Silver 1959)

2017年3月12日日曜日

Aijuswanaseing / Musiq Soulchild (2000)

"Aijuswanaseing" は "I Just Wanna Sing" なんでしょうね。

D'Angelo が "Brown Sugar" を出したのが1995年、"Maxwell's Urban Hang Suite"が出たのが1996年、Erykah Badu が "Baduizm" でデビューしたのが1997年、同じ年に Rahsaan Patterson もデビューしています。
そして、2000年になって、Musiq Soulchild が本作を出しています。
2000年は、 D'Angelo が "Voodoo" を、 Erykah Badu が "Mama's Gun" を出した年でもあります。

いわゆるネオ・ソウルは多様でもありますが、 Musiq や Rahsaan Patterson などは、 Stevie Wonder の影響が強く感じられます。 Donny Hathaway や Stevie Wonder が主導したニュー・ソウル運動の言い方を変えた現代版がネオ・ソウルとも言えますので、当たり前でしょう。特に本作の "143" は Stevie に近い感じがあります。

ネオ・ソウルと言われる一群の曲調は、意外とどれもエッジが効いておらず、のっぺりとした印象があります。BGMとしてアルバム全体を流して聴くのはすごくいいのですが、1曲1曲の明確な違いが分かりづらいです。ミディアムテンポからスローテンポの曲が多いのも特徴でしょうか。

Ayana を女性ヴォーカルに迎えた "Girl Next Door" や Eddie Murphy の "Nutty Professor II " で使われて最初にヒットした "Just Friends (Sunny)" 、スローな "Love" など、なかなかいい曲が揃っていると思います。

Ayana を含めた AARies をフィーチャした曲が3曲あり、どれもいい感じに仕上がっています。女性ヴォーカルの使い方がうまいですね。中でも "Girl Next Door" は Jill Scott がヴォーカルアレンジをしているところが面白いと思います。

2017年3月4日土曜日

Takin' It to the Streets / The Doobie Brothers (1976)

Michael McDonald が加わり、全く違う曲調をもたらしました。
McDonald の曲は、全くそれまでの Doobie Brothers とは違うバンドのように感じます。
それまでの武骨なギターサウンドから、洗練されたキーボード中心のソフトロックサウンドへの大きな転換です。
正直、 Tom Johnston の曲の方が好きですが、過去の Doobie Brothers とは別のバンドだと思えば、McDonald の曲もソウルフルでカッコいいと思います。

また、 Johnston がダメになった分、このアルバムでは、Patrick Simmons の存在感が増しているように思います。以前の Doobie Brothers らしさを一身に背負っているような。

このアルバムでは、 Michael McDonald の新サウンドと、Patrick Simmons の旧サウンドが絶妙にバランスされているところが売れた理由なんでしょうか。