2016年6月25日土曜日

Esso / The Esso Trinidad Steel Band (1971)

20世紀最大の楽器の発明と言われるスティールパン。

カーニバルでの荒々しいドラミングとは違い、トロピカル感を演出したアルバムです。

Essoの名前パクってるやん、と思ってましたが、パクってるんじゃなくて、Essoがスポンサーになっているんですね。
もともと"Tripoli Steel Band"というスティールバンドのオリジネイターに、国民の人気を高めるためにオイルメジャーがスポンサーになって、名前も変えた、ということのようです。そろいのEssoのTシャツを着て、ポップミュージックを奏で、世界中を回る。
1960年代のスティールバンドの変節を絵に描いたような活躍です。

スティールパンによるトロピカル音楽の入門には分かりやすくていいんじゃないでしょうか。

2016年6月18日土曜日

The Honey Man / Gil Evans (2000)

1986年ヨーロッパツアー、ミラノ、フィレンツェ、スイスのライブです。
この頃のEvansのライブはどれを聴いてもいいです。カッコいい!

特に今回は、マンデーナイト・オーケストラのフルではなく、多少人数を絞っているのが特徴です。
とはいっても、ギター、ベース、ドラムス、ピアノ、シンセサイザーに、フレンチホルン、トランペット3管、チューバ、サックス(テナー、ソプラノ、バリトン)、フルート、といった構成なので、普通のコンボよりは多いですが。
ビッグバンド的な壮大さが抑えられて、代わりに、小規模なバンドのまとまりと勢いが感じられます。

途中の、ジミヘンの曲でのハードなエレキギターもまたよし。
ところどころの、Evansのエレキピアノも効いてます。

表題曲は「はちみつ売りが来たよ!」。Gershwinの曲で、Milesの"Porgy and Bess"では1分少々ですが、なんと13分に拡張されています。

(今日は炎天下の中テニスやって眠いので、もう寝ます。)

  1. Boogie Stop Shuffle [C. Mingus]
  2. Subway [P. Levin]
  3. Good Bye Pork Pie Hat [C. Mingus]
  4. Voodoo Chile [J. Hendrix]
  5. Here Comes De Honey Man [Heyward, G. Gershwin, I. Gershwin]
  6. Eleven [G. Evans, M. Davis]

  • Piano : Gil Evans
  • Trumpet : Miles Evans, Shunzo Ohno, Stanton Davis
  • Trombone : George Lewis
  • French Horn : John Clark
  • Soprano Saxophone, Alto Saxophone, Flute : Chris Hunter
  • Tenor Saxophone, Soprano Saxophone : Bill Evans
  • Tuba, Baritone Saxophone, Bass Clarinet : Howard Johnson
  • Drums : Danny Gottlieb
  • Bass : Mark Egan
  • Guitar : Hiram Bullock
  • Synthesizer : Pete Levin

1, 3, 4, 6 : Milano May 5th, 1986
2 : Firenze May 7th, 1986
5 : Lugano May 3rd, 1986
 

2016年6月11日土曜日

Ain't That Good News / Sam Cooke (1964)

ハイライトは何と言っても、"A Change Is Gonna Come"でしょう。
"It's been a long time coming. But I know a change is gonna come, oh yes it will"
Bob Dylanの"Blowin' in the Wind"に触発された曲だそうです。
マイナーコードとストリングスアレンジで、壮大かつドラマチックに演出されています。
当時の公民権運動の高まりとの同期がぴったりだったことでしょう。

残念ながら、Cookeはこの年の暮れに死んでしまいます。
この曲で新たなステージに立った矢先ですので、本当に残念です。

2016年6月4日土曜日

Infidels / Bob Dylan (1983)

当時、これが「いい」と友達が言っていたのを覚えています。正直言って、この頃のBob Dylanは「一昔前の人」と思ってましたし、実際70年代の最盛期を過ぎ、このアルバムの前5年間3作はゴスペル色の強い宗教アルバムの時代でした(聴いたことはありませんが)。しかも1983年といえば、ブリティッシュ・ニュー・ウェイヴの時代で、私自身こういったアメリカ色の強い、昔と変わらない音楽が好きではありませんでした。

いま改めて聴いてみると、いいです。
1曲目"Jokerman"、2曲目"Sweetheart Like You"、最後の曲"Don't Fall Apart on Me Tonight"がいい。いまいちな曲も多く入ってますが。
まだ若かったんでしょうね、今のような渋い声ではなく、意外と若々しい声に驚きました。でしょうね、30年以上も前ですもんね。

ほぼDire StraitsMark Knopflerがプロデュースしていますが、レコーディングが長引き、Knopflerがツアーに戻らなければならなくなって、最後まで手掛けられなかったようです。「俺が最後までやれていれば、もっといいアルバムになったのに」と悔しがっています。
ちなみに、Dire Straitsのデビュー曲"Sultans of Swing"は、それはもうDylanに傾倒していますので、プロデュースのオファーがあったときは気合が入ったでしょうね。このアルバムでもいいギターを聴かせてくれます。
それにしても、Sly & Robbieの起用は驚きです。