2024年5月26日日曜日

猫とアレルギー / きのこ帝国 (2015)

メジャー移籍後第一弾アルバムだそうです。
確かにEMI。
一つ前の「フェイクワールドワンダーランド」はレコード会社がUKプロジェクトだったようです。(ちなみに"UK"というのは英国のことじゃなくて "Unknown" 知られざる者を見つける、という主旨だそうで、野球の独立リーグの精神に近いのかもしれません。

で、メジャー、ということで、見事にポップになっています。見事にインディーズ感は払拭されています。
曲を作っている佐藤千亜紀も、多くの人が聞くようになることを意識したようなことを言っています。
賛否両論あるのかもしれませんが、バンドが成長していく上で、ポップさの獲得は必須でしょう。
逆にポップを感じさせる曲を作ることができなければ、おそらくバンドは終わっていくような気もします。

「猫とアレルギー」という曲が先にできていて、この曲の色でアルバムを作りたいと思ったそう。なんで、アルバムタイトルも「猫とアレルギー」。
アルバムに先行して「桜が咲く前に」を春にシングルで出して、秋にアルバム。
「フェイクワールドワンダーランド」で膨らんだ期待をシングルで繋げて、アルバムでしっかり期待に応えました。

ちなみに「桜が咲く前に」は青春の旅立ちの歌で、メジャーへの移籍の飛翔感も表しているのかもしれません。MVは佐藤の地元の岩手・盛岡が舞台になっています。ここから出て東京へ。

一番ポップなのは「怪獣の腕のなか」で、好きです。ループのキーボードが印象的ですが、「猫とアレルギー」といい「怪獣の腕のなか」といい、ストレートな表現じゃないところがいいですね。


  1. 猫とアレルギー
  2. 怪獣の腕のなか
  3. 夏の夜の街
  4. 35℃
  5. スカルプチャー
  6. ドライブ
  7. 桜が咲く前に
  8. ハッカ
  9. ありふれた言葉
  10. Youthful Anger
  11. 名前を呼んで
  12. ひとひら


  • 佐藤千亜妃:Vo. G. 作詞作曲
  • あーちゃん:G.
  • 谷口滋昭:B.
  • 西村"コン":D

2024年5月18日土曜日

Livin' Large / E.U. (1989)

D.C. Go-Go の中でもポップ、R&B 寄りのバンド、E.U. の89年のアルバムです。

これを聴くと、Go-Go とラップが近い存在だったことが分かります。
Isley の "It's Your Thing" を下敷きにした "Shake Your Thang" は大胆にラップを取り入れてますし、"Shaka Zulu" もラップです。
ちなみに "Shake Your Thang" は Hip-Hop グループ Salt-N-Pepa をフィーチャしていますが、Salt-N-Pepa のシングルでは、フィーチャリング E.U. といった表記になっています。

"Taste of Your Love" "Don't Turn Around" といったバラード曲もあり、R&B 色も強くなっています。

後半はどちらかというと Go-Go の比率が高く、"Da Butt 89" はパーカッションの多用もあり、アルバム中では一番 Go-Go 的ですね。Spike Lee の初期の作品 "School Daze" に起用されヒットした曲の焼き直し。なんと Marcus Miller が作曲に加わっています。

 Go-Go、ラップ、R&B が混沌としてなかなか楽しめるアルバムです。


  1. Buck WIld
    • Producer : Kent Wood, William House
    • Co-producer: Raymond Jones
  2. Livin' Large
    • Producer : Larry Robinson
  3. Shake Your Thang
    • Producer : Hurby Luv Bug
  4. Taste Of Your Love
    • Producer, Writer, Lead & Backing Vocals, Bass, Drum Programming, Horns, Keyboards : Marvin Ennis
    • Lead Vocals : Edward Henderson, Gregory "Sugar Bear" Eliot
  5. Shaka Zulu
    • Producer : Ivan Goff
  6. Come To The Go-Go
    • Producer : Marcus Miller
  7. Shake It Like A White Girl
    • Producer : Larry Robinson
  8. Da Butt '89
    • Producer : Ivan Goff, Kent Wood
  9. Don't Turn Around
    • Producer : Raymond Jones
  10. Express
    • Producer : Kent Wood, William House


  • Gregory "Sugar Bear" Elliot : vo, b
  • Ivan Goff : key
  • William "Ju Ju" House : ds
  • Genairo "Foxxy" Brown Foxx : congas
  • Timothy "Shorty Tim" Glover : per
  • Valentino "Tino" Jackson : g
  • Darryel "Tidy Boy" Hayes : tp
  • Michael "Go Go Mike" Taylor : tb
  • Kent Wood : key
  • Edward "Junie" Henderson : vo

2024年5月12日日曜日

The Glass Hours / Linda May Han Oh (2023)

ジャズベーシスト Linda May Han Oh の6枚目のリーダー作ですが、ちゃんと聴くのは初めてです。

前作 "Aventurine" 後に彼女はコロナ下で子供を産み母となりました。
その経験が今回の音楽に反映されているかどうかは分かりませんが、大きな転機となりうる経験だったでしょう。

Linda May Han Oh はマレーシア生まれの中国系で、オーストラリア・パース育ち。
僕が大学生の時の生まれですが、もう40手前なんですね。当たり前か。
ウッドベースを軽やかに演奏する姿を YouTube で見ましたが、中華系のクールビューティでカッコいいです。

今回のアルバムは変則的なクインテット編成のバンドからなっています。
ベース、ドラムス、ピアノ、サックス、ヴォーカル
旧知のコラボレーターのようです。特にピアノの Fabian Almazan は学生の時からの知り合いで、夫でもあるんですね。今回のアルバムでは流れるような演奏で、このアルバムの音楽に大きな影響を与えています。
基本的にアコースティックであり、シンプルな楽器構成でありながら、複雑さを感じさせます。
繰り返すテーマは時にわかりづらく、他の楽器とユニゾンするスキャットのようなヴォーカルが独特の感じを醸し出しています。
静寂を思い起こさせるようでありながら、バックでは忙しく音が鳴っている、そんな感じ。
ジャズのような、ジャズではないような。
アクが強いですが、時折聞きたくなるような音楽です。


  1. Circles
  2. Antiquity
  3. Chimera
  4. Jus Ad Bellum
  5. The Glass Hours
  6. The Imperative
  7. Phosphorus
  8. Respite
  9. The Other Side
  10. Hatchling

Composed by Linda May Han Oh
Recorded at Brooklyn Recording on June 13th and 14th 2022

2024年5月6日月曜日

Stone Love / Angie Stone (2004)

年齢不詳、と言われるということは、結局年齢より若く見えるってことでしょ。
アルバム出たとき42歳。
だいたいデビューアルバムが30代後半ですもん。

"Black Diamond""Mahogany Soul" といずれも名作が続きましたが、今回のサードアルバムも名作です。
ネオソウルを基調としつつ、ちょっとずつずらしてもやっぱり Angie Stone やなあー、と感じられるのは何なんでしょう。
今回は、Snoop DoggAnthony HamiltonBetty WrightFloetry など豪華ゲスト陣をフィーチャー。いい味付けになってます。

Snoop Dogg フィーチャーの "I Wanna Thank Ya"、いいですねー。
Jonathan RichmondJuanita Wynn 作の "Remy Red" もいいです。
両曲とも跳ねてます。
Missy Elliott プロデュース "U-Haul" は、ブルージー R&B。確かグラミーノミニーなんですよね。

アルバムは当初、Gladys KnightChaka KhanRoberta FlackNatalie Cole らを迎えて、“Diary of a Soul Sister“ というコンセプトで作られる予定だったのが、レーベルの創始者 Clive Davis から反対されて路線変更したそうです。
"Diary" が同じ年リリースの Alicia Keys "The Diary of Alicia Keys“ と被るから。ちなみに Alicia は Davis のアリスたレコード。
"The Diary of Alicia Keys“ はかなりヒットしたので、当然ビジネスマン Davis としては、儲かる方を選んだんでしょう。

サンプルに使われている曲は多岐にわたります(ようそんな曲知ってるな、というのもいくつかあります)が、使い方がさりげないんですよね。ちょっと聴いただけでは分かりません。

  1. Stoned Love (Intro)
    • The Supremes cover
  2. I Wanna Thank Ya
  3. My Man
    • Featuring Floetry
    • Produced by Warryn "Baby Dubb" Campbell, Lilly
  4. U-Haul
    • Produced by Missy Elliott, Natalie Stewart, Craig Brockman, John "Jubu" Smith
  5. Stay for a While
    • Featuring Anthony Hamilton
  6. Lovers' Ghetto
    • Producedby Rufus Blaq Prince, Charles Alexander, Jamel "Melekeyz" Olive
  7. Little Bit of This, Little Bit of That... (Interlude)
    • Produced by Jonathan Richmond
  8. You're Gonna Get It
    • Featuring Diamond Stone
    • Produced by Walter Millsap III
  9. Come Home (Live with Me)
    • Produced by Supa Ugly K-Love
  10. You Don't Love Me
    • Produced by Jonathan Richmond
  11. Remy Red
    • Produced by Jonathan Richmond
  12. That Kind of Love
    • Featuring Betty Wright
    • Produced by Warryn "Baby Dubb" Campbell
  13. Touch It (Interlude)
    • Produced by Jonathan Richmond
  14. Cinderella Ballin'
    • Produced by Jonathan Richmond
  15. Karma
    • Featuring T.H.C.
    • Produced by Andreao "Fanatic" Heard, Sherrod Barnes
  16. Wherever You Are (Outro)
    • Produced by Jonathan Richmond
  17. I Wanna Thank Ya (No Rap)
    • Produced by Jazze Pha

Sample credits