2024年2月25日日曜日

Riding With the Wind / The Gil Evans Orchestra (Live at Montreal 1987)

モントリオールのセントデニス・シアターでのライブを、FM番組「ジャズ・オン・ザ・ムーブ」でオンエアーしたときの音源を元にデジタル化したものだそうです。
1987年6月27日にモントリオール・フェスティバルに参加したときのものです。
どうもマスター音源はカセットテープらしい、ということなので、音の分離は望みませんが、それでもいい音で再現していると思います。

最初に思ったのは、エレクトリック・ベースの音が大きいこと。ライブのミックスがベースを強調するようにしていたのか、音源からミックスする際に増幅させたのかは分かりません。
しかし、このバランスのおかげで、すばらしいグルーブが出ています。
最初の "Little Wing" からベースがブンブンうなり、アルバムの最後までうねりまくります。

途中でバンドメンバー紹介が入っているのもライブ感があっていいですね。FMだからこういうところをカットせずにあえて入れたのか。
バンドメンバーは、この時期のマンデーナイトのメンバーで、ステディな演奏、卓越のソロを聴かせてくれます。
注目のベースは Mark Egan。Pat Metheny Group からの盟友 Danny Gottlieb とフュージョングループ Elements を結成しますが、そこに参加したのがサックスの Bill Evans と キーボードの Gil Goldstein。したがって、今回の演奏では、旧来の Gil Evans のバンドと Elements が合体したバンド構成になっています。
これをまとめているのが Lew Soloff。もちろん Gil Evans がバンドリーダーですが、サブバンマスというかなんというか、中心的な役割ですね。Gil Evans  は演奏中あまり目立った動きをしませんが  Lew Soloff  が細かく指示を出している動画を見たことがあります。

この時期定番の曲目と、気心知れたメンバーでのこなれた演奏。素晴らしいの一言に尽きます。

残念なのは、最後の曲 "London" が突然フェードして切れること。この後の演奏にハプニングがあったのか、録音にトラブルがあったのか、あるいはFM番組の尺の都合か。


  1. Little Wing
  2. Summertime
  3. Half Man Half Cockie
  4. Bang Introduction
  5. London


  • Gil Evans (direction, keyb)
  • Lew Soloff (tp)
  • Miles Evans (tp)
  • Alex Brofsky (fh)
  • Chris Hunter (as)
  • Bill Evans (ts)
  • Hamiet Bluiett (bs)
  • Dave Bargeron (ttb)
  • Dave Taylor (btb)
  • Gil Goldstein (synth)
  • Mark Egan (b)
  • Dan Gottlieb (dr) 

2024年2月18日日曜日

In the Heart of the Moon / Ali Farka Touré & Toumani Diabaté (2005)

マリの首都バマコにあるホテル・マンデ。その最上階の「バマコの屋根」という会議室で録音されたそうです。
と言っても、現在の写真で見る限り3階建てです。
ジャケットは、その会議室から見える眺望、ニジェール川の風景を写していると思われます。この風景自体、そんなに高い所からじゃなさそうですもんね。

サウンドは Ali Farka Touré のギターと、Toumani Diabaté のコラが中心です。
コラというのは西アフリカの伝統弦楽器です。
ギターはあくまで伴奏に徹していて、主役はコラ、という感じですかね。ハープと三味線が合わさったような、独特の綺麗な音色です。
そして時々、ベースやパーカッション。ほぼ気づかないくらい。Ry Cooder 親子も参加しています。

この絶妙なアンサンブルを、リハーサルなしでセッションしたというから驚きです。


  1. Debe [Ali Farka Touré & Toumani Diabaté]
  2. Kala [Toumani Diabaté]
  3. Mamadou Boutiquier [Toumani Diabaté]
  4. Monsieur le Maire de Niafunké [Toumani Diabaté]
  5. Kaira [Ali Farka Touré & Toumani Diabaté]
  6. Simbo [Ali Farka Touré & Toumani Diabaté]
  7. Ai Ga Bani [Ali Farka Touré]
  8. Soumbou Ya Ya [Ali Farka Touré & Toumani Diabaté]
  9. Naweye Toro [Ali Farka Touré & Toumani Diabaté]
  10. Kadi Kadi [Ali Farka Touré]
  11. Gomni [Ali Farka Touré]
  12. Hawa Dolo [Ali Farka Touré]


  • Ali Farka Touré : guitar, vocal (1, 7)
  • Toumani Diabaté : kora
  • Ry Cooder : Kawai piano (3, 7), Ripley guitar (12)
  • Sekou Kanté : bass guitar (7, 8, 9)
  • Orlando "Cachaíto" López : bass guitar (11, 12)
  • Joachim Cooder : percussion (3, 5, 11)
  • Olalekan Babalola : percussion (4, 11)
  • James Thompson : shaker (5)


Recorded at Hotel Mandé, Bamako, Mali, July 2004.
Additional recording at Sound City Studios, Los Angeles, Studio Bogolan, Bamako, Egrem Studios, Havana. Mixing and mastering at Livington Studios, London.



2024年2月10日土曜日

Black Diamond / Angie Stone (1999)

1961年生まれですから、僕よりだいぶ年上です。このアルバムを出したときは37歳。
ベテランシンガーの初ソロ、ということになりますが、圧巻の歌ではあるものの、サウンドはかなり攻めてまして、ベテラン然としてないのが素晴らしい。
しかも、作曲でアーティストに曲提供したり、プロデュースできたり、ということなので納得です。

いわゆるネオソウルになるんでしょうが、その中でも D'Angelo に近く、非常にクールなサウンドがかっこいい!
D'Angelo に曲も提供してますし、D'Angelo はこのアルバムにも参加しています。

一方で、"Man Loves His Money" ではキャッシュレジの音を効果的に入れてたり、"Love Junkie" でのワウワウギターを上手く使ってたりと、一筋縄ではいかないところも見せています。
Marvin Gaye の "Trouble Man" もいい感じ。そんなに捻りはないんですが、オリジナルの良さをさらに引き延ばしているように思います。
作曲できるのに、全曲自分の曲じゃなく、人の曲も歌っているあたり、サウンド作りと歌に自信ありなんですかね。

既に10代の娘がいるらしく、"Diamond" というのは娘の名前からとっているらしいです。


  1. Freedom (Intro)
    • Produced by Angie Stone
    • Written by A. Stone
  2. No More Rain (In This Cloud)
    • Produced by Angie Stone
    • Written by B. Williams, A. Stone, G. Chambers, J. Weatherly
  3. Green Grass Vapors
    • Produced by Aaron "Freedom" Lyles, Angie Stone
    • Written by A. Lyles, S. Bolton
  4. Everyday
    • Produced by Russell Elevado
    • Written by A. Stone, D'Angelo
  5. Coulda Been You
    • Produced by Angie Stone, Phil Temple, Rex Rideout
    • Written by A. Stone, P. Temple, R. Rideout, S. Aiken
  6. Visions
    • Produced by U-Neek Entertainment
    • Written by J. Lind, M. White, T. Middleton, V. Davis Jr.
  7. Life Story
    • Produced by Gerry DeVeaux, Cutfather & Joe
    • Written by C. Ross, G. DeVeaux
  8. Just A Pimp
    • Produced by Aaron "Freedom" Lyles, Angie Stone
    • Written by A. Lyles, S. Bolton
  9. Trouble Man
    • Produced by Aaron "Freedom" Lyles, Angie Stone
    • Written by M. Gaye
  10. Bone 2 Pic (Wit U)
    • Produced by Ali Shaheed Muhammad
    • Written by A. S. Muhammad, A. Stone, C. Alford
  11. Man Loves His Money
    • Produced by Aaron "Freedom" Lyles, Angie Stone
    • Written by A. Lyles, S. Bolton
  12. Love Junkie
    • Produced by Aaron "Freedom" Lyles, Angie Stone
    • Additional arranged by A. Lyles
    • Written by A. Stone
  13. Black Diamonds & Blue Pearls (Interlude)
    • Produced by Angie Stone
    • Written by A. Stone
  14. Heaven Help (Bonus Track)
    • Produced by Gerry DeVeaux
    • Written by G. DeVeaux, T. Britten
  15. Don't Wanna Ride Without You (Hidden Track)
    • Produced by Angie Stone
    • Written by A. Stone


  • Musician : Chalmers "Spanky" Alford, Craig Ross, D'Angelo, Iran, Joe Quindy, Jonas Krag, Lenny Kravitz, Joe Belmaati
  • Backing Vocals : Gemini, Gerry DeVeaux, Juliet Roberts, Sekou Aiken, Stephanie Bolton, Tenita Jordan Dreher
  • Executive Producer : Angie Stone, Gerry DeVeaux, Peter Edge


2024年2月4日日曜日

フェイクワールドワンダーランド / きのこ帝国 (2014)

これ以前のきのこ帝国を聴いてないので知らないのですが、このアルバムから少しポップに路線変更した模様。
「爆音」がなくなったとのことですので、それまでは爆音路線だったのか?

シングルが評判良かった #1「東京」を起点に曲を作ったり、昔からの曲を集めたりしてできたアルバムのようです。
発展途上感が強く、メロディとアレンジが難しい感じの曲もいくつかあります。美しいメロディだと思っていたら突然ヘビーな感じになったり、マイナーな曲調に変わったり。

そんな中で出色の出来は #2「クロノスタシス」です。
繰り返すギターリフとコーラスが同じメロディで、リラックスした歌詞と相まっていい感じ。
ビールの「350ml」を「スリー・ファイブ・オー・エム・エル」と言うあたり、新しいですね。
同じバースで歩く速度を「BPM83」と言っているのもいいです。この曲はブロックごとにBPMを変えることをやってるらしいのですが、1つ目のサビが「BPM83」だそうです。

他にもフォーク・チューンがあったり、椎名林檎調の曲があったり、ダークな曲があったりと、なかなか色とりどりで飽きさせてくれません。なんとインスト曲も2曲入ってます。

少し原石的なところはありますが、これから、という勢いを感じる一枚です。


  1. 東京
  2. クロノスタシス
  3. ヴァージン・スーサイド
  4. You outside my window
  5. Unknown Planet
  6. あるゆえ
  7. 24
  8. フェイクワールドワンダーランド
  9. ラストデイ
  10. 疾走
  11. Telepathy/Overdrive


  • Bass 谷口滋昭
  • Vocal, Guitar 佐藤千亜妃
  • Drum 西村“コン”
  • Guitar あーちゃん