2018年11月25日日曜日

Who Is Jill Scott? Words and Sounds Vol. 1 / Jill Scott (2000)

ラップというよりポエトリーリーディング、R&Bというよりクワイエットストーム、あるいはスロージャム。
いわゆるネオソウルに分類されることが多いと思いますが、それだけにはとどまらない、独特の空気感、サウンド、グルーヴを生み出しています。
目立つ曲はなく、淡々と、に近くスローな曲が続きますが、意外と退屈しませんし、逆に心地よさにいざないます。1曲1曲を取り上げて聴くというより、アルバム全体をBGMとして聴く、という聴き方が正解かもしれません。

#1 "Jilltro" から#7 "He Loves Me (Lyzel in E Flat)" まで、本当にナチュラルに流れていきます。
#8 "It's Love" になり、かなり唐突にアップテンポになりますが、これがこのアルバムで唯一といっていいファンキーナンバーです。強烈なベースラインとホーンセクションが特徴的なR&Bで、僕自身は一番好きです。
#9 "The Way" はサビ部分のメロディが素晴らしい美しい曲です。
そして、#10 "Honey Molasses" 以降、エンディングに向かって、また静かに、グルーヴィーに曲が進んでいきます。

聴けば聴くほど味わい深い名盤です。

2018年11月10日土曜日

Crossbreed Park / Newest Model (1990)

この次のアルバム "ユニバーサル・インベーダー" はよく聴いたなあ。"知識を得て、心を開き、自転車に乗れ" は啓蒙的でした。

それを想像して聴いてみましたが、似ているようで似ていない。同じようで同じじゃない。消化してない感じ。ごった煮に具材をぶち込んだけど、メルトしていない感じ。

この前聴いた ボ・ガンボス に近いなあと思ったら、やっぱり影響されてたみたいです。
沖縄、ロック、パンク、ソウル、アイリッシュ、ファンク...ホーン・セクションなんかも使っていろいろ頑張ってるこのアルバムのテーマは混雑。そう、雑種天国です。

パンクから出発して、数年でよくここまで吸収したものです。

2018年11月4日日曜日

The Imagine Project / Herbie Hancock (2010)

Herbie Hancock の70歳を記念して始まった "The Imagine Project" ですが、「7つの国、5つの大陸、7つの言語」で録音されたという、壮大かつワールドワイドなアルバムになっています。コンセプトは "Peace and Global Responsibility" ということで、社会的メッセージを意識した内容であり、選曲となっていますが、すべての曲はいわゆるジャズではありません。
"Imagine", "Don't Give Up", "The Times, They Are A' Changin'", "Exodus", "A Change Is Gonna Come" といったタイトルを見ても分かります。

ここでの Herbie のピアノは、主旋律を弾くというより、バックでのインプロビゼーションを楽しんでいるような感じですが、そこがまたリリカルで素晴らしい。Miles バンドの時の Herbie が秀逸であるように、この人はバックの時にも力を発揮します。前作 "River" もそうでした。

曲調は、バラエティ豊かなワールドミュージックで、英米の曲をベースとしながら、北米、アフリカ、南米の濃いブレンドとなっています。

Jeff Beck, Chaka Khan, Wayne Shorter というビッグネームや、John Legend, P!nk, Seal, India Arie, John Legend, Susan Tedeschi, James Morrison, Los Lobos といった若手・中堅、Konono No.1, Céu, Toumani Diabaté, Juanes, Tinariwen, K'naan といったアフリカ、南米のミュージシャンらが豪華に参加しています。Herbie のもとに集まって録音したのではなく、Herbie 自ら赴いて録音したといいます。

ハイライトは何と言っても表題曲である、"Imagine" ですが、僕としてはゆったりした ブラジリアン "Tempo de Amor" や、タンゴ "La Tierra"、アフリカンの曲に"Exodus" をミックスした "Tamatant Tilay, Exodus" あたりが好みです。

  1. "Imagine" (John Lennon) by P!nk, Seal, India.Arie, Jeff Beck, Konono No.1, Oumou Sangaré
  2. "Don't Give Up" (Peter Gabriel) by P!nk, John Legend
  3. "Tempo de Amor" (Vinicius de Moraes, Baden Powell) by Céu
  4. "Space Captain" (Matthew Moore) by Susan Tedeschi, Derek Trucks
  5. "The Times, They Are A' Changin'" (Bob Dylan) by The Chieftains, Toumani Diabaté, Lisa Hannigan
  6. "La Tierra" (Juan Esteban Aristizabal) by Juanes
  7. "Tamatant Tilay / Exodus" (Bob Marley, Alhassane Ag Touhami) by Tinariwen, K'naan, Los Lobos)
  8. "Tomorrow Never Knows" (Lennon–McCartney) by Dave Matthews
  9. "A Change Is Gonna Come" (Sam Cooke) by James Morrison
  10. "The Song Goes On" (Larry Klein) by K.S.Chithra, Chaka Khan, Anoushka Shankar, Wayne Shorter