大名曲 "The Bottle" 収録。
Apple Music で配信されておらず(日本では)、中古で何とか入手しました。
元の LP もインディ・ジャズ・レーベルからの発売ということもアリ、初版売り切れ後長い間絶版が続いていたようです。
1998年になり、ようやく Gil Scott-Heron の働きで CD 化されるに伴い、入手可能になったそうです。
"The Bottle" のような曲を期待してましたが、その期待に沿うものではありませんでした。
しかし、聞き込むにつれ、しみじみとした味わいのある曲が多いことに気づきます。
まず、音数が少ない。
最初の3曲は実に控え目。ピアノまたはエレピ、多少のドラムス(しかもリムショット)をバックにスローなメロディを Gil Scott-Heron が歌うスタイルです。
#4 "Back Home" になって初めてミッド・テンポの明るい曲になります。と言っても、これもピアノ、ドラムス、多少のフルートのみ。
ここでいきなり "The Bottle" になります。LPだとB面の1曲目。ジャンプナンバーですが、これもよく聴くと楽器編成は前曲にベースが加わったくらいですが、このベースがかなりグルーヴを出してますね。
その名の通りアルコール・アビューズを歌った歌。
#7 "Your Daddy Loves You" も明るくていい曲です。自分の娘を歌ったもののようです。
何といっても面白いのが #8 "H2Ogate Blues" でしょうか。つまり、ウォーターゲート事件のパロディです。1972年に起きた事件は、アルバムレコーディングの1973年ではまだ決着がついていませんでしたが(1974年にニクソンが辞任)、格好の時事ネタだったんでしょう。Gil Scott-Heron は歌わず、喋っています。時折韻を踏んでいるあたりラップの原型と言えなくもありません。
アルバム・タイトルの "Winter In America" という曲は選曲から外されました。アルバム全体としてアメリカの冬を表していることを強調したかったんでしょうか。
公民権運動のケネディ、キング牧師の時代を春や夏とすれば、ベトナム戦争、ニクソンの時代は冬に映ったのかもしれません。Stevie Wonder が同じくニクソンを皮肉った "You Haven't Done Nothin'" を出したのが同じく1974年、Curtis Mayfield が名盤 "There's No Place Like America Today” を出したのが1975年になります。
- Peace Go With You, Brother (As-Salaam-Alaikum)
- Rivers Of My Fathers
- A Very Precious Time
- Back Home
- The Bottle
- Flute : Brian Jackson
- Song For Bobby Smith
- Your Daddy Loves You
- Flute : Brian Jackson
- H2Ogate Blues
- Peace Go With You, Brother (Wa-Alaikum-Salaam)
- Winter In America (Bonus Track, Live)
- Gil Scott-Heron And His Amnesia Express
- Flute : Vernon James
- Trumpet : Kenny Sheffield
- Song For Bobby Smith (Bonus Track, Alternate Take 1978)
- Player : Glen Turner, Larry McDonald, Robert Gordon
- Your Daddy Loves You (Bonus Track, Live)
- Player : Glen Turner, Larry McDonald, Robert Gordon
- The Bottle / Guan Guanco (Bonus Track, Live)
- Player : Glen Turner, Larry McDonald, Robert Gordon
- Electric Piano, Vocals : Gil Scott-Heron
- Piano, Electric Piano Vocals : Brian Jackson
- Drums : Bob Adams
- Fender Bass : Danny Bowens
- Recorded on September 4, 5 and October 15, 1973 at D&B Sound, Silver Springs, Maryland.
- #10 recorded at the Wax Museum, Washington DC for the 1982 Robert Mugge film 'Gil Scott-Heron: Black Wax'
- #12, 13 recorded at Blues Alley, Washington DC in 1981.